Connected Field Service for Dynamics 365というサービスをご存知でしょうか?これはMicrosoftが製造業向けに提供するサービスの一種で、いわゆるIoT(モノのインターネット)を活用したカスタマーサポートを提供するためのものです。今回は製造業必見の、Connected Field Service for Dynamics 365についてその概要と効果をご紹介します。
時代はスマートファクトリー
「スマートファクトリー」や「インダストリー4.0」といったフレーズを耳にすることが多くなりました。これはいずれもIoTを活用したデータ収集により、効率的に製造ラインを回すための改革です。
こうした取り組みは工場内での生産性を高めようというものですが、生産プロセス以外の領域においてもIoTを活用したサービス提供が注目されています。それがフィールドサービスの最適化であり、顧客満足度をこれまでになく向上するための一手です。
従来のカスタマーサービスについて考えてみましょう。
①顧客から「機械が稼働しない」などトラブルに関する連絡を受ける
②担当者は技術者の対応状況などを確認し対処までの時間を回答する
③詳しいトラブル状況は分からないため取りあえず技術者を派遣する
④技術者は現場で状況を確認しその場で対応できる場合は対応する
⑤別途部品や対応が必要な場合は後日改めて伺う
⑥訪問時は大量の作業書や顧客情報に関する資料を持ち込む
⑦トラブル対応後会社に戻って対応状況を報告するため資料を作成する
これが一般的なカスタマーサービスの流れです。当たり前に感じる方も多いかもしれませんが、IoTなどが普及した今こうした対応が非効率になってしまっていることにお気づきでしょうか?
では、これがConnected Field Service for Dynamics 365によってどう変化するのでしょうか。
Connected Field Service for Dynamics 365がある環境でのカスタマーサービスの流れ
ここでConnected Field Service for Dynamics 365を活用した場合、カスタマーサービスの流れがどう変わるのかをご紹介します。
変化①設置されたデバイスによって故障などのトラブルを事前に察知する
従来のカスタマーサービスでは、トラブルが顕在化して顧客からの連絡があって初めてメーカーが把握するというのが通常です。しかしそれでは遅すぎます。トラブルが発生してからではもはや遅く、顧客の満足度は低下してすでに他社製品の検討を始めているかもしれません。
Connected Field Service for Dynamics 365はマシンに接続したデバイスが稼働状況を監視し、リアルタイムでその情報を提示し続けてくれます。トラブルの予兆があればそれをアラートで知らせてくれるので、トラブル発生を事前に知ることができます。
どんなビジネスにおいても最も価値が高い情報はリアルタイムのデータです。常にマシンを監視する環境があればそれだけでトラブル対処は圧倒的に迅速化します。それをもとに将来のトラブルを予見することも難しくはなくなってきています。
変化②遠隔監視と顧客との情報共有によってトラブルの原因を訪問前に確定する
トラブル対応で重要なのは問題の切り分けと原因究明です。しかし顧客からの情報だけではトラブルの原因を究明できない場合も多く、そうなると技術者が直接現場に向かうしかありません。想定し得るトラブルに対処できる事前準備を行っても、確実に対処できる保証はない上にかなりの手間がかかります。その結果トラブル解決までに時間がかかり顧客満足度は低下してしまいます。特に発注が必要な部品が生じた際は、いかに迅速に発注までこぎつけるかが大切です。
これがConnected Field Service for Dynamics 365なら、マシンの遠隔監視と顧客との情報共有によって迅速にトラブル原因を究明するための環境が整います。担当者は技術者の派遣が必要かどうかを瞬時に判断し、それに応じた対応ができるのでカスタマーサポートの初動が断然違ってくるでしょう。
変化③必要な技術者を必要な時に派遣しリソースを最大限活用できる
トラブルに関する事前情報があると、それに応じて適切な技術者を派遣することが可能です。もちろんトラブル発生を待たずとも予兆があれば技術者を派遣して、未然にトラブルを防ぐことも可能です。これは会社のリソースを最大限活用しビジネスの価値を高めることに繋がります。
変化④初回訪問でトラブルに対応できるため技術者の生産性が向上する
多くの技術者は初回訪問でトラブルに対応できることを願っています。技術者の本業はカスタマーサポートではなく、新しい製品の開発や製造だからです。なので、カスタマーサポートに費やす時間が多くなるとその分生産性が下がりビジネスも停滞していきます。
事前にトラブルの原因を究明できればこうした問題も瞬時に解消します。原因に応じて技術者はそれに必要な準備が行えるため、対応完了までの時間が大幅に削減されるでしょう。
変化⑤技術書や顧客情報資料の持ち込みが少なくなる
技術者はトラブル対応のため常に大量のツールを持ち歩いています。なので、大量の技術書や顧客情報資料はできるだけ削減したものです。 Dynamics 365のフィールドサービス機能ならそれが可能です。トラブルごとに必要な技術書や顧客情報資料はすべてタブレット一つにまとめられるので、持ち込み資料の量が圧倒的に少なくなります。
変化⑥在庫情報をその場で確認し的確な対応期間を回答できる
Connected Field Service for Dynamics 365ではカスタマーサービスの最適化以外にも、Dynamics 365本来が持つ生産管理機能によって在庫情報を常にリアルタイムに確認することができます。万が一初回訪問時で対応できなかった場合も、部品の在庫情報などをその場で確認し正確な対応期間を回答でき、顧客満足度の維持に貢献します。
部門やユーザーごとのニーズの応える
製造会社の部門やユーザーは、役職や業務ごとに異なるニーズを抱えています。
CEO…既存のカスタマーサービスから新しい収益源を創出できないだろうか
COO…コストセンターを収益センターに変換したい
CIO…製品の改善および発展を短いサイクルで行うために技術者からのデータを品質の高いものに変える必要がある
サービス担当…顧客が気付く前のトラブルを把握し初回修理率をアップしたい
サプライチェーン担当…カスタマーサービスと供給のバランスを保つよう的確な退場データが必要だ
技術者…初回訪問時にトラブルを解決できるよう質の高い情報が欲しい
こうした異なるニーズを一手に引き受け満たすのがConnected Field Service for Dynamics 365です。製造業の企業のカスタマーサポートに関する全体ニーズを満たし、かつ顧客満足度向上に貢献します。カスタマーサポートに課題を感じている皆さんは、この機会にConnected Field Service for Dynamics 365の導入をご検討ください。