コンタクトセンターは、構築のために機材やシステムの導入が必要不可欠です。しかし、多くのコストがかかるため、導入に躊躇してしまう方もいるかと思います。
そこでコンタクトセンターソリューションの活用がおすすめです。このソリューションでは、センター構築を容易にして、業務効率化を促すことが可能です。
コンタクトセンターソリューションとは?
コンタクトセンターソリューションとは、コンタクトセンターにおける業務をICTシステムで管理して、センター業務やデータ分析を効率よく行うためのソリューションです。これを活用することで、以下のようなメリットがあります。
- 顧客アクセス環境の最適化
- センターの運用負荷軽減
- 顧客データをマーケティング分析に転用
- 無人対応
- 非常時対応
- あふれ呼・時間外呼を他の手段へ誘導
従来、企業と顧客との接点は、「コールセンター」が主流でした。しかし、近年は、スマートフォンの台頭により、企業との接点が多様化しています。そこで考えられたのが、コンタクトセンターです。コンタクトセンター業務は、電話応対以外にも「FAX」「メール」「WEBサイト」「チャットボット」などからの問い合わせなど、さまざまな対応を行わなければいけません。
そのため、これらを統合的に管理するためにICTソリューションが必要不可欠です。また、企業と顧客の接点となる複数のチャネルのデータを統合的に管理する「オムニチャネル」という概念も採用しています。こうしたさまざまな業務やオムニチャネルに対応したのが、コンタクトセンターソリューションです。
コンタクトセンターソリューションが抱える課題
しかし、コンタクトセンターを運営する上では、さまざまな課題があります。コンタクトセンターソリューションについて詳しくご紹介する前に、まずはコンタクトセンター運営における大きな問題を3つご紹介します。
人手不足が進行している
コンタクトセンターでは、慢性的な人手不足が問題となっています。この主な原因は、離職率の高さです。2019年の株式会社リックテレコムの調査によると、新人オペレーターの離職率は年々増加しており、回答企業の22%が「1年以内のオペレーターの離職率」が「71%以上」と回答しています。
(引用:https://callcenter-japan.com/magazine/3838.html)
近年は、新型コロナウイルスの影響から離職率が軽減したようですが、それでも他の職業に比べると高い割合です。
これはコンタクトセンターの業務がハードであり、ストレスの高さが関係しています。電話対応では、クレーム処理が発生することもしばしばあり感情的な顧客も扱います。特に新人では、慣れないなかでこうした顧客に対応しているうちに精神的な疲労が重なって離職につながるケースもあるのです。
人材不足を解消するためには、「ストレス軽減」「新しい働き方の促進」「少ない人数で対応できるシステム作り」などが必要です。
対応できる時間に制限がある
コンタクトセンターの運営では、稼働時間の設定も課題のひとつです。顧客満足度の向上や顧客の声を拾うには24時間365日の稼働が最適ですが、常にオペレーターを配置するためには多大なコストがかかります。
そのため、平日のみの10時〜18時までなど時間制限を設けて運営をしている場合が多いのです。
顧客からの問い合わせが多様化している
ICTシステムの普及によりチャネルが増加しています。これまで顧客との接点は電話が主流でしたが、現在は「メール」「SNS」「チャット」「Web」と複数のチャネルがあるため、これら全てに対応しなくてはいけません。しかし、前述している通りコンタクトセンターは人手不足という課題を抱えているため、複数のチャネルへの人員配置は難しいのです。
また、品質の問題もあります。コンタクトセンターでは、従業員によって品質のばらつきを抑えなくてはいけませんが、これだけチャネル数が多いと管理が複雑です。各チャネルで品質を維持するための研修なども今まで以上に必要ですが、研修・教育にも人員が必要になります。
現状、単純に人員を増やすことは難しいでしょう。そのため、「いかに効率よく少ない人員で運営する」かが重要なのです。
コンタクトセンターソリューションの導入メリット
前述した課題は、コンタクトセンターソリューションを導入することにより解決できます。また、それ以外にも、さまざまなメリットがあります。
人手をかけずに対応ができる
人手不足による問題の解消の鍵は、業務効率化です。人材をただ増やすだけではなく、より少ない人員で効率的に業務を回すことによって問題を解決していこうという考え方です。
その他、業務効率化は業務時間の短縮や従業員ストレスの緩和に寄与します。たとえば、コンタクトセンターソリューションを導入すると、顧客対応ではオペレーターが素早い対応ができるように、登録してある顧客の情報履歴を瞬時にPCに表示できます。よくある質問の場合はFAQ登録できるので、すぐに検索して解答が可能です。そのほかにも、メールテンプレート、顧客検索、マスキング検索など、作業効率化のための機能が多く備わっています。
また、マルチCTIとしてコールシステムと連携できるソリューションもあります。システム連携すれば、「IVRによる自動振り分け」「コールキューイング」「通話音声のリアルタイムモニター」などができるのです。
こうして効率的に業務を回すことで、少ない人員でもより多くの顧客の対応ができるようになります。さらに、従業員の働く環境が改善されることで、離職率の改善にも寄与し、結果として人材不足の解消にも通ずると考えられます。
自動応答で24時間のお客様サポートができる
コールセンターソリューションでは、チャットボットやAIが使用できます。チャットボットは、AI機能を組み込んだ自動会話システムです。顧客の質問に対して、類似の質問から回答を探してくれます。チャットボットの利点は、自動で勝手に動いてくれる点です。問い合わせ用のWebサイトなどに貼り付けておけば、自動で顧客対応してくれるため24時間365日休むことなく、顧客サポートが可能です。
また、チャットボットをIVRと統合した機能もあります。これは時間外にコールしてきた顧客に対して、AIを搭載した自動応答で対応する機能です。顧客の声を拾ってチャットで回答してくれるため、企業側はコストがかからず、顧客も常に問い合わせができます。
マルチチャネルに対応できる
コンタクトセンターの最大の利点は、オムニチャネルを構築できる点です。オムニチャネルとは、企業の中で顧客と関連する情報を全て結びつけて統合的に管理する手法です。企業では、マーケティング、開発、販売など、顧客との接点が数多くあります。通常これらの部門は別々ですが、ひとつに統合することで互いの情報を活かした経営戦略ができます。
これらの情報経路の中で顧客の声を大きく反映する部分は、コンタクトセンターです。コンタクトセンターソリューションでは、電話応対だけでなくメール、SNS、Web、チャットなど、多様化している各チャネルに対応可能です。さらに、より利便性の高い顧客対応システムの構築と幅広いデータを活かした経営戦略が可能なのです。
コスト削減が期待できる
コンタクトセンターソリューションを利用することにより、「センター構築・運営」コストの削減が期待できます。コンタクトセンターを構築するには、IVR機器の導入などが必要です。その点、コンタクトセンターソリューションには、こうした機材を使用することなくIVRのような機能を利用できたり、チャットボットの構築が簡単に行えたりします。
また、オペレーターの業務効率を向上させる多くの機能が付随しています。そのため、オペレーターやセンターの品質改善が見込めます。前述したようにオムニチャネルの構築も可能なため、複数チャネルでの顧客接点の作成が可能です。統合したデータは、分析してマーケティングにも活かせるため、生産性の向上も期待できます。
まとめ
コンタクトセンターソリューションの導入を考えているのであれば、Microsoft Dynamics 365がおすすめです。この製品は、ERPとCRMを統合したソリューションですが、このCRMの機能を利用することでオムニチャネルの構築が可能です。
企業全体で情報の共有ができるほか、オペレーターは必要な情報に対して瞬時にアクセスできます。コンタクトセンターの構築のみならず、企業の業務全体の効率化にも利用できるのです。チャットボットとIVRを連携した機能や他CTIサービスとの連携もできるため、企業独自の多様なコンタクトセンターを作成できます。