顧客満足度の向上を目指しコールセンターの立ち上げを検討しているものの、何から手をつければよいのか分からないといった声はよく耳にします。コールセンターを立ち上げるのなら、正しい手順や注意点を把握したうえで進めることが大切です。本記事でお伝えする内容を参考に、スムーズなコールセンター立ち上げを実現しましょう。
コールセンター導入で得られるもの
コールセンターやカスタマーサポート立上げにより、顧客接点の創出につながります。コールセンターが窓口となり顧客との接点を創出でき、個々の問い合わせやクレームに適切な対応を行えるのがメリットです。
また、コールセンターの対応品質は、企業イメージを大きく左右します。顧客と直接やり取りを行う部門であるため、オペレーターが高品質な対応をすることで、企業イメージがよくなり顧客満足度の向上効果も狙えます。
さらに、顧客対応専門の部門を立ち上げることで、機会損失を回避できるのもメリットといえるでしょう。電話対応を主業務とするオペレーターが在籍するため、顧客からの電話に出られない、といったことを回避できます。
コールセンター立上げのプロセス
行き当たりばったりでコールセンターを立ち上げようとすると、失敗してしまう可能性があります。成果につながるコールセンターをスムーズに構築するため、以下のプロセスに沿って取り組みを進めましょう。
1.現状把握と課題を洗い出す
まずは現状把握に取り組みましょう。各部門を横断的にヒアリングすれば、「個々の従業員が抱えるタスクが多く電話対応に人手を割けない」「1日の着電が多くすべてに適切な対応ができない」など解決すべき課題を明確にできます。
現状を見つめ直し課題を抽出できたら、コールセンターに必要な人員やシステムを考えましょう。1日の問い合わせ数から逆算し、何人いれば対応できるのか、どのようなシステムを導入すべきなのかを煮詰めます。
2.目標とゴールを設定する
コールセンター運営の目標やゴールを明確にすることで、部門一丸となって業務に取り組めます。目標を明確にし、達成度を測るためにKGIを設定しましょう。KGIは重要目標達成指標のことで、コールセンター運営であれば「1年の売上額〇〇円を目指す」といった目標が該当します。
KGIを達成するためのKPI(重要業績評価指標)も設定しましょう。設定した目標を達成するのに、業務でどのような成果をあげる必要があるのかを設定します。たとえば、「受注率を20%増にする」「アポイント率を30%増やす」などが考えられます。
KGIとKPIを設定したうえで業務に取り組み、成果をチェックしつつ目標達成を目指しますが、必要に応じてKPIや取り組み方の見直し、修正も必要です。
3.全体設計を行う
具体的な業務プロセスの設計を行いましょう。顧客への対応方法や記録方式、トラブル発生時にどこへ報告するのかなど、実際の業務を踏まえて設計を行います。
KPIやオペレーターの管理など、マネジメントに関する設計も必要です。KPIの設定や修正を誰が担当するのか、オペレーターはどのように管理するのかなどを決めます。
人材育成についても考えなくてはなりません。研修の内容やマニュアルに盛り込む内容などを考えます。人材育成の体制や環境が、オペレーターの対応品質を左右するため、重要なプロセスといえるでしょう。
4.システムや人材を構築する
全体設計の内容を、コールセンター構築に反映させるプロセスです。業務フローやマニュアル作成を進め、コールセンター運営に必要な各種システムの導入も進めましょう。
コールセンターに必要なシステムには、CRMやCTIなどが挙げられます。また、さまざまな業務領域をカバーできるMicrosoft Dynamics 365も、コールセンター運営ではよく導入されているため、併せて検討してみましょう。
外部から人材を募るのなら、採用活動をスタートします。教育体制も整え、人材を獲得したあとスムーズに育成できる環境を構築しておきましょう。
コールセンター立上げ時の注意点
コールセンター立ち上げ時には、いくつかの注意点を押さえておきましょう。以下、コールセンター立ち上げで覚えておくべき注意点をピックアップしました。
社内インフラに不足がないか
社内インフラが不十分では、コールセンター運営に支障をきたすおそれがあります。特に、通信インフラの容量が十分確保できているかどうかは重要です。
通信インフラが不十分な場合、システムの動作が遅くなり顧客に迷惑をかける可能性があります。また、一度にたくさんの着電があった場合にオペレーターへつながらず、顧客がストレスを感じてしまうかもしれません。
問い合わせ対応時に、WebサイトやCRMへスムーズにアクセスできるか、大量の受電に対応できるだけの回線を設けているかを確認しましょう。なお、十分なインフラを構築するとなると相当な初期費用が発生しますが、クラウドを用いたインフラ構築であればコストを抑えられます。
対応品質の維持が難しい
対応品質の維持が難しい課題もあります。普段は一人ひとりに丁寧な対応を行えていても、繁忙期になるとオペレーターにつながりにくい、納得いく対応を受けられないといった状況が発生し、顧客満足度の低下を招くおそれがあります。
反対に、閑散期には問い合わせが少なくなり、オペレーターが手待ち状態になる可能性も否めません。常駐のオペレーターを採用しているのなら、無駄なコストが発生してしまいます。
対応品質を維持するには、コールセンター運営に関する高度な知識や経験が求められます。また、ナレッジを蓄積し、オペレーター間で共有できる環境の構築も必要です。
費用面の投資リスクが大きい
コールセンターの立ち上げには、システムの導入や人材の採用、育成、インフラ構築などさまざまな初期費用が発生します。莫大な初期費用となるケースも多いため、経営を圧迫してしまう可能性もあります。
基本的にコールセンターは長期的な運用を続けるため、どれくらいのランニングコストが発生するのかも把握しておかねばなりません。システムのメンテナンス費用や月々の通信料、通話料などが該当します。
このようなリスクを避けたいのなら、クラウド型のコールセンターサービスを利用する方法が考えられます。クラウド型のシステムであればスモールスタートで取り組めるため、金銭的なリスクを最小限に留められます。
人材の確保が難しい
オペレーターの業務領域は広範にわたり、なおかつ、ときには理不尽なクレームへの対応にもあたるため、離職する人が少なくありません。人材の流出を防ぐには、ITツールの導入による業務効率化や、オペレーターをケアできる体制の構築が求められます。
コールセンター立上げにかかる費用
コールセンター立ち上げにあたり、どのような費用が発生するのかを覚えておきましょう。コールセンター立ち上げには、初期費用や採用費用、人件費などさまざまなコストが発生します。
一般的にかかる費用を知る
一般的にかかる費用として、インフラ構築費用やシステムの導入費用などが挙げられます。自社にインフラを構築するのなら、サーバーや機器を設置する専用スペースも確保しなくてはなりません。
人材の採用活動に要する費用や育成コスト、人件費なども発生します。採用活動では、求人広告の掲載料や人事担当者の人件費がかかるほか、オペレーターへ支払う給料も必要です。
クラウドでコールセンターを導入するケースでは、初期費用と月々の利用料が発生します。サーバーやシステムの構築などの費用がかからないため、コストを抑えたコールセンター立ち上げが可能です。
コールセンター業務のアウトソースも検討する
コールセンター業務をアウトソースするのもひとつの手です。自社にインフラやシステムの構築をする必要がなくなり、専門的な知識と技術を有するスタッフが対応してくれるため高品質な顧客対応が期待できます。
アウトソースであれば、オペレーターの採用や育成も不要です。これらの業務に時間を割かずに済み、コア業務に注力できます。対応数や業務時間に応じた費用のみが発生するため、初期費用を大幅に抑えられるのもメリットといえるでしょう。
まとめ
企業の顔となるコールセンターの立ち上げにより、イメージや顧客満足度の向上、接点増加による売上拡大などの効果が期待できます。成果につながるコールセンター立ち上げのため、本記事でお伝えしたプロセスに沿って構築に取り組んでみましょう。
コールセンター運営に役立つシステムは多々ありますが、Microsoft Dynamics 365もそのひとつです。CRMやERP、カスタマーサービスなどさまざまな機能を網羅したアプリケーションで、コールセンター運営を強力にバックアップします。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。