営業数値管理は、企業の営業状態を効率的に把握するために活用される方法です。営業数値管理の必要性や、営業ナレッジの共有による業務効率化と案件情報の見える化がもたらすメリット、営業数値管理でみるべき指標などについて解説します。
営業数値管理とは
営業数値管理とは、営業部が設定している目標に対する達成度を数字で明確に表し、管理することです。営業数値で目標達成度を管理することから、「ギャップ管理」とも呼ばれています。営業実績は事業活動の利益に大きく関係する部分なので、目標と実際の売上実績に大きな差があると経営状況に影響が出る恐れがあります。
営業数値管理では、主に売上合計、受注数、案件数などの目標と実績の数値をチェックしなければなりません。とくに営業数値で重要視されているのは、年間と月間の売上目標です。毎月の売上目標に対して日々の実績が徐々に達成に近づいていることをチェックします。
営業数値管理の必要性
従来では、営業活動は属人化されていたため、営業担当者によって売上成績が大きく異なるケースがよくみられました。こうした状況においては、営業担当者が自身で営業方法を確立しなければならないため効率が悪く、他社との競争に勝てない、営業部全体の成績向上にもつながりにくいなどの問題があります。
営業活動を数値で表し、顧客による問い合わせからアプローチ、契約、受注などさまざまな段階に細分化して営業状況を管理していると、営業活動が上手くいっていない原因(ボトルネック)の発見に役立ちます。ボトルネックを明確にして営業部門でチーム内の課題を明確にすることで、営業活動の方向性を決定し、正しいマーケティング施策策定につなげることも可能です。
営業管理をするメリットとは?
営業管理を行っていると、さまざまなメリットが得られます。営業ナレッジの共有、業務効率化、案件情報の見える化など、営業管理を活用して企業の利益向上につなげられます。
営業ナレッジの共有
営業部門においては、各営業担当者がそれぞれの分担する顧客や取引先に対して営業活動を行っています。営業活動は個人ではなく部門内で協力して行うべきものですが、その成果が営業担当者個人の知識やノウハウに依存している企業は少なくありません。
営業管理を行っていると、従業員の営業活動を細分化してから、営業活動の各段階別達成度、営業成果実績、また、現在の進捗状況などが数値で明確化されます。例えば、各従業員が営業活動における訪問からアプローチ、商談、受注といった段階的な活動記録を残していれば、お互いに営業活動の現状を把握可能です。
営業管理を適切に導入すると、次々と業績をあげている優秀な従業員の働き方や営業ナレッジを他の社員にも共有できるようになるため、新人やまだ経験の少ない従業員、売上が伸び悩んでいる従業員がその情報を共有して能力向上につなげられるというメリットが得られます。
業務の効率化
適切に案件管理を行っていると、案件の進捗状況が管理され、営業部門内で共有できるため現在商談中の案件情報をすぐに確認できます。案件の進捗情報が相互に確認できる状態になって共有されているので、急ぎの用事で担当者に確認をとりたいときや営業会議の資料データをまとめたいときなどに効率よく作業することが可能です。
営業実績や案件の進捗状況といった情報は企業の業績に深く影響する重要な情報なので、さまざまな会議資料で必要とされるケースが多いです。案件の進捗状況からリアルタイムでデータを共有できていると、情報をわざわざ探したり分析し直したりする必要がなくなります。案件管理によって、現在の売上予測を部門全体でチェックできる状態にしていると、有益な情報共有のおかげで作業の無駄をなくして業務の効率化が可能です。
案件情報の見える化
案件管理によって、案件情報の見える化も可能になります。案件管理では、リードに対するさまざまなアプローチから、商談が成立するまでの進捗状況をフェーズごとに管理します。時系列で、誰が、どの案件に対してどのように対応しているかといった詳しい状況が部門全員で確認できるため、情報共有によるさまざまなメリットが得られます。
案件管理を行っていると、DM送付などのアプローチ、初回訪問、交渉中、クロージング、受注など、案件の詳細な状況をフェーズごとに把握できます。それぞれのフェーズにどれだけの案件が存在しているかといった情報、DM送付や交渉など企業の営業活動に対する顧客のアクション、営業担当者のサポートといった詳しい履歴も記録・管理されます。
案件情報を見える化し内容を分析することによって、過去の状況に裏付けされたボトルネックを見つけられるようになります。このため、案件に適した営業施策を実行可能となり、情報を共有することにより、チーム内でお互いに気づいた点などをアドバイスし合うこともできます。なかには、いつまでも更新されていない案件があるかもしれないため、案件の状況を把握できる案件管理を活用すると、そうした見落としもなくなり、売上アップにつながります。
営業数値管理でみるべき指標
営業数値管理では、目標管理や案件管理、行動管理によって明確にされる指標を活用できます。売上や受注目標、進行中の案件、営業担当者の行動などをチェック・分析を行い、必要な指標を用いて適切に管理を行います。
目標管理
目標管理では、月間、年間などの期間を定めて売上合計額や受注数などの目標を設定し、進捗状況を確認してリアルタイムの数値と目標値とのギャップを管理します。月末や年末など、実績が確定する以前、つまり目標に向けて営業活動を行っている途中で達成状況を確認できるため、定期的に現状把握することが可能です。
目標に向けた達成度が低い場合には、ボトルネックを確認して営業活動や戦略の軌道修正を行い、将来的な見込み数値を向上させる必要があります。
案件管理
案件管理とは、リードの獲得から交渉など、商談が成立するまでの状態を示す「営業案件」の数や状況を管理することです。発生した案件を受注につなげるため、フェーズごとに案件の分析を行います。この分析により営業活動の改善が可能になり、商談を成立につなげる確度を高められます。
また、分析により進捗状況の予測ができるため、案件がいつどれだけの売上につながりそうかの目安が立てやすくなります。フェーズが進まずに止まっているケースなども、さまざまな情報を分析して発見可能なため、最適化された営業活動により対応する機会を作れます。
行動管理
行動管理では、案内メール送信数、電話での案内数、新規訪問件数、商談数など、営業担当者一人ひとりの行動管理を行います。行動管理は営業担当者の行動を見張るような意味合いはなく、案件に対して営業担当者がとっている営業活動をリアルタイムで記録して把握・管理するためのものです。
営業担当者が個人目標を設定している場合には、目標達成や弱点克服に向けて行っている行動の成果が出ているかどうかを確認できます。
Microsoft Dynamics 365の導入で業務効率の向上を
案件管理、行動管理、顧客管理など営業数値管理を効率よく行うためには、総合的なビジネスアプリケーション「Microsoft Dynamics 365」の活用がおすすめです。Microsoft Dynamics 365はCRM(顧客管理システム)やERP(統合基幹業務システム)など、SFA(営業支援ツール)として必要なすべての機能が搭載された統合的なビジネスアプリケーションです。導入することにより営業活動をサポートするシステムが一元化されるため、社内で必要な情報をリアルタイムで共有・管理することが可能です。
各部門やチームごとに異なる、整合性のないデータを使用せずにすむことから、業務の大幅な効率化が実現します。また、Office365との親和性が高いため、ツール間での連携もスムーズに行えます。
まとめ
営業数値管理とは、営業目標に対して達成度を数字で確認し、管理する方法のことです。営業数値をデータで明確にして分析することで、ボトルネックの発見につながり、営業活動の見直しやマーケティング施策の策定を効率化できます。
営業数値管理は、ツールの利用でよりスムーズに行えます。Microsoft Dynamics 365を活用すると必要なデータをすべて一元管理でき、営業活動を柔軟にサポートしてくれるため、利益の向上につなげられるでしょう。