Microsoft社提供のクラウドサービス「Power Platform」はアプリのカスタマイズなどの機能が搭載されていますが、特徴や活用方法がわからないとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事ではそのような方のために、Power Platformの特徴や活用方法、ライセンスについて解説します。
Power Platformとは
Power Platformとは、Microsoft社が提供しているクラウドプラットフォームです。ビジネスに役立つアプリケーションを、プログラミングの知識がない人でもローコーディングで簡単に開発できます。また、他のクラウドサービスと連携できるカスタムコネクタを利用して、さまざまなデータを活用できるアプリケーションの開発も可能です。
Power Platformは、「Power Apps」「Power Automate(旧:Microsoft Flow)」「Power BI」「Power Virtual Agents」の4つのサービスで形成されています。
「Power Apps」はコード不要で簡単にアプリケーションを作成できるサービスで、現在使っているアプリケーションの機能の拡張もできます。「Power Automate(旧:Microsoft Flow)」はアプリケーションやクラウドサービスの動作を自動化するサービスです。335種類以上のコネクタを使用してMicrosoft社製品以外にも多くのアプリケーションやサービスを接続し、自動処理のワークフローを作成できます。
「Power BI」は気軽にビッグデータ解析が行えるサービスです。幅広いデータソースからデータを取得、統合や分析、解析まで、Excelと似た高い操作性でレポート作成まで行えます。プログラミング、AIへの知識がない人でもチャットツールを作成、他のサービスでチャットの利用を可能にするサービスが「Power Virtual Agents」です。
プログラミング経験者がいなくても、サービスの利用者レベルでアプリケーション開発を可能にするのがPower Platformです。気軽に業務効率化を目指せるサービスとして注目を集めています。
Power Platform導入のメリット
Power Platformの導入にはさまざまなメリットがあります。クラウド環境で簡単に導入できるほか、アジャイル開発を実現して業務効率化が図れるなど、導入時から導入後まで多様な機能を使用できる点が最大の魅力です。
クラウド環境で簡単導入
Power Platformはクラウドサービスなので、システム構築などに時間をかけずスピーディーな導入が可能です。全てを自社で準備し運用するオンプレミスの場合、自社に必要な機能をカスタマイズできるメリットがありますが、システムの導入に自社で高額なサーバー機器を購入・システムを構築する必要があるため、導入までに時間がかかります。
クラウドサービスであるPower Platformでは、自社サーバーやシステムが不要なほか、使用内容に応じた月額費用を支払うシステムのため、クラウド環境を整えた後であれば利用を申し込むだけで簡単に導入できます。オンプレミス環境からクラウド環境へ移行する企業が増加している現在、クラウド環境では利用できなかった機能もPower Platformを使えば、簡単に利用可能になります。
アジャイル開発で労働生産性向上
従来のウォーターフォール型によるシステム開発は、最初に機能を設計・計画してから、その計画通りに開発していくフローを取りました。ウォーターフォール型はさまざまなシステム開発に応用できる方法ですが、開発に時間がかかるデメリットがありました。しかし、システムの開発期間を短縮できるアジャイル開発が可能なPower Platformなら、スピーディーな対応を求める現場の要望にも応えられます。さらに、アジャイル開発手法により必要な作業のシステム化を進めれば、業務効率化、労働生産性の向上も充分期待できます。
Power Platformの機能
Power Platformには、自社に必要なアプリを構築、カスタマイズできる機能があります。Power Platformで利用できる「Power Apps」「Power Automate」「Power BI」「Power Virtual Agents」により、クラウド上でも多様なアプリの開発が可能です。
Power Apps
Power Appsはプログラミング不要で、手軽にビジネス用のアプリが作れるクラウドプラットフォームです。基盤のデータプラットフォーム(Microsoft Dataverse)、オンラインやオンプレミスで利用しているSharePoint、Excelといったマイクロソフト社のツールや、外部データに接続してカスタムのアプリを開発できます。アプリ開発は、Web上でExcelのように関数を入力したり、Power Pointと似た操作をしたりすれば、簡単に短時間で完成させることが可能です。
Power Automate
Power Automateは、作業に必要な操作を記録してフローを構築、タスク作業を自動化するツールです。手作業で行っていた繰り返し作業を自動化するPRA機能(ロボティック・プロセス・オートメーション)を搭載、オンプレミスやクラウド上のアプリで繰り返す作業の自動化により、作業を効率化できます。
335種類以上のコネクタを使用できるため、幅広いアプリやクラウドサービスとの連携も可能、提供されているテンプレートを活用して便利な自動ワークフローをスピーディーに作成できます。操作性が高く簡単に使えるため、プログラミングができない人でも直感的な操作で、自動ワークフローの作成が可能です。
Power BI
データを分析してグラフなどを作成するツールがPower BI(ビジネス・インテリジェンス)です。Power BIはマイクロソフト社が提供しているセルフサービスBIのため、ほとんど自動で企業が収集・蓄積しているデータを分析し、レポートを作成できます。
Power BIを利用すると、通常プログラミングを必要とするデータ分析等の作業でも、ノンプログラミングで抽出、変換、統合などのデータ処理や、わかりやすいグラフを添付したレポートの作成が可能です。作成したレポートは定期的に自動更新され、組織内で最新のレポートを共有できます。
Power Virtual Agents
Power Virtual Agentsは、コーディングを行う必要なくチャットボットを作成できるツールです。画面に表示された項目に回答していくだけの操作で、チャットボットが簡単に作成できます。
ノンプログラミングで、さらに画面の操作だけで簡単に独自のチャットボットが作れるため、顧客からの問い合わせの返答にチャットボットを使いたいときも、スピーディーに導入可能です。また、必要に応じてオペレーターへの会話の引き継ぎもできるため、業務の効率化につながります。
Power Platformのライセンス
Power Platformは、Power Apps、Power Automate、Power BI、Power Virtual の4種類のツールをまとめたものです。Power Platformのライセンスは、ツールごとに取得方法が異なり、Power AppsとPower Automateのライセンスは、Dynamics365やMicrosoft365で該当するプランを選んだときに取得可能です。
Power BI のライセンスには無料、Pro、Premium Per Userの3種類があります。無料プランはMicrosoftアカウントがあれば誰でも利用できる個人向けプランです。Proはユーザー数、Premiumはクラウドおよびストレージ容量数ごとに月額料金が変わります。
Power Virtual Agentsのライセンスは、Dynamics 365Customer Serviceのデジタルメッセージングとチャットアドオンのライセンスに含まれています。スタンドアロン版の場合は、Microsoft365管理センターでサブスクリプションの取得が可能です。ライセンスにはさまざまな種類があるので、自社に適したタイプのライセンスを契約するのがおすすめです。
まとめ
Microsoft Power Platformは、「Power Apps」など4つのツールからなるサービスです。Microsoft Power Platformを活用すると、ノンプログラミングで簡単に自社に適したビジネスアプリを開発、機能追加ができるなどの特徴から、有効活用すれば自社の業務効率化が可能となります。