SFAは営業管理部門の業務効率化ツールとして多くの企業に導入されています。しかしながら、SFAの導入メリットを適切に把握していない方もいるかもしれません。そこで本記事では、SFAの導入メリットについて詳しく解説していきます。
SFAとは
「SFA」とは「Sales Force Automation」の略称で、直訳すると「営業支援システム」となります。営業活動の一部を分析し、マンパワーのみでは成し得ない速さと正確性で効率化・自動化を支援するシステムです。主に顧客、案件、商談内容などをシステムによってデジタル管理します。たとえば、商談進捗の円滑化や受注見込み額の情報共有など、業務の効率化に欠かせない機能を備えています。営業情報をデータ管理し、過去の商談記録と照らし合わせての交渉を可能にすることで、2人の営業担当が同じ顧客へセールスするのを防ぐといったことも可能です。
SFAの画期的な点は「プロセス管理」という機能です。プロセス管理とは、営業担当のアクションと成績を数値化する機能で、営業成績が可視化されます。各営業担当の成績が定量的に管理できたるため、人事評価を実施する際に役立つでしょう。その他にも売り上げ予測やスケジュール管理、タスク管理機能なども備えており、営業部門全体のスムーズな連携とマネジメント業務の効率化を実現します。これにより、営業担当の労働生産性が最大化され、顧客満足度と成約率の向上に貢献します。営業部門の全体像を俯瞰的に可視化できるので、課題や問題の発見にも役立ちます。SFAは業務効率の向上と課題・問題を可視化し、組織全体の競争力を高めるツールとして、多くの企業で導入が進んでいるシステムです。
経営者視点でのSFAの導入メリット
経営者視点でのSFAの導入メリットは大きく分けて3つあります。「迅速な経営判断が可能」「教育コストの削減」「評価の適正化」です。ここではSFAの導入によって得られる3つのメリットについて解説します。
迅速な経営判断が可能
IT技術の進化・発展に伴い、ビジネスを取り巻く環境は凄まじい速さで変化しています。現代ビジネスで何よりも重要なのは、データを起点とした迅速な意思決定です。SFAは営業部門の業務効率を向上させることで迅速な経営判断に貢献します。たとえば、各業界の顧客の増減などを簡単に集計する機能を備えているため、業界ごとの供給バランスを知る目安になります。具体的に数値化された情報をリアルタイムで確認することで、適切な経営判断につながるでしょう。
また、SFAの導入によって組織全体での円滑な情報共有が可能になります。現代ビジネスにおいて情報の共有は非常に重要な課題です。営業部門の業務データを一元管理し、組織全体で共有することで定量的な分析による戦略が構築できます。経験や勘頼みではない、具体的な数字を基にした経営判断が可能になるでしょう。
教育コストの削減
営業部門における従業員の教育は大きな課題です。営業職は見込み客や顧客との円滑なコミュニケーションが求められます。しかし、コミュニケーション能力は一朝一夕で習得できるものではなく、単純な教育だけでは養えないスキルです。営業職の人材育成にかかる費用と時間は多くの企業が抱えている課題でしょう。
SFAは、営業部門のあらゆるデータを一元管理することで、営業スキル向上に貢献する機能を備えています。たとえば、一流営業パーソンの商談情報をデータ管理し、暗黙知を形式知へと変換可能です。つまり「営業スキル(暗黙知)」を「言語化・マニュアル化(形式知)」に変換することで、組織全体でのスキル共有が可能になります。業務の属人化を防ぐと共に、教育コストの大幅な削減につながるでしょう。
評価の適正化
営業担当の評価は成績だけでは読み取れません。結果はひとつだとしても、そこに至るまでに多くの過程が存在します。SFAは、営業担当の活動内容や実績が記録される機能を備えています。それにより、営業担当の動きが全てシステムに蓄積されるので、全ての業務プロセスを管理・評価が可能です。従来は簡単に数値化できなかった「業務プロセス」が可視化されることで、営業担当のモチベーションアップや業務効率向上につながります。
企業にとって優秀な人材の確保は最優先課題のひとつです。そのためには人事評価の最適化は必須といえます。業務フローが可視化されれば、優秀な人材の発掘やキャリアアップにつながり、営業部門全体の品質向上が実現するでしょう。
管理職視点でのSFAの導入メリット
管理職の視点から見たSFAの導入メリットは、営業部門のあらゆるデータを可視化することで、問題や課題への迅速な対処ができる点です。それにより、意思決定に必要な数字把握速度が向上し、営業部門全体の最適化に寄与します。ここからは、管理職視点での導入メリットについて詳しく解説します。
営業活動の可視化
営業部門の情報は属人的な管理が行われていることが多く、共有できていない企業も多いでしょう。ブラックボックス化している情報を把握するためには可視化が不可欠です。SFAがあれば、管理者は各営業担当の活動内容をいつでも閲覧できるため、進捗管理が容易になります。たとえば、顧客に対して最適なアクションが行えているのか、どのセクションで時間を要しているのかなど、進捗状況を把握できるので管理者は適切な采配が可能になります。
ボトルネックが特定しやすくなる
ボトルネックとは、物事の進行の妨げとなる難関を意味する言葉です。SFAによって営業活動を可視化することで、ボトルネックの特定が容易になります。たとえば、ある企業に対するサービスの成約率の低さがボトルネットだと仮定します。そのようなケースにおいて、アクションの速度が原因なのか、あるいはコンテンツの内容がニーズにマッチしていないのかなど、仮説を踏まえたうえでデータとの比較検証が可能です。ボトルネックを可視化することで、明確な改善策の立案につながるでしょう。営業活動におけるあらゆる情報を管理することで、戦略的な営業活動の実施を実現します。
意思決定に必要な数字把握速度の向上
SFAには売り上げ予測・予実管理という機能を備えています。この機能は、各案件において担当ごとの売り上げや部署ごとの売り上げだけでなく、顧客や商品別といった多角的な視点からの売り上げ予測が可能です。特筆すべきはその精度の高さです。定形フォームへ数値データを入力することで、簡単に売り上げ予測の集計・分析が実行できます。この機能によって、意思決定の判断材料となる数字をリアルタイムで把握でき、正確で無駄のない事業戦略を構築できるでしょう。
営業成績はダッシュボード化されているため、進捗の曖昧さや根拠のない予測による売り上げ予測に振り回されることがなくなります。それと同時に予実管理も行えるため、案件ごとに見込受注額を入力することで売り上げ予測の精度が上がり、リアルタイムでの予測値の共有を可能にしました。結果として、営業部門のアクションを検討し、次の段階に移る速度が高まるでしょう。
営業担当視点でのSFAの導入メリット
営業担当の視点から見たSFAの導入メリットを紹介します。現場の理解がなければシステム運用の最適化は困難です。SFAを導入することで、営業担当は業務スタイルの変更という負担がかかります。したがって、システム導入は営業担当にとっても多くのメリットがあることを知る必要があるでしょう。
ネクストアクションがわかる
営業活動において重要な要素はタイミングの見極めです。たとえば、顧客のもとへ長期間訪問していないとしたら契約率の低下につながります。営業活動は顧客との円滑なコミュニケーションが大切です。そこで役立つのが、アクションアラート機能です。過去の営業担当の行動履歴から成功パターンをオートメーションで洗い出し、適切なアクションタイミングを通知します。長期間訪問していない顧客や、やり残しているタスクなどの把握が可能です。アクションアラート機能によって次の活動指針を具体的に示してくれるので、各案件に適切タイミングでの対応が行えます。また、営業パーソン間のスキル差を埋める効果も期待できるでしょう。
タスク機能によりミスやもれの防止
タスク管理機能によって人為ミスを防ぐことが可能です。「自分が今何をすべきか」を各担当へ意識付けをすることは、無駄のない営業アクションを生みます。業務に追われ、急な案件対応に気をとられているとミスが生じやすくなります。前述したアラート機能によって、長期間訪問していない顧客や、やりとりが必要な顧客対応のタイミングなどを知らせてくれます。タスク管理を徹底することで、営業パーソンとしての高いパフォーマンスが期待できるでしょう。
社内報告時間の短縮
営業担当は、就業時間を超えていても一度帰社し、営業日報や週報を提出する必要がありました。一日中顧客対応で、神経をすり減らし、そこから帰社して業務報告や日報の作成をしなくてはなりません。このような社内報告業務の時間短縮と効率化を実現します。SFAはモバイルデバイスにも対応しているので、外出先でもスマートフォンやタブレットなどからのアクセスが可能です。そして、ダッシュボード機能で業務報告や日報の作成が簡単に行えます。この機能を利用することで、就業時間をフル活用した営業活動が可能になるでしょう。
2019年4月に「働き方改革関連法」が施行されました。時間外労働に関する規制が厳しくなり、企業は適切な労務管理が求められます。そのため、就業時間内にいかに生産性を高めるのかが重要なポイントです。日報管理が出先で可能になれば、帰社する時間や労力を考慮する必要がなくなり、生産性の向上と残業の抑制につながるでしょう。
まとめ
SFAは営業情報の資産化を可能にし、営業力を強固なものにします。個々のスキルや情報に依存している状況から脱却でき、優秀な営業担当の量産も可能です。導入前には適切な社内ニーズの把握や環境整備は必要ですが、得られる効果は経営者・管理職・営業担当すべてのポジションにおいて絶大です。営業管理機能を搭載しているDynamics 365を導入し、自社一丸となる環境作りを構築しましょう。