ERP

ERPの導入前に知っておくべきポイントとは?

ERP(Enterprise Resource Planning)には、生産管理システム、営業支援システム、会計管理システム、顧客管理システム、人事評価システムなど多数の基幹システムが統合されている他、製品ごとに独自の機能が提供されています。たとえばMicrosoft Dynamics 365には、いつでもどこでもOfficeアプリケーションを統合できる機能や、BI(Business Intelligence)及びAI(Artificial Intelligence)によるデータ分析の自動化などの機能が搭載されています。

自社環境にとって最適なERPを選び、導入するということは、次世代のビジネスを生き抜くために激しい環境変化へ対応するシステム基盤を手にすると同時に、ERPがカバーする範囲の情報収集を容易にして情報共有を促進する環境を構築することになります。

昨今では、SaaS型のクラウドERPが市場規模を堅調に拡大しており、大企業だけでなく中小企業にとっても身近なITとして存在しています。

本稿では、そんなERPを導入する前に知っておいていただきたいポイントについてご紹介します。

ERP導入で失敗する8つの理由と回避策

既存のシステム環境が抱える問題とは?

ERP導入に際し、まず大切なポイントは既存のシステム環境が抱えるIT問題について整理することです。企業では組織規模にかかわらずシステム環境を構築しており、基幹システムの多くは何らかの問題を抱えています。たとえば、次のような問題が考えられます。

  • 部門ごとの業務最適化のために各システムは独立的に稼働しており、情報を全体として捉えることができない
  • システム環境の分断化が起きることで運用保守・管理にかかる負担とコストが増している
  • システム同士の連携性の問題から、IT技術の革新や市場変化のスピードに対応できずシステム環境が老朽化している
  • ビジネスや市場環境の変化に柔軟に対応できないシステムを抱えている

この他にも既存のシステム環境ではさまざまな問題が考えられます。ERP導入に対して高いニーズを実感している場合でも、まずは一度足を止めて既存システム環境の問題について整理することが大切です。

従来のシステムとERPの決定的な違い

ERPには生産管理システムや財務会計システムなど、既存のシステム環境でも構築されているシステムが1つに統合されています。しかし、ERPがそれらのシステムを単に集約したIT製品と考えてはいけません。従来のシステムとERPとの間には、決定的な違いがあります。

事業部門のためのシステムから、経営のためのシステムへ

ERPシステムの本質は、事業部門ごとに分断されているシステムを集約することで、企業全体の情報を集約管理することです。それはつまり、あらゆる情報を瞬時に可視化して、経営状況をタイムリーに把握するシステム環境の構築を意味します。従って、従来の基幹システムが事業部門ごとの効率化を目指すものだったのに対し、ERPは経営のために素早い意思決定材料を提供するものだと言えます。

個別のシステムから、基盤としてのシステムへ

従来の基幹システムのように各システムを個別に捉えるのではなく、ERPでは「大きなシステム基盤」として考え、その上にCRMやBIなどを統合していき、高度な経営戦略を確実に実行するためのシステム環境と考えることが大切です。

これらの違いを理解しているか否かでは、ERPから引き出せる効果が大きく異なります。

ERP導入プロジェクトを「成功させる」のではなく「失敗しない」

ERPは従来の単体の基幹システムに比べて非常に大きなパッケージソフトウェアです。従って、基幹システムの構築よりも導入・運用の難易度は高くなります。ただし、運用が軌道に乗れば既存のシステム環境よりも効率的な業務運営や保守運用・管理の環境を構築できます。

そのために大切な認識はERP導入プロジェクトを「成功させる」のではなく「失敗させない」ということです。

「ERP導入を何としてでも成功させよう」と考えると、どうしても肩に力が入り過ぎてしまい、導入段階で100%の完成度を求めてしまいます。しかし、ERP導入プロジェクトが計画通りにいくとは限らないため、多くの企業はそうした「完璧主義」からERP導入に頓挫してしまうのです。そして、ERPの目的が事業反映のためということから稼働することに重きを置いてしまうことになりがちなのです。

EPRは導入後の運用が非常に大切なシステム環境なので、最初から完璧を目指す必要はありません。「成功ではなくても、失敗しなければ大丈夫」という気持ちで、余裕を持ってERP導入プロジェクトに臨み、導入計画を立てていくことが非常に重要です。

ERP導入プロジェクトは「4つの視点」で進める

いざ、ERP導入プロジェクトを開始しても忘れてはいけないことが「4つの視点」でプロジェクトを推進していくことです。その視点とは「事業部門ユーザー」「システム管理者」「経営者(経営層)」「監査・経理担当者」です。

事業部門ユーザーの視点

ERPを中心的に扱うのは事業部門ユーザーですので、いくらERPが経営のためのシステムとはいっても、事業部門ユーザーにとっての使いやすさやニーズを無視することはできません。各事業部門責任者を巻き込んでのプロジェクト推進が必要です。

システム管理者の視点

システム管理者にとってERPは、システムの保守運用・管理を効率化する大きなきっかけになりますが、それと同時にセキュリティ要件をより厳しくする必要性があります。従って、システム管理者の視点からセキュリティを確保しやすいかどうかを検討することも大切です。

経営者(経営層)の視点

経営者(経営層)は事業部門ユーザーがERPに入力したデータをもとに、集計・分析を行い、経営状況を可視化していきます。ERPの最終的な目的は「経営意思決定の迅速化」などなので、経営者(経営層)が必要とする情報をタイムリーに取得できるかどうかという視点も必要です。

監査・経理担当者の視点

ERP導入後にシステム監査・会計監査に対する要件を定義してしまうと、ERP稼働後にアドオンとカスタマイズ要件が増大し、ERP導入の予算を超過し、ERP運用の複雑化によって失敗の原因を作ってしまいます。そのため、監査・経理担当者からの視点をしかりと取り入れることが肝要です。

SaaS型ERPを積極的に検討する

SaaS型ERPとは、ネット上に構築された仮想インフラ環境に用意されたERPのことであり、企業はこれをサービス契約という形で利用することができます。要するに、WebメールやオンラインストレージのようにERPを導入・運用できるということです。

昨今ではSaaS型ERP市場が堅調に伸びており、ERP導入における初期投資を抑制できることから中小企業にとって有用な選択肢になっているだけでなく、SaaS特有のメリットに着目した大企業も積極的に採用しています。

ERP導入プロジェクトを推進するにあたりSaaS型ERPは有効的な選択肢になるものなので、積極的に検討することをおすすめします。

まずはERP導入の効果を考えてみましょう!

いかがでしょうか?以上5つのポイントをERP導入前に知っておくことで、これからのERP導入がかなり違ったものになります。ERP導入を検討する際は、まず自社環境に導入した場合の効果について考えてみましょう。

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