SFAの導入は決めたものの、どの製品を選ぶべきか迷われている企業担当者の方は多いのではないでしょうか。製品によって特徴や備わっている機能が異なるため、自社にマッチした製品を選定することが大切です。そこで本記事では、SFAの選定時に押さえておきたい比較ポイントや、SFAの主要な3製品の特徴について詳しく解説します。
SFAはクラウド型が主流となる
「SFA」とは「Sales Force Automation」の略で、文字通り「営業活動の自動化」を指します。一口に営業活動といっても、さまざまなプロセスがあります。デジタルの活用により、これらのプロセスや各営業担当者の活動を一元管理し、営業活動を支援することがSFAの目的とするところです。
従来のSFAは、自社でオンプレミスサーバー上での導入が主流でした。しかし、クラウドの活用が普及した現在では、クラウド型SaaSのSFAの導入が主流となっています。SaaSは自社でシステム開発する必要がなく、すでにあるシステムを必要に応じてカスタマイズし利用します。そのため導入までの期間が短く、導入コストも少なく済むのが特徴です。
インターネット環境さえあれば端末に依存せず、PC・スマートフォンなどから場所を問わずにアクセスできるのもメリットです。新型コロナウイルスの影響により、従来と比べて訪問営業の減少を実感されている企業も多いことでしょう。外出や移動が多い営業員の場合、クラウド型のSFAであれば、場所や端末の制約なくSFAを利用でき、生産性向上につながります。
また、クラウド型のサービスならインターネットを介し、機能面やセキュリティ面などのアップデートをすぐに反映できます。最新の機能を比較的安価に利用できることから、今や多くの企業でクラウド型の利用が広がっています。
SFAの比較ポイント
営業活動を効率化し、チームとしての生産性を高めるSFA。しかし、一口にSFAといっても、その実さまざまなツールがあります。ここでは、数あるツールを比較する際のポイントについて、4つの観点からご紹介します。
求める機能がある
SFAの導入を検討するにあたり、企業や営業組織の課題解決のためにツールを導入すること、すなわち目的意識を高くもつことが重要です。目的意識が欠けていると、導入するSFAを何となく決定してしまい、十分な成果につながらない可能性が高くなります。
そのため、自社の営業においてどういった課題があるのか、あらかじめ適切に抽出・整理しておくことが大切です。「顧客データが散在してチーム内で共有できていない」「各営業員の活動記録が一元管理できておらず、各顧客に対して適切なアプローチができていない」など、抱えている課題によって優先度の高い機能は異なるからです。
解決したい営業課題が明確になれば、その解決のために必要な機能が自ずと見えてくるはずです。SFAを選ぶ際は、「自社に必要な機能を備えているかどうか」をひとつの選定基準にしましょう。
料金プラン
いくら自社の課題にマッチしたSFAでも、見込める効果に対して費用が高すぎるようでは本末転倒です。よって、事前に費用対効果の妥当性を確認しておく必要があります。そこで重要となるのが、料金プランの把握です。
SFAのようなツールでは、1ユーザー単位での費用請求となることが多く、自社で利用する必要があるユーザーを正確に把握しておかなければなりません。また、抽出した営業課題に対して、SFAの導入でどれだけの効果が期待できるのかをKPIとして落とし込み、効果測定の計画を立てます。一般的には月単位や年単位で契約し、その期間におけるKPIとの比較から、費用対効果を把握します。
特にクラウド型SaaSの場合、初期費用こそかからないものの、継続的な利用を前提としています。そのため中長期的な観点から、料金プランに基づく費用の見積もりと、もたらされる効果を検証する必要があります。一度利用し始め、データが蓄積されるとSFAツールを移行する手間もかかるため、最初の導入段階である程度検証しておきましょう。
ユーザービリティ
SFAは導入して終わりではなく、きちんと運用して成果を上げなければ、費やしたコストが無駄になってしまいます。それゆえ、現場の営業メンバーが使いやすいように、ユーザービリティにも着目することがポイントです。
場合によっては、SFA導入の意思決定者と導入後の主な利用者が異なるケースもあるでしょう。導入後、利用者がスムーズに使いこなせるように、事前に触れてもらい使用感を確かめるなどのプロセスも必要です。
営業メンバーの生産性を下げるひとつの要因が、商談の記録や日報の入力に時間がかかることです。しかしながら、それらを改善できるからといって、皆が皆新しいツールのシステムに対して前向きに捉えるわけではありません。特にSFAではなく、独自の手法で顧客管理などを行ってきたベテランの営業メンバーは、ネガティブな反応を示す可能性もあるでしょう。
ユーザービリティに優れたツールを選定し、SFAがもたらすメリットを丁寧に伝えることで、導入だけでなく運用もスムーズに進みやすくなります。比較検討の段階で営業担当を巻き込み、前向きにSFAを使いこなせるようにしてもらうことも大切です。
サポートの有無
SFAを導入して営業成果につなげるためには、各営業担当がSFAを使いこなせるようになることが大切ですが、必ずしも営業担当者のITリテラシーが高いとは限りません。使い方への理解が進まず、最悪の場合、あまり活用されなくなるケースもあります。導入から運用を定着させるには、SFA提供企業のサポートが充実しているかどうかも重要です。
不明点やトラブルなどが生じた際、メールやチャットで都度相談に応じてくれるなどのサポート体制が敷かれていれば、スムーズにSFA運用が定着するでしょう。無論それだけに甘んじず、社内で使い方を定期的に周知していくことも大切です。
SFAのおすすめ3選
最後に、おすすめのSFAを3つご紹介します。
Dynamics 365 Sales
Microsoftが提供する「Dynamics 365 Sales」は、営業活動はもちろん、関連する財務や製造管理にも拡張して利用できるクラウド型SFAツールです。MicrosoftといえばExcel・WordなどのOffice製品でお馴染みですが、Dynamics 365 SalesはこれらOffice製品とクラウド上で連携できます。
機能面の特徴としては、確度の高い見込み顧客の発掘と優先順位づけ、顧客のステータスに合わせたアプローチの提案などをしてくれます。料金プランは複数ありますが、「Dynamics 365 Sales Professional」は1ユーザーあたり月額7,070円で利用可能です。サポートも充実しており、多くの企業に導入されている知見から導き出された、活用方法のナレッジやサポートオプションを利用できます。
SalesForce sales Cloud
セールスフォース・ドットコムが提供する、世界最大シェアのSFAツールが「SalesForce sales Cloud」です。文字通りクラウド型のサービスで、機能面が非常に充実しています。必要に応じて「Professional」「Enterprise」「Unlimited」などのプランから選べるため、自社に適した運用が可能です。
営業支援の機能が特に充実しており、顧客や商品の管理、販売に関連する契約や問い合わせなどの管理、さらに売上予測などの機能も備わっています。これら営業支援に加え、マーケティング支援やコンテンツ管理、データ集計や代理店管理など幅広く活用できます。官公庁や自治体といった公的機関にも導入されているほど、セキュリティ面も含めた信頼性が高いのも特徴です。
料金プランは、最も利用されている「Enterprise」で、1ユーザーにつき月額18,000円となっています。サポートについてはプランにより違いがあるものの、ナレッジベースの記事や問い合わせ対応などが充実しています。
Kintone
サイボウズが提供する「Kintone」は、SFAの範囲を超え、幅広い機能テンプレートと組み合わせながらカスタマイズし、業務改善を行えるプラットフォームです。自社のニーズに応じてテンプレートを追加し、最適な形を作り上げます。
初期費用がかからず、1ユーザーにつき「スタンダードコース」なら月額1,500円、「ライトコース」なら月額780円と、非常に安価な料金体系が特徴です。SFAにあまり費用をかけられない会社でも、手軽に試用できるのではないでしょうか。ライトコースでも、平日日中はメール・電話によるサポートを受け付けています。
また、システム上でSNSのようなコミュニケーションが実現でき、チーム内やチームを超えた連携もしやすいです。Excelのようなデータ管理なども集約できるため、導入から運用までスムーズに取り入れていけるでしょう。
まとめ
今後の人口減少が見込まれるなか、働き手が減る前提で企業業績をアップしていくには、生産性の向上がポイントです。営業組織も例外ではありません。SFAの活用を通じて、営業活動の効率化や、属人化せずに生産性を高めることなどが求められます。営業管理機能が充実した「Dynamics 365」の導入をぜひ検討してみてください。