マイクロソフトは法人向けに多数のクラウドサービスを提供しています。その中で「Microsoft 365とOffice 365の違ってなに?」や、「Microsoft 365とOffice 365、どっちを契約するのがお得で便利なの?」という疑問を持っている方は多いでしょう。
本稿ではこうした疑問を解消するために、Microsoft 365とOffice 365を様々な視点から徹底比較していきます!
Microsoft 365とは?Office 365とは?
最初に各サービスの概要を整理します。
Microsoft 365は2017年11月1日に提供開始された比較的新しいサービスです。このサービスの特徴はこれまでバラバラに提供されてきたOffice 365とWindows 10、それとモバイルセキュリティ(Microsoft Intune or EMS)を統合的に提供していることです。ビジネスツールとしてMicrosoft Officeを、デスクトップ環境としてWindowを採用している企業にとって多くのメリットがあります。
一方Office 365はマイクロソフトが提供するクラウド型のコラボレーションツールです。ExchangeやSharePointといったサーバー製品としてお馴染みのシステムを、オンラインで提供します。さらにSkype for BusinessやYammerなど組織のコミュんケーションを促進するためのツールが多数備わっています。さらに、プランによってMicrosoft Officeのサブスクリプション(定期購買型のライセンス)が付与され、最新のExcelやPowerPointを最大15台の端末にインストールできます。
もっと見る:「Office365 とは」
Office 365の機能
次に、Microsoft 365に包括されているOffice 365の機能を整理していきます。ここでは中小企業向けプランのMicrosoft 365 Businessに含まれている、Office 365 Business Premiumを参考にします。
Office 365 Business Premiumの機能
- Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNote、Access、Publisherを5台のPC、5台のスマートフォン、5台のタブレットにインストール
- オンラインで利用するWord、Excel、PowerPoint
- ユーザーごとに50GBのメールボックスが付いたExchange Online
- ユーザーごとに1TBのストレージが付いたOneDrive for Business
- ファイル共有スペースとサイト作成機能を備えたSharePoint Online
- 遠方の相手とも対面でのコミュニケーションが取れるSkype for Business
- チームごとに各機能の集中管理を実現するMicrosoft Teams
- チームのプロジェクトとタスク単位で管理するMicrosoft Planner
- Outlook 内で顧客関連情報管理が行えるOutlook Customer Manager
- ビジネスの管理を効率化するMicrosoft Booking
- スケジュールとスタッフの日常管理を実現するMicrosoft StuffHub
- Office 365の検索性を高め素早い情報アクセスを行うMicrosoft Graph
- 通知の受信、ファイル同期等のワークフローを自動化するMicrosoft Flow
- 組織内のフラットなコミュニケーションを実現するYammer
- Webアプリまたはモバイルアプリを素早く構築するPowerApps
- 稼働率 99.9% 保証と返金制度を持ったSLA(Service Level Agreement)
- シングルサインオンの実装やActive Directoryとの統合
このように、Office 365 Business Premiumだけでもこれほどの機能を持っており、組織のコミュニケーションを促進することはもちろん、日常業務の大幅な効率化も実現するサービスです。Microsoft 365 Buisinessではこれらの機能がすべて含まれています。
Microsoft 365 E3にはOffice 365 Enterprise E3が、Microsoft 365 E5にはOffice 365 Enterprise E5が含まれており、それぞれに異なる特長を持ちます。
Windows 10とモバイルセキュリティ
Microsoft 365にはマイクロソフトの最新OS Windows 10と、インターネット経由で利用できるモバイルセキュリティ(Microsoft Intue or EMS)も含まれています。それぞれの概要を整理します。
Windows 10
マイクロソフトが提供する最新OSであり、これまでのバージョンと比較して革新的な機能やデザインが多く実装されています。数回の大型アップデートにより音声アシスタントの「Cortana(コルタナ)」はより精度を増しており、ビジネスシーンでも活用できます。「Continuum(コンティニューム)」は接続するモニターに合わせて画面サイズやレイアウトを最適化でき、どんな環境でも業務遂行とプレゼンテーションが可能になります。ちなみにMicrosoft 365各プランごとに提供されているエディションが異なるので注意しましょう。
- Microsoft 365 Business - Windows 10 Business(一般提供無し)
- Microsoft 365 F1 - Windows 10 Business(一般提供無し)
- Microsoft 365 E3 - Windows 10 E3(サブスクリプションタイプ)
- Microsoft 365 E5 - Windows 10 E5(サブスクリプションタイプ)
「Windows10 エディション」について調べてみよう!
Microsoft Intune
Microsoft Intuneはマイクロソフトが提供するエンタープライズモビリティ管理のEMS(Enterprise Mobility + Security)に含まれるデバイス機能を提供する製品です。Microsoft IntuneはEMSのなかでも、デバイス管理に関する次の機能を提供しています。
- モバイルデバイス管理
- モバイルアプリケーション管理
- Office 365の高度なデータ保護
- 統合的なパソコン管理
- 統合的なオンプレミス管理
EMS(Enterprise Mobility+Security)
EMSはマイクロソフトが提供するエンタープライズモビリティ管理の製品であり、その中のデバイス管理サービスの機能によって、パソコンやスマートフォン、タブレットといった多様なデバイスを総合的に管理します。管理するデバイスがWindowsを搭載しているかどうかは関係なく、OSに依存しない管理が可能です。以下が主要機能となります。
- モバイルデバイス管理
- モバイルアプリケーション管理
- Office 365の高度なデータ保護
- 統合的なパソコン管理
- 統合的なオンプレミス管理
- 多要素認証
- 条件付きのアクセス
- セキュリティレポート
- 永続的なデータ保護
- 標的型攻撃からの保護
以上のようにMicrosoft 365にはOffice 365以外にも多様な機能が提供されており、これらを統合的に導入できるだけでもかなりのメリットではないでしょうか。
Microsoft 365とOffice 365の価格
次にMicrosoft365とOffice 365の価格体系をご紹介します。
Microsoft 365の価格体系
- Microsoft 365 Business 月額 2,180円/ユーザー
- Microsoft 365 F1 月額 1,090円/ユーザー
- Microsoft 365 E3 月額 3,690円/ユーザー
- Microsoft 365 E5 月額 6,640円/ユーザー
Office 365の価格体系
- Office 365 Business Essentials 月額540円/ユーザー
- Office 365 Business 月額900円/ユーザー
- Office 365 Business Premium 月額 1,360円/ユーザー(Microsoft 365 Businessに含まれる)
- Office 365 ProPlus 月額1,310円/ユーザー
- Office 365 Enterprise E1 月額870円/ユーザー
- Office 365 Enterprise E3 月額2,180円/ユーザー(Microsoft 365 F1&E3に含まれる)
- Office 365 Enterprise E5 月額3,810円/ユーザー(Microsoft 365 E5に含まれる)
Microsoft 365もOffice 365も提供しているサービスが違うため、どちらを利用するのがお得かは単純に比較できませんね。それではMicrosoft 365 E5で提供されているサービスと製品を、個別で導入した場合の価格を確認してみましょう。
- Office 365 Enterprise E5 月額 3,810円/ユーザー
- Windows 10 E5 月額 2,070円/ユーザー
- EMS(Enterprise Mobility+Security)E3 月額1,610円/ユーザー
合計 月額7,490円/ユーザー
Microsoft 365 E5の月額が6,640円なので、ユーザーあたり月額850円もお得です。年間にすれば10,200円の得であり、これがユーザーごとにお得になると考えれば、組織全体で見るとかなりのコストダウンになります。
Microsoft 365を検討してみよう!
Office 365を契約してWindows 10をプリインストールとして使用していると、全クラウド化が促進しないため管理項目が多くなってしまいます。Microsoft 365ならOffice 365はもちろん、Windows 10もモバイルセキュリティもすべてインターネット経由で提供されているため、全クラウド化が実現します。この機会に、Microsoft 365の導入をぜひご検討ください。