プロジェクト収支を管理できている会社とできていない会社、どちらの方が高収益な企業体質かといえば当然前者です。理由は、プロジェクト収支に応じた人員投入やアクションを起こせるため、プロジェクトごとの利益率が高く、赤字プロジェクトを排除できるためです。
それに対してプロジェクト収支が管理できていない会社は、現段階でどれくらいの収支が発生しているかを理解できず、無計画な人員投入やタスク振り分けによって、最終的に蓋を開けてみれば赤字プロジェクトだった、という事例が少なくないのです。
皆さんの会社では、徹底したプロジェクト収支管理ができているでしょうか?本稿ではその管理ポイントを紹介していくので、今後の取り組みへの参考にしてください。
プロジェクト収支管理はなぜ重要なのか
まずはプロジェクト収支管理がなぜ重要なのかという基本を理解することから。
プロジェクト収支とは文字通り「プロジェクトに関わる収支」であり、製造会社においては商品の製造原価に相当します。つまり、プロジェクトにかかる原価を計算して、適正化のためのアクションを取り、高利益を生むための取り組みがプロジェクト収支管理です。
この説明だけでも、プロジェクト収支管理が如何に重要かご理解いただけるのではないかと思います。プロジェクト収支を管理していないと、現段階でどれくらいの原価がかかっているかを把握できません。
たとえば納期が遅れ利益率が低下しているプロジェクトにおいて、無理に人員を投入すれば利益率はさらに下がります。この時、プロジェクト収支を把握していれば、原価に応じたアクションを取れるでしょう。納期が遅れたとしても、プロジェクトの赤字は免れます。
しかし、プロジェクト収支管理の徹底は簡単ではありません。プロジェクト収支に関係する情報は各ツールや部署ごとに分散してしまっているので、それらの情報を収集し、正確なプロジェクト収支を把握することは困難でしょう。
情報が集まる「仕組み」を作る
プロジェクト収支管理を行うためにまず重要なのが、各ツールや部署ごとに分散している情報を収集するための仕組みを作ることです。プロジェクト収支には仕入費や労務費、その他諸経費など多くの情報が関わっています。これらの情報を統合しなければ、正確なプロジェクト収支の管理は難しいでしょう。
情報収集のための仕組みとして最も単純、かつ効果的な方法がITソリューションを導入することです。特にERP(エンタープライズリソースプランニング)をはじめとした、ビジネスアプリケーションを統合した製品ならば、部署ごとに分散していた情報を一元管理できるため、プロジェクト収支管理において高い効果を発揮します。
ITソリューションの導入がコスト面で問題があるという場合は、情報取集のためのルールを規定することが大切です。ただし、労力の割にスピーディな情報収集ができない場合もあるので、多少コストがかかってもITソリューションを導入した方がよいケースもあります。
プロジェクト収支管理のアクション
プロジェクト収支をただ計算するだけでは管理と言えません。管理とは、「何らかの基準に対してそこから外れないようにものごとを統制すること、あるいは、ある目的に対して何かを維持・発展させること」です。
日本科学技術連盟「目標達成のポイント 管理とは?」より抜粋
従ってプロジェクト収支管理のアクションとして「企画」「維持」「改善」の3つを意識して取り組みましょう。
企画はプロジェクトに対してどれくらいのリソース(費用、人員、設備)を投じるかを設定したものです。企画があるのとないのとでは、その後の計画性が大きく変わります。続いて維持は、企画で設定したリソースを基準としてそれを維持するための取り組みです。たとえば当初企画していた費用よりも多くかかりそうならば、何らかの施策で基準に近づける必要があります。最後に改善に取り組み、企画段階のリソースよりも少ないリソースでプロジェクトを遂行できれば、利益率は確実に上がります。
この「企画」「維持」「改善」は原価管理における基本的なアクションです。プロジェクト収支管理にも応用できるため、ぜひ活用してください。
適切なツールを選択する
プロジェクト収支管理を徹底するためには、やはりITソリューションの導入が不可欠です。プロジェクト別に収支を管理するとなると、その作業は一気に複雑化します。従業員1人あたり2つも3つもプロジェクトを抱えていれば、収支管理はさらに困難でしょう。それを徹底するためには、ITソリューションに頼らざるを得ません。
そこで重要なのが適切なツールを選択することです。プロジェクト収支管理のためにITソリューションを導入しても、それが自社環境にマッチしていなければ十分な効果は発揮しないでしょう。
最適なツールを選択するためには何に注意すればよいのでしょうか?
≪最適なプロジェジェクト収支管理ツール選びのポイント≫
まず大切なのが、そのツールでどこまでの管理が可能かというところです。一つのプロジェクトに焦点を絞って管理するならば、そこまで高度な機能は不要でしょう。しかし、複数のプロジェクトを管理するのであれば、部門間をまたがったツールの選定が必要です。
たとえば統合ビジネスアプリケーションのDynamics 365はERP製品とCRM製品を統合したものなので、組織全体にまたがった利用ができます。従ってプロジェクト収支に関する情報収集を一元化し、複数プロジェクトの収支管理が可能です。
ツールとしての「使いやすさ」も重要でしょう。プロジェクト収支管理ツールは組織全体が使用するものなので、使いにくいものはすぐに淘汰されていきます。エンドユーザーの情報入力あってのツールなので、使いやすさは必ず重視してください。その点、Dynamics 365はMicrosoft社製で使い慣れたインターフェースを提供しているので、多くのビジネスパーソンにとって使いやすい操作画面を提供しています。
プロジェクト収支管理ツールの選定が大詰めに入ったら、トライアルなどを実施して実際に使用してみます。このとき、異なる部署から複数名のユーザーを選抜して、ツールを評価してもらいます。評価のための基準も必ず設けて、トライアルを実施したツールを評価していきます。
その結果から、評価が高かったツールから優先的に検討していき、最終的に導入するツールを決めます。
まとめ
これまでプロジェクト収支をどんぶり勘定で計算してきた会社は、今後の競争に勝ち残れない可能性があります。最後に蓋を開けてみなければ収支が分からないプロジェクトほど怖いものはありません。赤字プロジェクトを生み出さないためにも、本稿で紹介した管理ポイントを参考に、プロジェクト収支管理に取り組んでみてください。
Dynamics 365では、プロジェクト収支管理が行えるアプリケーションの他にも、様々なアプリケーションを統合的に提供しています。プロジェクト収支管理ツールを導入する際はぜひご検討ください。