BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)やBPM(ビジネスプロセスマネジメント)を実践して、「業務効率を向上させよう」という取り組みが増えています。多くの企業では、少子高齢化に伴う人口減少や新興国の台頭、そして、優秀な人員確保が難しくなった今、業務効率を改善し、生産性を高め、利益の拡大を目指しています。
こうした取り組みでまず大切なことは、「現状のビジネスプロセス(業務の流れ)を可視化する」ことです。ここでいう「ビジネスプロセス」とは業務の起点から終点までの流れ、業務ごとのに必要な人員・モノの定義を指します。
今回は、そんなビジネスプロセスを可視化するために必要なビジネスプロセスモデリングについて紹介します。
ビジネスプロセスモデリングとは?
「モデリング」という言葉は、広義では「組み立てる」という意味があり、3DCGモデリングやスポーツにおいて「他者のプレイスタイルをモデリング(模倣)する」など様々なシーンで使われている言葉です。
BPRやBPMにおける「モデリング」とは「表記する」という意味が最も適切かもしれません。現状のビジネスプロセスを可視化するために、図や線、業務ごとの定義を使用して表記します。
皆さんも「業務フロー図」と慣れ親しんだ言葉で言えば、ビジネスプロセスモデリングをもっと身近に感じるのではないかと思います。
ただし、業務フロー図には様々な種類があるため、特定の図解を指さないので注意が必要です。
ビジネスプロセスモデリング手法
ビジネスプロセスモデリングの手法、いわゆる業務フロー図を作成するための方法には様々なものがあります。作成する目的や業務形態によって適切なものが異なるので、それぞれの方法を理解することがまず大切です。
BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記)
BPMNは国際標準ISO19510として、一定の規格で業務フロー図を作成できる手法の一つです。このため、ビジネスプロセスモデリングと言うときは、このBPMNを指すことが多くなっています。
業務フロー図作成にBPMNを使用するメリットは、「関係者全員が同じ言語で理解できる」というところです。今までのビジネスプロセスモデリングは、各々が独自の基準で業務フロー図を作成してしまうことで、関係者間で誤解を生んでしまうという問題がありました。
業務改善を確実なものにするためには、関係者全員が同じ認識で業務フロー図を理解しなければなりません。BPMNは国際標準として明確な規格があるので、共通言語として機能してくれます。
BPMNはその用途に応じて、コレオグラフィ図やカンバセーションズなど、様々な業務フロー図が存在します。
産能大方式
産能大方式は1950年代に、産業能率研究所によって開発された業務フロー図です。その特徴は「精微なルールによって表記できること」であり、製造業の複雑な業務フロー図を明確に表記できます。
ただしルールがかなり細かいので、産能大方式を使用する際は関係者全員がすべての記号を理解している必要があります。そのため、BPRやBPMに適用するためには、ある程度の習熟が必要です。
これら2つのビジネスプロセスモデリング手法の他にも、UML(統一モデリング言語)やEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)に基づいた業務フロー図など、様々なものがあります。
ビジネスプロセスモデリングのメリット
BPRやBPMによる業務改善を実施するにあたり、ビジネスプロセスモデリングを行うことにはどんなメリットがあるのでしょうか?第一にはビジネスプロセスを改めて可視化することで、これまで意識していなかったプロセス間の繋がりや、無駄な業務を発見しやすいことです。
「業務改善とは」の詳細はこちらでもっとご参考にしてください。
組織間を巡るビジネスプロセスの中には、明確な目的がないにもかかわらず、当たり前のように遂行されている業務が往々にして存在します。それらは、古い慣習や根拠のない理由によって存在していることがほとんどです。
例えば官庁が規定している様々な業務法の中には、「明確な根拠はないし、誰が施行したのかも分からない」というルールを発見し、改正されることも少なくありません。組織の規模が大きいほどこうした「無駄な業務」が発生する傾向にあり、ビジネスプロセスモデリングによってそれを発見できます。
先述した「共通言語として使用できる」というのも、ビジネスプロセスモデリングの大きなメリットの一つです。「関係者全員が同じように理解できる」というのは業務フロー図作成にあたっての大前提なので、BPMNは産能大方式のような、ルールが明確に定義されているビジネスプロセスモデリング手法を活用するのが良いでしょう。
ビジネスプロセスモデリング手法の中でも特にBPMNは、作成した業務フロー図をそのままシステムに落とし込める、というメリットもあります。BPMNで作成した場合BPEL(ビジネスプロセス実行言語)でシステムに直接落とし込み、再設計した業務フローの適用時間を大幅に短縮できます。
このように、ビジネスプロセスモデリングを行うことで業務改善の手間を短縮したり、効果の高い取り組みが実現します。
ツールを活用して業務フロー図を作成しよう
ビジネスプロセスモデリングを実施するために、業務フロー図作成ツールを活用するケースが増えています。BPMNや産能大方式、あるいは独自の基準に沿った業務フロー図をデザイン性良く作成できるので、複雑な業務フロー図も簡単に、かつ見やすいものを作成できます。
現在、多くの業務フロー図作成ツールが提供されていますが、実はDynamics 365にもビジネスプロセスモデリング機能があります。
Dynamics 365の業務プロセス フローにより、効率的で、より効率的な営業、サービス、および他の業務プロセスを作成できます。 また、高効率のプロセスを適切に配置することで、成功率を最大にして、顧客満足度を向上させ、売り上げを伸ばすことができ流ようになります。
この業務プロセス フローでは、エンティティ フォーム最上部に特別なコントロールを設定することで、ビジネス プロセスのビジュアル化を作成します。 ユーザーは完了に向け、営業、マーケティング、顧客サービス プロセスのさまざまなステージで利用することが可能で、 各プロセスでは、複数のステージおよびステップをサポートします。 ステップを追加または削除したり、ステップの順序を変更したり、業務プロセス フローに新しいエンティティを簡単に追加できます。
業務フロー図作成ツール導入の検討を行う際は、視野を広げ、Dynamics 365の活用をご検討ください。
まとめ
いかがでしょうか?本稿により、ビジネスプロセスモデリングの概要や重要性を理解し、これを機に積極的に取り組んでいただける企業が増えれば幸いです。BPRやBPMによる業務改善に取り組む際は、まずビジネスプロセスモデリングから始まり、現状把握から行ってください。