1990年代から2000年代初頭にかけて大企業を中心にERPの導入が加速しました。その影響からかERPというと大企業のものであり多額の予算が必要という印象が強かったかも知れません。しかし、Dynamics 365のようなクラウドERPの台頭により中堅・中小企業においてもERPのメリットを享受すべく導入が加速しています。
皆さんはERPにどういう印象をお持ちでしょうか?中には「導入はしたいけど大変そうで専門知識がないと無理なのでは?」「意外と高価なのでは?」など、やはりネガティブな印象を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな概念を覆すクラウドERP製品、それが「Dynamics 365 Business Central」です。今回はこのDynamics 365 Business Centralについて、概要からメリット、機能、価格などについてご紹介致します。
Dynamics 365 Business Centralとは?
Dynamics 365 Business Centralは、2018年3月13日に米国Microsoftビジネスアプリケーション&インダストリー担当副社長であるアリッサ・テイラー氏により電撃的に発表されました。そして、同年4月3日には主要14カ国において製品が展開され、日本においても現在はマイクロソフトのCloud Solution Provider (CSP) パートナーを通じて展開が開始されています。
そもそもDynamics 365 Business CentralはマイクロソフトのSMB向けERPであるMicrosoft Dynamics NAVの全機能を継承し、クラウド化することでDynamics 365シリーズの新たなラインナップとして提供されるものです。Microsoft Dynamics NAVは、全世界196カ国で22万社の導入実績を誇っており、あらゆる業種や業態で実証済みと言えます。
また、Microsoft Dynamics NAVからの大幅な機能拡張によりシンプルなデザインでありながらも高い機能性を備えているだけでなく、迅速な導入を前提にしているためスピーディに導入できる特徴を有しています。もちろん、必要に応じて稼動後に拡張もできます。
そのため中小企業においてもクラウドERPが、より迅速かつ手頃な価格で導入できることになるのです。ちなみに製品発表と同日に日本マイクロソフトのブログでは、Dynamics 365 Business Centralは250名以下の中小企業をターゲットにしているとしています。
Dynamics 365 Business Centralの特徴は?
Dynamics 365 Business Central は、財務会計・受発注・サプライチェーン・在庫管理・プロジェクトサービス管理・サービス管理・生産管理・マーケティングの8モジュールから構成された、中小企業に向けた本格的なオールインワンERPソリューションです。以下は代表的な特徴です。
- 合理化されたビジネスプロセス:自動化されたタスクとワークフローでビジネスを統合し、業務の効率化と生産性向上を実現可能です。また、マイクロソフト製品ならではのOutlook、Word、Excelなどの使い慣れたOfficeツールとの密接な連携で他のERPにはない さらなる業務効率化が可能です。
- アクション可能な分析: マイクロソフトの最先端のインテリジェントテクノロジーによって提供されるBI機能によりビジネス分析、およびガイダンスを使用してビジネスの全体像を把握します。
- 柔軟化な拡張性:すぐに始められるだけでなく、企業の進化や変化に柔軟に対応可能な拡張性の高いプラットフォームを提供します。
- モバイルアクセス:Windowsだけでなく、Android、iOS デバイス全体で一貫性のある直感的なインターフェイスで モバイルアクセスが可能です。これにより自宅や外出先でもビジネスを可能にします。
- 高度なデータ保護機能:個人情報へのアクセスを高度な権限設定で保護できるだけでなく、監査証跡を記録します。また、システム全体で安全にデータを処理、保存、送信し、マイクロソフトのデータセンターの自動暗号化で不正アクセスからデータを保護します。
Dynamics 365 Business Centralの代表的な機能は?
財務の予実やキャッシュフローの予測など財務をリアルタイムに可視化
組み込みの Power BI ダッシュボードを使用して営業や購買、在庫と連動した会計により財務パフォーマンスをリアルタイムで可視化します。また、ダッシュボードを起点に詳細な分析で傾向や問題を特定することでインサイトを獲得し、意思決定を迅速化可能です。さらに正確かつ合理的な方法で決算および財務報告を迅速化することも可能です。もちろん、これらのデータはシームレスな Excel 統合でレポートを柔軟にカスタマイズすることも可能です。
サプライチェーンを最適化
優れた在庫管理機能によりフルフィルメントのための在庫の全体的なビューを取得します。さらに、在庫を補充する時期を予測したり、売上予測と在庫切れ予測から発注書を自動的に作成したりすることも可能です。また、生産管理においては製造キャパシティとリソースの状況を把握しながら生産スケジュールを制御します。つまり、在庫レベル、リードタイム、発注ポイントの自動計算などの優れた機能で、生産や在庫の適切なレベルを維持し、サプライチェーン全体を合理化することが可能になるのです。
営業活動の合理化
CRM/SFA機能、マーケティング機能により、見込まれる収益に基づいた見込み客の優先順位付けが可能です。また、見積もりから現金獲得までの営業プロセスを迅速化することに加えて、顧客とのすべてのやりとりを追跡して、アップセル、クロスセルなど適切なガイダンスを、営業サイクル全体を通じて入手できるため収益の最大化に貢献します。また、販売後はサービスタスク、ワークロード、従業員のスキルを勘案しながらリソースを効果的に割り当て、サポート案件の解決を迅速化します。
プロジェクトサービス管理
プロジェクト単位で事業を展開するサービス企業に向けて最適なプロジェクトサービス管理機能を提供します。例えば、稼働状況を計算するためのタイムシートを併用しながら高度な原価計算機能とレポート機能でプロジェクト全体を管理します。そこから見出された状況に応じて予算を作成、修正、管理することでプロジェクトの収益性を確保します。また、顧客への見積もりや請求も合理化することが可能になります。
Dynamics 365 Business Centralの価格は?
Dynamics 365 Business Centralでは、利用したい機能に応じてDynamics 365 Business Central Essentials(¥7,610/月/ユーザー)、Dynamics 365 Business Central Premium(¥10,870/月/ユーザー)、Dynamics 365 Business Central Team Members(¥870/月/ユーザー)というエディションを用意しています。(※ 2019年10月現在の公開されている価格を掲載しています)
前述した通り、Business Central はDynamics 365 パートナーを通じて販売および実装されています。詳細なライセンスや、導入費用、追加料金についてはパートナーにお問い合わせください。