営業は会社にとっての前線部隊です。日本企業の多くは営業を中心とした売上創出を戦略としており、従って営業の質が売上・利益に大きく左右します。しかし、一部のトップ営業が売上・利益の大部分を創出しているという企業は少なくありません。理想は、すべての営業担当者が効率的な営業活動によって、一定の売上・利益を確保することです。
そのために企業は「営業管理」を実施しますが、正しい管理が行えていないケースが多いのです。実は、営業管理は4つの管理項目を意識するだけで成果が上がる営業活動が展開できます。本記事でその管理項目を紹介するので、営業管理に悩んでいるという方はぜひ参考にしてください。
営業管理で押さえておくべき4つの管理項目
営業管理は、日報作成を強制してセールスマンの営業活動を闇雲に管理すればよいわけではありません。営業管理に悩んでいる多くの責任者は、単なる日報管理におわりさまざまな角度からセールスマンを管理できていません。まずは、以下に掲げる4つの管理項目が営業管理で絶対に押さえておくべきものです。
ギャップ管理(目標管理)
営業活動を行うにあたり、すべてのセールスマンが売上目標を設定するかと思います。責任者もすべての売上目標を把握していることでしょう。しかし、それだけに留まってしまうとギャップ管理とは言えません。
売上目標の他に粗利益率、シェア率、案件数、アポイント数、契約数といった細分化された数値目標の管理が必要です。具体的には、新規案件を1件獲得するために必要なアクションを分析して、細かい数値目標をいくつも設定します。
目標は設定するだけでなく、進捗状況や達成度合いを定期的に報告しながら、現状の数値と目標数値のギャップ分析を実施して、目標達成のための戦略を立てていくのです。このようにギャップ管理を実施すれば、責任者もセールスマンごとの営業活動を管理しやすいですし、明確な指示も出せるようになります。
案件管理(顧客管理)
案件とは、営業活動の中で新規見込み客との間で生まれた商談のことです。営業活動を行う上で、案件管理はとても大切な案件項目です。案件は効率的に商談を進めていかなければ売上には繋がりませんし、そのためには1件1件のステージ管理などを実施しながら、効率よく売上へと繋げるための戦略を立てなければいけません。
案件管理は、基本となる顧客情報の管理はもちろんのこと、商談ごとのセールスマンの所感や、現時点で商談がどこまで進んでいるかのステージ管理、決裁者の把握、競合他社の有無など案件にかかわるあらゆる情報を管理します。
行動管理
案件管理からさらにドリルダウンして、セールスマン1人1人の行動を管理する項目です。案件ごとにどのようなアクションを取っているのかを、行動ごとにかかった時間なども含めて管理します。多くの企業がこれまで行ってきたいわゆる日報管理に類似したものです。
ただし、これまでの日報管理では簡単な行動履歴とセールスマン個人が感じている意見など定性的な情報ばかりを管理していました。行動管理ではセールスマンの所感などは省いて、1日の営業活動のうちどういった行動にどれくらいの時間を費やしたのかを明確に管理します。
トップセールスマンが高い実績を継続的にあげている理由の1つは、「適切な時間配分」です。営業では見込み客と商談したり顧客とコミュニケーションを取ったりする時間の他に、資料作成などに費やす時間もあります。トップセールスマンは上手な時間配分を知っているため、効率よく売り上げを上げるための行動がとれます。
一方、成績が振るわないセールスマンの多くは時間を積極的に費やすべきところに配分できず、時間の使い方が非効率的です。行動管理を実施すれば、事実をもとに責任者が的確なアドバイスができるため、営業全体の実績底上げにも貢献します。
そして、長期的な行動管理により営業の勝ちパターンが定義されれば、全体的なパフォーマンス向上も難しくありません。
モチベーション管理
トップセールスマンは常に高いモチベーションで営業活動に取り組みます。それは本人の性格によるところも大きいでしょうが、「自分自身のモチベーションを下げないための対策を自然と取っている」人がほとんどです。逆に、成績に振るわないセールスマンは、以下のような理由でモチベーションが低下傾向にあります。
- 営業活動における行動量は多いが売上が上がらない(⇒時間配分が悪い、確度の低い見込み客ばかりと商談を行っている)
- 些細なミスからクレームを受けてしまった(⇒1つ1つの仕事に対する責任感と重要性の理解が足りない)
- 業務量が多すぎていくら残業しても終わらない(⇒自分1人で抱え込み過ぎて周囲との協力が取れていない)
セールスマンの多くは自尊心からすべての問題を1人で抱え込もうとする傾向があります。責任者としては、セールスマン各人が抱えている問題を把握すると共に、モチベーションが低下しないようアドバイスをしたり負担を軽くしたりするなどのマネジメントが必要です。
日々のモチベーション管理を徹底できれば、セールスマン1人1人だけでなく営業部全体で前向きな考え方が増えるため、実績は確実に上がっていきます。
現代の営業管理に欠かせないSFA(Sales Force Automation)
上記で説明した4つの管理項目は、あらゆる情報を適切に管理することが大前提になります。そのためにExcelを活用しようと考える方も多いでしょうが、Excelにはいくつか問題点があります。
1つ目が、情報の統合が難しいことです。Excelは共同作業に向かないソフトウェアなので、各セールスマンの情報を統合するとなると相当量の作業が必要です。また、セールスマンごとに管理用のファイルができてしまうことから、管理が複雑化してしまいます。
2つ目の問題はバージョン管理が難しいことです。Excelは1度間違って更新してしまった、削除してしまうと復元が困難になります。正しい状態で復元されないケースもあるため、それまで蓄積した情報は失われます。
そして3つ目の問題がリアルタイム性の欠如です。Excelで管理されている情報は常に最新のものではないので、リアルタイムな情報に応じて的確なアドバイスが難しくなります。何より、行動管理は帰社後に入力しなければいけないのでセールスマンの負担が増します。
そこでおすすめなのがSFAです。SFAは営業活動の管理を効率的にするためにさまざまな機能が搭載されていますし、クラウド型なら外出先からでもシステムにアクセスして情報を入力できることから、隙間時間で行動管理を実施することができます。
本記事で解説したような営業管理を徹底するには、SFAなど営業活動に特化したシステムが必要です。クラウド型なら導入も比較的容易なので、適切な営業管理を実施するためにSFAの導入も検討してみましょう。
もちろん、SFAが無くても営業管理は実施できるので、自社環境を考慮しながら最適な管理方法を模索しましょう。