RPA/ワークフロー

業務フローとは?書き方やルールを分かりやすく解説

どんな仕事にも特有の「流れ」があります。ほとんどの企業では、その流れに沿って仕事を遂行していきますし、仕事を効率良く終わらせるためには最適な流れが必要です。これを「業務フロー」と呼びます。

本稿ではこの業務フローについて詳しく解説し、その書き方のポイントまで解説します。業務フロー図を作成し、業務の効率化を図りたい企業はぜひ参考にしてください。

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業務フローとは?

一般的な解釈としては「仕事の流れ」という意味になりますが、広義には業務と業務のつながりや、業務ごとの作業手順なども含めて業務フローと呼ばれています。例えば特定の書類を作成する仕事においては「作成⇒編集⇒保管⇒共有」といったプロセスを経過します。これが1つの業務フローであり、どの仕事にも特定の業務フローが存在しています。

本稿でこの業務フローをテーマにしている理由は、「最適な業務フローなくしてビジネスの成功は難しい」という命題を企業は常に持っているためです。「最適な業務フロー」が何かというと、いくつもある作業手順や作業方法の中から最も効率的な手順・方法が選択されており、それが次の仕事やビジネスにしっかりとつながっている姿を指します。

業務フローは時代に合わせて定期的に見直すことで、効率化だけでなく品質の向上やリスクの軽減にも貢献します。多くのメリットをもたらす重要な要素となるので、正しく理解し、効果的に活用しましょう。

なぜ業務フローか必要なのか

なぜ業務フローか必要なのか

業務フローは、業務の全体像を把握し、効率的かつミスのない作業を進めるために必要不可欠です。フローを可視化することで、誰がどのタイミングで何を行うべきかが明確になり、作業の重複や無駄が削減されます。

下記4点に注目し、詳しく解説します。

  • 仕事の流れを可視化できる
  • 効率化の発見につながる
  • 新人教育にて行動基準を示せる
  • 標準化を推進して品質を保つ

業務フローの必要性を理解し、企業全体のパフォーマンス向上につなげましょう。

仕事の流れを可視化できる

業務フローを可視化することで、各業務の手順や進行状況を一目で把握できるようになります。また作業の順序や役割が明確になり、誰が何を担当しているのかを特定できます。

特に、複数の担当者や部署が関わる複雑な業務では、可視化することでコミュニケーションが円滑になり、作業の重複や抜け漏れを防げます。

また、可視化によって業務のボトルネックや非効率な部分を発見しやすくなり、業務改善の具体的な指針を得ることが可能です。例えば、業務の進行が滞っている箇所を特定し、必要なリソースや人員を適切に再配置することで、全体の作業効率が向上します。

効率化の発見につながる

業務フローを明確にすることで、業務の流れ全体を俯瞰し、無駄や非効率な部分を発見することが容易になります。各プロセスの中で重複している作業や不要な手順、リソースの無駄遣いが明らかになり、これらを削減・改善するための具体的な対策が見えてきます。

例えば、手作業で行っている部分を自動化したり、不要な承認プロセスを削除したりすることで、作業のスピードアップとコスト削減が可能です。

さらに、効率化の発見にもとづいて業務を改善していくことで、従業員の負担が軽減され、より重要な業務にリソースを集中させることができます。

新人教育にて行動基準を示せる

業務フローは新人教育の場で、具体的な行動基準を明確に示すツールとして非常に有効です。新人社員は、業務の流れや手順をゼロから理解する必要がありますが、業務フローを示すことで、業務の全体像と各プロセスの役割を簡潔に伝えられます

また業務フローは、新人にとってどの作業をどの順番で行うべきか、誰に確認を求めるかなどを視覚的に理解する手助けとなります。

「分からないことが分からない」状態の新人従業員に対し、口頭やマニュアルで説明するよりもスムーズに業務の理解が進み、実務に早く適応できるようになります。

標準化を推進して品質を保つ

業務フローの整備は、業務の標準化を推進し、結果として品質の維持・向上に大きく貢献します。標準化とは、特定の業務において全員が同じ手順や方法を守ることを意味し、これにより業務が効率化され、ミスの発生率を抑えることが可能です。

また、標準化された業務フローは、特定の担当者に依存しない仕組みをつくり上げ、作業の属人化を防ぎます。

業務フローを可視化し、作業の手順やプロセスを統一することで、誰が作業を担当しても同じ結果が得られるようになります。これにより、業務の質が安定し、企業全体のパフォーマンスが向上します。

業務フロー図とは?

業務フロー図とは?

業務フロー図とは、業務プロセスの一連の手順を視覚的に表した図のことを指します。フローチャートやプロセスマップとも呼ばれ、各業務の流れや作業手順、関係する部署や担当者を分かりやすく示すために用いられます。

例えば、注文処理の流れや顧客対応のプロセスなど、具体的な業務の進行を示す際に活用されます。図にすることで、関係者全員が同じ理解を持ち、円滑に作業を進めることが可能です。

また業務フロー図を用いることで、業務の全体像が一目で把握でき、業務の効率化や改善点の発見に役立ちます。特に、複数のステップや異なる部門が関与する業務においては、業務フロー図を用いることで、作業の重複や手順の抜け漏れを防げます。

業務フロー図作成のために押さえるべきこと

業務フロー図は、明確にルールが定められているわけではありません。そのため、自社に適した内容で作成する必要があります。作成のために押さえるべきポイントは下記の3点です。

  • 業務フローの開始地点が一目で分かる
  • 工程区切りの明確化
  • 関係者を対象とした周知

業務フロー図作成の際に押さえるべきポイントについて、1つずつ詳しく解説します。

業務フローの開始地点が一目で分かる

業務フローは必ず1つの作業から始まります。複数の作業を同時進行で進める業務フローでも、各作業には因果関係があり、この関係を明確にして表すことが欠かせません。悪い業務フロー図の典型例として、業務フローの始まりがいくつもあり、パッと見ではどのように業務フローをスタートしてよいか分からないという特徴があります。

工程区切りの明確化

工程の区切りを明確化するためにさまざまな図形を使いましょう。業務フロー図ではさまざまな図形や線形を使い分けることで、各工程が何を意味しているのか?どのようにフローを進めるのか?を直感的に判断できるようにします。業務フロー図を作成する上での基本ではありますが、同じ図形と同じ線形だけで作成された悪い業務フロー図もよく見かけます。

関係者を対象とした周知

業務フロー図を作成するにあたって、ルールを周知する必要があります。業務フロー図作成には、特定のルールは存在しないため、極端にいえば関係者全員がそれぞれのやり方で業務フロー図を作成することが可能です。しかし、業務フロー図は地図のようなものであり、図形や線形などを標準化するからこそ関係者全員が瞬時に理解できる図を作成することができます。

業務フロー図の書き方|基本的なポイント・ルール

本章では、業務フロー図を作成するための基本的なポイントについて解説していきます。

Point1.アイコンを使用しない

業務フロー図を作成するにあたり、アイコンを多用するケースが少なくありません。一見、アイコンを使用するとデザイン的に見やすくなるように感じますが、業務フロー図を複雑にする原因になってしまうため推奨しません。

Point2.共通規格をつくる

業務フロー図というものは、関係者全員・組織全体にとっての「共通言語」でなくてはいけません。前述のように各関係者がそれぞれのルールで業務フロー図を作成してしまうと、それを1つに統合するために手間がかかるだけではなく、誤解やトラブルが生まれやすくなり、仕事に支障をきたす可能性もあるからです。従って、業務フロー図を作成する前に全社的な共通規格をつくるか、既存の規格を適用する必要があります。

Point3.業務フロー図を作成する意義を知る

「業務フロー図は何のために作成するものなのか?」この認識が曖昧なまま業務フロー図を作成しても、組織でそれを活用することはできません。業務フロー図は仕事の流れや作業手順を明確にするだけでなく、仕事ごとのつながりを可視化したり、そこにある問題を発見するためにも使用します。組織として業務フローを整理するだけではなく、その先の活用方法まで考慮するとよりよい業務フロー図が作成できます。

業務フロー図を作成する手順

業務フロー図を作成する手順

業務フロー図の作成は、企業の業務を可視化し、効率化を図る上で非常に重要なプロセスです。手順を把握しないまま始めてしまうと、作成自体に時間がかかる、意図が伝わらない、そもそも完成しないなどの可能性が高いです。業務フロー図を作成するには、以下の手順で進めることをおすすめします。

  1. 目的の明確化
  2. 担当者選定
  3. タスクの明確化
  4. タスクの関係性を明確化
  5. 時系列に並べる
  6. 図形・記号を用いる
  7. 見直しと修正

ここからは、それぞれのステップについて詳しく解説します。

1.目的を明確にする

業務フロー図を作成する最初のステップは、目的を明確にすることです。業務フロー図は、組織内でのさまざまな目的に応じて作成されますが、その目的によって図の構成や詳細度が変わります

例えば、業務の全体像を把握して効率化を図るための業務フロー図と、新入社員のトレーニング用に作成するフロー図では、着眼点や焦点を置く箇所が異なります。

業務改善を目的とする場合には、ボトルネックの発見や非効率な作業の洗い出しが目的となるでしょう。目的を明確にすることで、必要な情報を盛り込んだ適切なフロー図を作成できるようになります。

2.担当者を選定する

次に考慮すべきステップは担当者の選定です。適切な担当者を選ぶことは、正確かつ効果的な業務フロー図を作成するための鍵となります。担当者はその業務の詳細をよく理解している人材を選定する必要がありますが、具体的には、業務の進行状況や各プロセスにおける役割分担、現場での課題や改善点を把握している人物が理想的です。

担当者の選定では、現場の作業者だけでなく、業務全体を監督する立場にいる人も含めることが推奨されます。現場作業者は具体的な手順や細かいプロセスを熟知しており、上層部の担当者は全体の流れや経営目標との整合性を考慮しながらアドバイスを提供できます。

3.タスクを明確化する

次のステップは、業務に関連するタスクを明確化することです。これは、業務の流れを把握しやすくするために、全体を構成する具体的な作業を細分化してリスト化することを指します。

現場の担当者や関係者からヒアリングを行い、各業務がどのように進行しているかを詳しく調査します。その際、具体的な作業内容だけでなく、作業の順序や依存関係、関連する資料やシステムなども整理しましょう。

各タスクの担当者や必要なリソースも明示することも重要です。これにより、誰が何を行うのか、どの段階でどのリソースが必要になるのかがはっきりし、フロー図がより実践的なものになります。

4.タスク間の関係性を明らかにする

各タスクが単独で機能することはほとんどなく、多くの場合、他のタスクと連動しながら進行します。そのため、タスク同士の依存関係や連携を正確に把握し、図に反映させることで、業務全体の流れがスムーズに進むように設計できます。

例えば、顧客からの注文を処理する業務フローでは、在庫確認が終わらなければ出荷準備ができないといった具合に、特定のタスクが完了してはじめて次のタスクが進行するという関係が多くあります。こうした依存関係を理解することで、ボトルネックや業務の遅延が発生する可能性のある箇所を事前に特定しやすくなります。

5.時系列に並べる

タスクを時系列に並べることは非常に重要です。業務の流れは多くの場合、特定の順序に従って進行します。この順序を適切に整理することで、業務全体の進行状況を視覚的に理解しやすくなり、効率的に業務を進めるための基盤が整います。

各タスクの実施タイミングを確認し、どのタスクが先に行われるべきか、または並行して進められるかを明らかにします。

他のタスクが終了するまで実行できないものや、特定のタスクが完了し次第すぐに始めるべきものもあります。例えば、製品の発注処理では、注文確認が終わらなければ在庫確認ができず、在庫確認が終わらなければ発注処理が進められないというように、全てのタスクには明確な順序があります。

6.図形や記号を使う

図形や記号を効果的に使うことで、視覚的に分かりやすく、情報を整理して伝えられます。各タスクやプロセスの種類、役割を示すために使われ、作業の流れや依存関係を一目で把握できるようにします。

一般的に、業務フロー図では特定の図形や記号が標準的に使われます。例えば、プロセスを示すためには長方形、判断を示すためにはひし形、開始や終了を示すためには楕円形がよく使用されます。また、矢印を使ってタスク間の流れや順序を表すことで、次にどのプロセスが実行されるかを明確に示せます。

7.見直しと修正する

業務フロー図の作成が一通り完了した後、最も重要なステップの1つが見直しと修正です。1度作成すれば終わりではなく、常に最新の業務状況に即したものに保つ必要があります

作成したフロー図が実際の業務を正確に反映しているか確認しましょう。現場の担当者や関係者からフィードバックを得て、業務の流れに不整合や抜け漏れがないか、手順に改善の余地がないかを確認することが大切です。

業務環境は常に変化するため、新しい技術の導入や、業務の効率化に伴い、フロー図も随時更新されるべきです。定期的な見直しと修正を怠らず、常に正確で役立つ状態を維持することが、業務の成功につながります。

業務フローの標準化とクラウドERPの活用

クラウドERPは、企業の基幹業務を統合的に管理するシステムであり、業務フローの標準化を支援するのに役立ちます。業務フロー標準化の概念を押さえ、効率よくクラウドERPを活用しましょう。

業務フローの標準化とは

業務フロー図を作成する目的の中には、グループ子会社や海外現地法人など、グローバル全体で業務フローを標準化するというものがあります。大規模な業務フロー標準化を図ることで、親会社やグループ子会社や海外現地法人を含めた全体の経営状況可視化も比較的容易になります。

ただし、大規模な業務フロー標準化を図るためには、業務フロー図を作成するだけでは足りません。グローバル全体で共有可能なIT基盤が必要であり、システム面から標準化を図ることが大切です。

クラウドERPの活用

システム面から標準化を図るために活用できるのは「クラウドERP」です。ERP(Enterprise Resource Planning)とは、基幹系システムを複数統合したパッケージソフトウェアであり、これをインターネット経由で提供するのがクラウドERPです。

クラウドERPは通常のERPとは違い、初期投資を大幅に抑えられるのに加えて、運用負担を大幅に軽減できます。クラウドERPを導入することで、グローバル全体で同じIT基盤を共有することが簡単になり、各拠点のデータを1ヵ所に集約することもできるため、経営状況可視化にも大いに役立ちます。同じ業務フローを構築することもでき、拠点・地域ごとの特色を反映した業務フローを独自に作成できます。

Power Automate

Microsoftが提供する業務自動化ツールで、複雑な業務プロセスを自動化し、作業効率を向上させることができます。ユーザーはコードを書かずに、ワークフローを簡単に作成でき、定型業務や反復作業を自動化することで、人為的なミスを減らし、時間を節約することが可能です。

また、Power Automateは、Microsoft 365やDynamics 365などの主要なMicrosoft製品だけでなく、数百もの他社製アプリとも統合可能です。

例えば、メールの受信やドキュメントの作成、データベースへの入力など、さまざまなタスクを自動化するワークフローを構築できます。さらに、AI機能を活用して高度な自動化も可能で、業務効率を最大限に引き上げてくれるツールです。

まとめ

業務フローは、業務を効率的に進めるための重要なツールです。業務全体の流れや手順を可視化することで、効率化や作業の重複を防ぎ、標準化を推進しながら品質を保てます。

また、クラウドERPやPower Automateのような自動化ツールを活用することで、業務フローをさらに効果的に管理し、業務の自動化と標準化を図れます。

業務フローの正確な理解と活用は、自社の成長に直結する要素であり、定期的な見直しと改善を行うことが重要です。

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