カスタマーサービス/顧客満足

カスタマーサービスとは? 役割やスキルについて解説

カスタマーサービスを導入したけれど、その役割や内容をよく理解していないという方は意外に多いのではないでしょうか。本記事では、カスタマーサービスの概要や役割、具体的な業務内容、ヘルプデスクとの違いなどを詳しく解説します。また、オペレーターに求められるスキルやカスタマーサービスのトレンドについても触れていきます。

カスタマーサービスとは? 役割やスキルについて解説

一歩先行く顧客対応!

カスタマーサービスとは

カスタマーサービスは、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の提供によって顧客満足度の向上を目指す部門のことです。そもそもカスタマーエクスペリエンスとは、製品やサービスを購入した顧客に対して直接購入したもの以外の部分で心理的価値を提供することを意味します。

例えば、購入したものが製品であれば万全のサポート体制があるかどうか、飲食店であれば店内の清掃が行き届いているか、リラクゼーションなどでは上質な接客が受けられるかなど、直接購入したものに含まれない部分での体験・交流がカスタマーエクスペリエンスです。製品またはサービスに付加価値を与えるといえば分かりやすいかもしれません。

企業にとってカスタマーエクスペリエンスの提供は顧客満足度を向上させるための重要な課題であり、その全てを担っているのがカスタマーサービスという部門です。また、顧客満足度の向上以外に新規顧客の獲得や生産性の向上など、さまざまな役割も担っています。

ヘルプデスクとの違い

カスタマーサービスと似たような部門にヘルプデスクがあります。両者ともにインバウンド業務(お客さまからきた問い合わせに対応)をする点は同じですが、オペレーターの知識や専門とする領域に違いがあります。

カスタマーサービスの仕事は、製品購入前や購入後に関わらず顧客から寄せられた問い合わせやクレームに対応することです。

一方、ヘルプデスクは実際に製品を購入した顧客が困っていることを解決するための部門です。つまり、製品に関する専門的知識が必要になります。

カスタマーサービスがコミュニケーション能力を生かして顧客に対応するのに対し、ヘルプデスクは専門的なスキルで顧客の問題を解決します。そのため、カスタマーサービスに寄せられた問い合わせで専門的な知識を要すると判断されたものはヘルプデスクに回されるのが一般的です。

カスタマーサービスの役割・業務内容

ここからは、カスタマーサービスの役割や業務内容について詳しく解説します。

既存顧客満足度の向上

企業にとって重要なのは継続的に利益を出し続けることであり、そのためには既存顧客満足度の向上が欠かせません。企業として新規顧客の獲得に注力することはもちろん大切ですが、既存の顧客と良好な関係を維持していく方が、継続的な利益に繋がりやすいと考えられます。

そのため、カスタマーサービスは一度繋がりを持った顧客に対して最適なカスタマーエクスペリエンスを提供し、LTV(取引開始から終了までの期間に顧客がもたらす利益)を高めなければなりません。

また、カスタマーサービスは顧客への対応以外に、収集した顧客の声を各部門に届けるという大切な役割も担っています。例えば、顧客の声を既存製品の改善や新規製品開発に役立てたり、顧客のニーズを営業活動に活かしたりします。その結果、既存顧客満足度が向上し企業の安定的な収益にも繋がると考えられているのです。

新規顧客の獲得

新規顧客の獲得は営業部門の仕事と思っている方も多いかもしれませんが、カスタマーサービスが協力できる分野でもあります。企業対企業の場合において新規顧客の獲得は営業担当者の業務となります。

しかし、顧客が製品購入前、購入後に何かしらのアクションを起こす場合、最初に接触するのは企業の営業担当者ではなく、カスタマーサービスがほとんどでしょう。

つまり、顧客にとってカスタマーサービスは「企業の顔」ともいえる存在なのです。ここでいかに顧客の声に耳を傾け、寄り添う姿勢を見せるかで顧客の購買意欲は大きく左右されます。

そのため、新規顧客の獲得という意味でもカスタマーサービスは大きな役割を担っているといえます。また、顧客から寄せられた声を営業部門と共有することで、企業に対する顧客開拓にも貢献できるのです。

生産性の向上

カスタマーサービスの提供により既存顧客満足度が向上するとリピーターが増加し、企業の安定的な収益に繋がります。さらに「企業の顔」として上質なサービスを提供し続けることで新規顧客を増やせれば、企業の収益アップも見込めるでしょう。

また、これまでカスタマーサービスを導入してこなかった企業では、社員の本来やるべき業務が顧客対応によって圧迫されていた可能性もあります。ですから、顧客対応をカスタマーサービスの専属オペレーターに任せる必要があるのです。

そうすれば、別部門の社員は本来行うべき業務に集中できるようになり、企業全体の生産性向上を目指せます。

カスタマーサービスに求められるスキル

ここからは、カスタマーサービスで顧客対応にあたるオペレーターが習得しておくべきスキルについて解説します。

顧客対応スキル

第一に必要となるのが顧客対応スキルです。顧客対応スキルとは、どのような顧客に対しても一定の品質を保ち、問い合わせ内容に応じて臨機応変に対応する「高度なコミュニケーションスキル」のことです。

カスタマーサービスに連絡してくる顧客のほとんどは、質問したいことがあるか、または製品に対して何かしらの不満を抱えています。前者の場合、質問だらけの顧客もいれば何から質問すればよいのか分からないといった、話がまとまっていない方もいます。

そのようなときは顧客の話に耳を傾け、何を伝えようとしているのかを瞬時に把握するスキルが必要になるでしょう。

また後者の場合は、怒りをぶつけられたり厳しい言葉を投げかけられたりすることもあります。そのようなときには、感情的にならず自尊心を抑制するスキルが求められます。まずは顧客の意見を受け止め共感し、真摯に対応するのが望ましいでしょう。

課題解決スキル

カスタマーサービスにおいて最も重要なのが課題解決スキルです。前述したように、顧客は質問事項や不満など、何かしらの解決したい課題を持ってカスタマーサービスに連絡をしてきます。その顧客が抱える課題を解決することがカスタマーサービスにとって最大の任務といえるでしょう。オペレーターは顧客が困っていることや悩んでいることを把握し、課題解決のための対策を提案、または提供する必要があります。

なかでも製品の不良や不具合など企業側のミスによるクレームに対しては、丁寧かつ迅速に対応しなくてはなりません。カスタマーサービスの対応次第では、企業に対する不満を好印象へ変えることも可能なため、オペレーターとして課題解決スキルの習得は必須といえるでしょう。また日頃からカスタマーサービス内において、課題に対する解決策や知識を共有することも大切です。オペレーターによって対応の品質に差が出ないよう、情報共有をしっかりと行いましょう。

状況把握・判断スキル

カスタマーサービスで対応にあたるオペレータは、顧客の状況を把握したり判断したりするスキルを身につけなくてはなりません。カスタマーサービスに連絡してきた顧客が今どのような状況なのか、怒っているのか、何を要求しているのかなどをすぐに汲み取り対応する必要があります。

カスタマーサービスに連絡してくる方のなかには、時間がなくて焦っている方や興奮状態の方もいるでしょう。そのようなときもオペレータは冷静に対応しなければなりません。しかし、冷静といっても冷たい印象を与えてしまうのはNGです。感情を抑えつつも顧客に寄り添い、一緒に課題を解決しようとする姿勢を示すことが大切です。

このスキルは頭で覚えてすぐに発揮するというのは難しいかもしれません。普段の生活から相手が何に怒っているのか、何を求めているのかなどを考える癖をつけるとよいでしょう。

カスタマーサービスプラットフォーム導入がトレンド

今カスタマーサービスのトレンドとして注目されているのが、カスタマーサポートに特化したソフトウェア「カスタマーサービスプラットフォーム」です。カスタマーサービスプラットフォームの機能には、カスタマーサービスの生産性を向上させるための機能が多数備わっています。以下にカスタマーサービスプラットフォームの主な機能をまとめました。

◯通話録音機能と通話内容の管理

ソフトウェア上で受発信した通話を録音し、電話の内容をチケットにして表示します。

◯問い合わせメールの一括管理

顧客から送られたメールを「オープン」「保留中」「解決済み」3つのステータスに分けて表示します。これにより、まだ対応していないメールをすぐに把握できるようになります。

◯FAQサイトの立ち上げ

SNSを使う感覚で誰でも簡単にFAQサイトを立ち上げられます。また、コンテンツの追加も随時可能です。多彩なデザインプレートから自社に適したFAQサイトを作成できます。

◯リアルタイムチャット機能

企業のウェブサイトにチャットウィジェット(チャット用待ち受け画面)を埋め込むことで、訪問者とリアルタイムでチャットができる機能です。また、条件を設定することで特定の訪問者に対して自動メッセージを送信できます。

まとめ

顧客満足度向上のためにカスタマーサービスを導入する企業は年々増加しています。企業が成長し安定的な収益を維持するためにも、カスタマーサービスの役割をしっかりと理解しましょう。顧客のニーズへ柔軟に対応することが企業の未来に繋がります。そのためにはインフラの整備や職場環境の見直しも必要です。

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