Dynamics 365とSIDEROSソリューションを組み合わせることにより、製造業に特化したERP機能を実現しました。今回は、そもそもなぜ製造業にERPが必要なのか、どのようなERPが理想的なのか、などについて解説していきます。
製造業にERPが必要な理由
近年、さまざまな業種の企業に取り入れられているERPですが、製造業にもERPは必要だと言われています。製造業にERPが必要とされる主な理由としては、業務効率化や深刻な人材不足、インダストリー4.0などが挙げられます。
日本の製造現場では、それぞれの部署ごとに独立して管理されている例が少なくありません。つまり、全社的な管理体制が整っていないのです。また一昔前のシステムをいまだに使い続けていたり、自社でカスタマイズして利用し続けていたりする企業もあるのが現状です。
また製造業の人材不足も深刻です。そもそもの労働人口の減少や「きつい・汚い・危険」といったマイナスイメージが浸透していることも影響しています。
インダストリー4.0とは、第四次産業革命とも呼ばれる、製造業におけるデジタル化を目指したドイツの国家プロジェクトのことです。なぜドイツの国家プロジェクトが製造業にERPが必要な理由になるのかと、疑問に感じる方もいると思います。
インダストリー4.0は相互運用性や情報の透明性といった原則にしたがって、設計を進めていきます。そのためにはERPが非常に効果的ということもあり、ERPが普及していきました。つまり、国際社会ではすでにERP導入が日本より進んでいるということです。そのため日本の製造業が国際競争に打ち勝っていくためには、ERP導入が必要不可欠だと言えるのです。
Microsoft Dynamics 365と多彩なソリューション
Microsoft Dynamics 365は、Microsoft が提供するビジネスアプリケーションです。CRMやERP、SFAなど幅広くカバーしており、企業の生産性向上や業務効率化をサポートしています。
Dynamics 365を導入することで、さまざまな業務をスムーズに行うことが可能です。また特定の分野や業種に特化させて活かすためのソリューションやサービスが、さまざまな企業から提供されています。
もともとMicrosoft Dynamics 365に搭載されている主な機能としては、以下のようなものがあります。
- Dynamics 365 Sales (営業支援/CRM)
- Dynamics 365 Marketing (マーケティング)
- Dynamics 365 Customer Service (カスタマーサービス)
- Dynamics 365 Field Service (フィールドサービス)
- Dynamics 365 Operations (プロジェクトオペレーション)
- Dynamics 365 Finance (ERP)
- Dynamics 365 Commerce(流通/小売)
- Dynamics 365 Human Resources (人材管理)
これらの基本的な機能に加えて、各企業が付加的な機能を提供しているということです。
SIDEROSソリューションとは
製造業向けERPとしてDynamics 365を最大限に活かすための代表的ソリューションとして、SIDEROSのサービスが挙げられます。ここでは、具体的に何が優れているのかという点を解説していきます。
デジタル経営土台
デジタル経営の本質は、データを活用した経営へとシフトすることで、企業の競争力を高め、他社と差別化を図ることです。このようなデジタル経営を支える基盤となるのがERPシステムです。ERPは、個別で進められていた各業務を連携し、実施していくための仕組みと言えます。
またデジタル経営を実現するためにも、これからのERPには「リアルタイムの情報発信ができること・グローバルに対応できること・AIといった新技術に対応できること」などが求められてくるでしょう。
加えて、日本企業の成長を支援するためには、日本の習慣に適したシステムが必要です。SIDEROSは、こうした日本特有の課題を解決するための、デジタル基盤を提供しています。
サプライチェーン
サプライチェーンとは商品の原料や部品の調達から、消費までの一連の流れのことです。海外の先進企業では、製造業の土台になるサプライチェーンのデジタル化についての注目度が高く、すでに取り組みを進めている企業も多いです。一方、日本では、必要性は認識されているものの、実際に取り組めていない企業が多いのが現状です。
サプライチェーンのデジタル化に積極的に取り組むことで、企業の競争力を高めていくことができます。
事業改革
デジタルトランスフォーメーションの推進により、事業を改革する必要性が高まっています。実現のためには、既存のビジネスモデルを分析して、業務効率化を図ることが必要です。また企業として変化し続けていく必要もあるでしょう。具体的には、新しいビジネスモデルを創り出すというようなことです。
SIDEROSソリューションを基盤にしたJFEシステムズのソリューションはこのような企業の改革をサポートしてくれます。
情報の可視化・分析
デジタルトランスフォーメーションを実現するためには、社内のデータをつなぎ、リアルタイムで情報連携を行うようにすることが重要です。
リアルタイムに情報連携を行うことで、情報をタイムリーに把握することができるので、商機を逃がしてしまうリスクを絶えず減少させることにつながります。このようにSIDEROSソリューションは、企業における正確かつ最新のデータ総合基盤の構築、ならびに高度なデータ分析を支援してくれます。
働き方改革
近年、新たな働き方が浸透しつつあります。コロナ禍の影響によるテレワークの普及もその一つと言えるでしょう。新たな働き方が浸透しつつある中、デジタル化により従業員の働き方改革を支援して業務効率ならびに売り上げを維持することが企業の大きな課題となっています。こうした課題にも対応したい場合、SIDEROSソリューションを基盤にしたJFEシステムズのソリューションが強固に支援してくれます。
製造業ソリューション「Microsoft Dynamics 365~Supply Chain Management・Finance~」
「Microsoft Dynamics 365~Supply Chain Management・Finance~」は、IFRSや内部統制への対応だけでなく、操作性や拡張性、柔軟性に優れた製造業向けERPソリューションです。JFEシステムズの製造業に関してのノウハウやシステム構築技術を提供することで、顧客のシステム構築をサポートします。
Microsoft Dynamics 365~Supply Chain Management・Finance~はプロセス製造業向けの豊富な機能を有しており、液体や紛体を扱う化学メーカーや金属メーカーなど、幅広い分野で対応可能なERPパッケージに仕上がっています。また周辺ソリューション(SOP・製造・会計・原価管理・MES)が準備されています。
もちろん、製造業に必要となる機能も標準で実装されています。その機能によって、製造業特有の業務に関して的確なサポートを行い、どんなユーザー企業に対しても、正確な在庫管理や品質管理を実現してくれるでしょう。さらに、製造業固有の業務要件に対応するSIDEROS MIテンプレートも提供されています。
またMicrosoft Dynamics 365~Supply Chain Management・Finance~は、全社やグループの統一基盤として導入・展開できるだけでなく、グループ企業や海外の工場に導入することも可能です。
例えば、本社の会計システムとして大規模ERPを稼動している企業で、グループ会社の生産管理システムを構築する際に、Microsoft Dynamics 365~Supply Chain Management・Finance~の持つコストパフォーマンスやプロセス製造業向けの豊富な機能、加えてグローバル対応しているという点は非常に活用できる点だと言えるでしょう。短期間でのシステム構築も可能となります。
まとめ
Dynamics 365はもともと幅広い業界に向けて提供されていたものですが、SIDEROSソリューションと組み合わさることで、製造業に特化したERPとなりました。国際競争の激化、コロナ禍による環境の変化、などといった製造業を取り巻く環境に対応するためにも、製造業に特化したERPを導入することが重要だと言えるでしょう。