日本国内で事業展開するERPプレイヤーは多く、ERP導入企業の頭を深く悩ませます。「一体どの製品を導入するのが正解なのか?」ERP導入においてまず躓く点が製品選定でしょう。
特に、近年多くのクラウドERPが提供開始されたことからユーザー企業の選択肢が一気に増加しました。これ故に、間違った製品選定をしてしまいERP導入に失敗してしまう企業も少なくありません。
そこで今回は、日本国内で提供されている主要ERPを10製品紹介していきたいと思います。各製品の特徴についても触れていきますので、ERP導入検討時の参考にしてください。
業界を代表するERP製品群
- Dynamics 365
- ZAC
- ツバイソ
- SAP Business ByDesign
- Oracle Cloud ERP
- NetSuite
- MA-EYES
- ALL-IN
- DS-mart ERP
- A.S.I.A
ERP製品10選
Microsoft Dynamics 365
2016年11月にMicrosoftから新たに提供されたクラウドサービス。もともと提供されていたERPとCRMであるDynamics AXとDynamics CRMを統合し、かつブラッシュアップしたクラウド型の統合ITソリューションです。
大手ERPベンダーとしてはERPとCRMを統合した試みは初であり、それだけに多方面から注目されました。そして期待以上にDynamics 365は様々なシーンでその導入効果を発揮しています。
7つのモジュールから構成されるDynamics 365は営業支援や顧客管理など通常業務を最適化するだけでなく、カスタマーインサイトなど本格的な分析機能で経営戦略を強く支援します。
また、Officeアプリケーションやその他Microsoftが提供するサービスとの連携性も高いので、既存環境としてMicrosoft OfficeやPower BIといったサービスがあると導入メリットは2倍3倍と増加します。
こちらの「Power BIとは」に関する記事で是非ご覧ください。
ZAC
数少ない国産ERPソリューション。特徴は必要な機能に応じてシステム構成を行える点であり、ニーズに合わて最適なERPを導入することができます。ただし、BI(ビジネスインテリジェンス)に関しては別途導入する必要があるので、ZAC単体ではERPでの情報資源活用効果を最大化できないという難点があります。
それを除いて考えれば、サポートも日本語で安心して利用できるので優良製品であるのには変わりありません。
ツバイソ
こちらも国産ERPソリューションでセキュリティ性を強化できるというのが最大の特徴です。ツバイソでは特定のIPアドレスによってアカウント制限をかけることができるので、システム全体のセキュリティ性を高めることができます。
例えば機密情報に触れることの多いアカウント(管理職など)では、内部からのアクセスのみで設定すると外部への情報漏えいを防ぐことが可能です。近年コンプライアンスを重視した経営が中心となっているので、企業の信頼性維持のためにも検討しておきたい製品の一つでしょう。
SAP Business ByDesign
ERPベンダー大手のSAPが提供する中小企業向けERPソリューション。数多く提供されているERPソリューションの中でも特に人事管理に強く、人事中心とした経営戦略を展開する企業に多く導入されています。
数年前から「タレントマネジメント」といった人材活用を強化した経営手法が注目されており、多くの企業が取り組みを行っています。タレントマネジメントを実現するにはそれを強力に支援するシステムが必要であり、多く選択されているのがSAP Business ByDesignです。
このようにERPソリューションの中でも強みや特徴が大きく異なるので、各製品の違いを明確に把握することが大切です。
Oracle Cloud ERP
こちらも中小企業向けに提供されている大手ERPベンダーのソリューション。DBベンダーとしての強みがERPに多く反映されている反面、導入パートナーによって対応モジュールが異なるという点に注意する必要があります。
また、モジュールの組み合わせにより導入コスト・運用コストが大きく変動するので、導入目的を明確にした上で検討を進めていく必要があります。
NetSuite
大手ERPベンダーに先駆けてクラウドERPを提供し続けてきた業界の老舗。NetSuiteでは約20年間に渡りクラウドERPを提供してきたという実績があり、長年のノウハウが蓄積されているという特徴があります。
業務システム全体を統合的に提供し、かつ各システムでシームレスな連携が取れているので全社最適化を実現するERPソリューションです。
MA-EYES
ERPソリューションとしては珍しくグループウェアを提供している製品。ERPを導入しつつ組織のコミュニケーションまで強化することができます。ただし、ERPとしての適用範囲が限定的なので、総合的なシステム環境を構築することが難しくなるので注意が必要です。
ALL-IN
中小企業やベンチャー企業向けに提供されている低コスト帯のERPソリューション。基本月額費用38,000円に加えユーザー毎に月額3,000円と非常に安価に利用することができるので、コスト重視のERP導入に最適です。機能面も比較的充実しているので、エンタープライズ向けとはいかなくとも統合的なシステム環境を構築できます。
DS-mart ERP
販売管理、生産管理、貿易管理、会計管理を中心としたERPソリューション。こちらも初期費用50,000円、月額費用50,000円と低コストで利用でき、1,000ユーザーまで価格変動がないのでコストパフォーマンスが高い製品でもあります。
A.S.I.A
日本初のグローバルERPで22ヵ国430社以上の導入実績を持つERPソリューション。各国言語に対応するだけでなく、異なる会計基準を複数管理することも可能です。今後グローバル展開を目指す企業で検討リストに入れておきたい製品の一つでしょう。
まとめ
今回様々なERPソリューションを紹介し、各製品に異なる特徴があることが分かったのではないかと思います。大切なことは、あくまで自社に最適な製品を選び導入することです。偏った意見を持たず、各ERPソリューションの特長を把握した上で目的に沿った製品選びを行いましょう。
また、既存システムとの連携性なども十分に考慮した上で、業務効率化や全体最適化を行える製品を選んでいただければと思います。