オペレーターは、顧客の問い合わせに対して迅速で適切な回答をしなくてはいけません。そして、対応するオペレーターが変わっても、同じ対応をする必要があります。
こうしたサービスを実現するには、業務のシステム化が重要です。そこでコールセンターシステムを導入する上で、重要なポイントや最適なシステムについてご紹介します。
コールセンターシステムは2種類
コールセンターシステムの運用方法には、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。オンプレミス型は自社サーバーに導入する方法で、クラウド型は他社が構築したシステムをネットワーク上から利用します。
また、クラウド型には、「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3つのサービス提供方法があります。このうちSaaS(Software as a service))は、パッケージシステムをネットワーク経由で提供するサービスです。導入コストが安く、すぐに利用できるのが利点ですが、仕様がきまっているので柔軟性に欠けるという欠点があります。
自社専用のコールセンターシステムをクラウド経由で利用したいという場合は、開発環境を提供するPaaS(Platform as a service)や、インフラ環境を提供するIaaS(Infrastructure as a service)を使用します。これらのクラウドサービスでは、コールセンターシステムを独自に開発しなければいけませんが、自社の業務プロセスに沿ったシステムを構築できます。
オンプレミス型コールセンターシステムのメリット・デメリット
オンプレミス型でコールセンターシステムを構築するメリットは、自社の要件にあったサービスが開発できる点です。「他のシステムとデータ連携したい」「独自の環境を構築したい」など、各々の企業の強みを活かしたシステムを導入できます。
一方デメリットは、導入のハードルが高い点です。インフラの整備からサーバーの構築まで自社で行わなくてはいけないため、時間やコストが大きくかかります。オンプレミスで一からシステムを構築する場合は、この点を考慮して試算しなくてはいけません。
そのため、すでに自社でサーバーを運用している企業の方が利用しやすいのです。またはこれから自社システムの運用をオンプレミスで考えていて、合わせてコールセンターシステムを導入したい場合が考えられます。
クラウド型コールセンターシステムのメリット・デメリット
クラウドでコールセンターシステムを利用する場合、すぐに導入できるのがメリットです。SaaSの場合は、パッケージシステムがそのまま提供されるので、サービスを登録してログインするだけで使用できます。オンプレミスのような構築の必要もないので、導入コストが安く済みます。
また、前述している通り、PaaSやIaaSといったサービス形態もあるため、自社用のコールセンターも構築可能です。「開発環境だけ利用したい」「インフラも含めて整備したい」など、構築したいサービスに合わせてサービスが選択できます。クラウドはネットワーク環境さえあればサービスを使用できるので、在宅ワークの導入がオンプレミスよりも簡単です。
一方デメリットは、SaaSは仕様が決まっているためカスタマイズがあまりできない点です。連携できるシステムに制限があるといった問題もあります。
コールセンターシステムのSaaSを導入する際のチェックポイント
SaaSでコールセンターシステムを導入する場合に、確認しておきたい事項をご紹介します。
セキュリティレベルは問題ないか
コールセンターシステムでは、顧客データを扱うためセキュリティレベルが高くなければいけません。特にクラウドサービスは、外部のデータセンターにデータを保管するので、情報漏洩が心配な方もいるかと思います。
しかし、近年のクラウドサービスは、通信やデータ保管に関してとても厳重です。通信の暗号化やPCI DSS準拠など、オンプレミスと比べても遜色ありません。そのため、より重要視する部分は、自社セキュリティーポリシーとの兼ね合いです。
たとえば、「特定のデータにアクセス制限をかけている」「コールセンター業務にテレワークを採用している」といった事情がある場合は、それぞれ必要な機能が変わります。
また、システムの冗長性やバックアップ体制の確認も必要です。この際、「災害やトラブル時に予備のシステムが稼働するようになっているか」「障害時にデータが復旧できるようにバックアップされているか」などを確認します。
連携できるシステムの種類は十分か
コールセンターシステムを利用する上で考慮したいのが、連携できるシステムです。たとえば、CRM(顧客管理)、SFA(営業支援)など、顧客情報や営業部門関連のシステムが挙げられます。
また、コールセンターシステムには、CTI(Computer Telephony Integration)という技術が重要です。この技術は、PBX(電話交換機)とCRM・SFAといった複数の機能を連携するための機能です。これを活用すれば、電話番号が登録してある顧客から電話があった場合、瞬時に情報をPC上に表示可能です。
さらに顧客データをグループ別に分けたり、これまでの記録を保存したりもできます。こうしたデータが活用できれば、業務効率化の向上やマニュアルの整備など、コールセンターの品質をより向上できます。
導入する目的を達成できるか
SaaSを選択する大きな理由は、「導入コストの削減」「導入期間短縮」が大半かと思います。このふたつは、他のサービスに比べてSaaSのメリットですが、これを優先するあまり肝心の導入目標を達成できなくては意味がありません。
前述しているとおりSaaSは仕様が決まっているので、システムによっては「導入前と変わらない」といった問題も起こりやすくなります。そのため、導入前に「何を解決したくて導入するのか」を明確にしなくてはいけません。
たとえば、目標設定として、ベーシック法というフレームワークを活用するのも良いでしょう。これは「目標の設定」「達成の基準」「期限」「アクション」の4つを定めて、目標が達成できたかを図るものです。コールセンターシステムであれば、以下のような設定が挙げられます。
- 目標:「システム連携による業務効率向上」「従業員の品質改善」など
- 達成基準:応答率、放棄率、SL、ASAなどの数値改善
- 期限:半年、1年、四半期など
- アクション:新システムの研修、マニュアル整備など
コストは適正か
クラウドサービスは導入コストがほとんどかからず、毎月の料金も従量課金制を採用しているところが多くあります。従量課金制は使用した分だけ料金が発生する仕組みなので、繁忙期や閑散期がある場合は運用コストの調整も可能です。
また、オンプレミスと比べても、SaaSの方が初期の費用が安価です。しかし、長期間で使用すると、オンプレミスよりもコストがかかる可能性があります。もしSaaSで長期運用を考えている場合は、導入前にコストの試算をしましょう。
コールセンターの円滑な運営に役立つシステム
コールセンターの業務では、適切な解答と迅速さが求められます。このふたつに問題があると、顧客を待たせてしまったり、満足度が低下してしまったりするのです。
こうした問題を防ぐためには、オペレーターが情報収集を迅速に行える環境の構築が必要です。そのためには、顧客情報を管理するCRMの導入が欠かせません。さらに情報が一元的に管理されており、データがすぐに引き出せれば、対応するオペレーターが変わっても素早い対応が可能です。
こうしたコールセンターシステムとして、Microsoft社が開発したDynamics 365がおすすめです。このソリューションはERP、CRM、SFAを統合しており、基幹データ・顧客管理・営業支援の3つのシステムを連携して使用できます。
さらに他のMicrosoft製品との連携も可能なため、業務全体の効率化に最適なシステムです。Microsoft社製なのでセキュリティも高く、安心して利用できます。
まとめ
企業が抱える全てのオペレーターが最適なパフォーマンスを行うには、システム連携が重要です。特にCRM・SFAといった顧客関連の情報を統合することで、素早く情報を引き出すことが可能です。
こうしたシステム連携を行うために、MicrosoftのDynamics 365をご紹介します。この製品は、ERP・CRM・SFA領域を統合したSaaS型クラウドソリューションです。
素早い導入とシステム連携を実現して、オペレーターの品質を高めます。また、Office製品など、Microsoft製品との連携も可能なため、企業全体の業務効率向上にも寄与します。コールセンターシステムと企業システムの連携を考えている場合は、おすすめのソリューションです。