基幹システムはそれ単体で動かすだけでなく、さまざまな機能・システムとの連携が重要視されています。複雑化する業務に対応していくためには、基幹システムをスムーズに各種機能と連携することが必要不可欠となるでしょう。この記事では基幹システムとの連携方法と、注意点について解説します。
基幹システムとはなにか
基幹システムとは、事業に必要な根本的な機能や情報を備えたシステムを指します。販売、会計、人事、生産など、事業の基本的な業務内容を支えるためのシステムと言えるでしょう。
基幹システムは企業における心臓部であり、これが止まれば全ての業務における運用が停止してしまいます。停止までいかなくとも、基幹システムが古くなったり、新しい業務に対応する機能が不足していたりすると、事業の停滞や遅延などのデメリットを生み出します。
そこで近年重要視されているのが、基幹システムと各種システムの連携です。必要に応じた連携を行える環境を作ることは、柔軟に事業展開を行っていく下地になります。時代やニーズに合わせて、事業に必要な機能やシステムは変わります。そのため基幹システムと組み合わせられる機能を持つシステムや製品を、柔軟に連携していける環境が求められているのです。
また、大量のデータを企業が保有する現代において、各種データを一元管理するために基幹システムと別システムの連携を行う必要もあります。データやリストがバラバラの状態に管理されていると、どれが最新の情報なのか、どの部分を更新・修正すべきなのか判断ができなくなるでしょう。
蓄積した情報を正しく使うためにも、連携による紐付けが重要視されます。
このように、基幹システムにはあらゆる面で連携作業が必要不可欠となっていて、今後の事業展開を左右するきっかけになると考えられるのです。
基幹システムの抱える課題点
基幹システムの連携が注目される背景には、近年のシステムが抱える課題が関係しています。基幹システムの運用方法・環境が抱える独自の課題点を解消することは、本格的な連携環境を導入する理由にもなります。以下からは、現代の基幹システムが抱える課題や問題について解説します。
システムの老朽化
基幹システムの運用期間が長いと、システムそのものが老朽化している恐れがあります。当時の技術を使って構築されたシステムは、時間が経つほどに古くなり、最終的には現代の環境に適応できないものになってしまいます。具体的には修復や改善のプログラミング言語を扱える人材が減少したり、度重なる改修によってサーバーが負荷に耐えられなくなったりといったデメリットが考えられます。突然のサーバーダウンが頻発したり、故障時に代替できる製品がなかったりする可能性も出てくるため、老朽化問題は大きな課題となっているのです。
経済産業省の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」によると、企業の85.6%が何らかのレガシーシステム(古い技術を使って構築されたシステム)を抱えていて、そのうちの約2割が基幹システムとなっています。基幹システムのレガシー化は今後も増加する予想が立てられていて、2025年には21年以上使用している基幹システムが6割を超えると想定されているのです。老朽化したシステムを特定・改善する機能などとの連携を行って、適切に対処していくことが今後は必要とされるでしょう。
属人的な運用方法
属人的な運用方法に頼りやすい点も、課題のひとつです。情報を共有する機能がないと、特定の人しか基幹システムの保守などを行えなくなります。属人的な運用方法が定着すると、特定の人がいない間システムを動かせなくなるリスクが高まります。
仮にその人が退職することになれば、基本的な運用方法がブラックボックス化してしまい、その後の業務に支障が出る可能性もあるでしょう。業務の引き継ぎや情報共有ができるシステムとの連携が行われていないと、属人的な運用によるリスクが高くなります。またデータ連携が煩雑であることも課題として挙げられ、複数のシステムやアプリケーションに情報が分散してしまうと、統合や情報収集がされにくい場合もあります。
IT人材不足で運用者がいない
基幹システムの抱える課題には、IT人材不足によって運用者の確保が難しくなる点も挙げられます。経済産業省の「IT人材白書2020」試算によると、最悪の場合2030年頃には最大で79万人ものIT人材が不足すると警鐘が鳴らされています。そのため基幹システムを正しい知識で扱える人材が、新規で獲得できない可能性も増えてくるのです。
基幹システムの運用や保守業務は、専門的なスキルを必要とすることもあります。また、データ連携なども煩雑なものとなっているので、IT技術者が不足すると簡単にはシステムの改修やトラブル対応ができなくなる可能性があるのです。そのため今後は基幹システムに各機能を効率的に連携する方法や、便利なツールやERP(企業システムを効率化させる機能をパッケージ化した製品)の導入を行って人材不足を補う必要があるでしょう。
基幹システム連携を効率的に行う手法とは
基幹システムの連携を効率的に行うためには、具体的な手法を把握するのがポイントです。連携の効率化は先に挙げた課題の解決だけでなく、生産性の向上や人材の効果的な活用など、さまざまなメリットにつながります。以下を参考に、効率的な連携方法について確認してみてください。
システム連携ツールを利用する
基幹システムの連携を効率化するには、システム連携ツールを利用することがひとつの手法です。システム構築で各種機能・情報を一元化したアプリケーションを作成すれば、スムーズに連携が行えるようになります。
専用のツールなら、リアルタイムでの情報連携によって入力の手間を省いたり、データの不整合や入力ミスを防いだりといったことも可能です。ローコードやノーコードでアプリケーションを簡単に開発できるツールも増えてきているため、作成を自社で内製化することも難しくありません。まずは自社の基幹システムに必要な機能をピックアップして、それに合わせたシステム構築とアプリケーション作成を進めてみましょう。
ERPソリューションを導入する
ERPソリューションを導入して、スムーズに連携できる環境を構築するのもポイントです。ERPソリューションとは、各基幹機能をパッケージ化したソリューションサービスを意味します。複数の機能をまとめて導入・連携できるので、効率良く基幹システムの今後に必要な環境を構築可能です。ERPソリューションでカバーされているシステム連携機能を取り入れれば、個別でツールを使う必要はなくなります。いちいちツールを導入する手間を省き、管理も簡単となるので、自社に合ったERPソリューションを剪定して取り入れることがおすすめです。
クラウド基幹システム「Dynamics 365 ERP」で連携を効率化
基幹システムの連携を行うのなら、「Dynamics 365 ERP」の導入で効率化を図るのがおすすめです。Dynamics 365 ERPとはMicrosoftが提供するERPソリューションで、連携をはじめとしたさまざまな機能を備えているのが特徴となっています。各種アプリケーションの連携によって機能追加や拡張が簡単にでき、業務効率化などビジネス全体に影響するシステム構築も可能です。
また、Dynamics 365 ERPは基幹システムをクラウド化することもできます。オンプレミス環境ではできない場所を選ばない自由なアクセスや、管理・運用にかかるコスト削減など、さまざまなメリットがあるのです。一般的な連携ツールを利用すると、メンテナンスが煩雑になり、手間やコストがかかります。一方で、クラウド型ERPであればサービスを提供するベンダーが、モジュール間の連携を意識したバージョンアップを実施してくれるので、スムーズな連携が可能です。
ERPソリューションが適応する範囲はサービスによって異なりますが、DynamicsはERPとCRM(顧客管理)の領域をカバーできる点が特徴となっています。顧客情報の管理機能と連携することによって、データ収集の効率化を進められるだけでなく、一元化して管理・集約できるのでその後の活用もしやすいです。また、Azure上で新規アドオン開発が行えるため、Dynamics 365 ERPならカバーできない領域の業務も支援できます。
このようにさまざまな機能がまとめられているので、基幹システムの連携時にはDynamics 365 ERPの導入を検討してみてください。
まとめ
基幹システムを効率良く使い続けるためには、連携機能に注目することが大切です。今後新たに必要となっていく機能の存在や、老朽化などの課題を意識して、この機会に連携機能の強化を考えておきましょう。
基幹システムの連携に関しては、「Dynamics 365 ERP」を導入してカバーすることがおすすめです。各種機能がそれぞれのシステムを効率化・改善し、最適な業務環境の構築につなげます。
まずは1度「Dynamics 365 ERP」の機能を確認し、その魅力を体験してみてください。