無料メールサービスの定番として知られる“Gmail”。Googleが複数提供する無料サービスの一部で、プライベートユーザーに人気があります。ビジネスメールの定番である“Outlook”。ビジネスパーソンならば使用したことがない人はいないというほど、グローバルスタンダードなメールサービスです。皆さんは現在、どちらのメールサービスを使用中でしょうか?
今回ご紹介するのはこのGmailとOutlookの違いです。無料版と、コラボレーションツールの一部として提供されている有料版の2カテゴリに分けて比較していきたいと思います。
最近メールサービスを乗り換えたいと思っている、新たにGmailかOutlookのどちらかを利用したいと検討中の皆さんはぜひ参考にしてください。
無料版Gmailと無料版Outlookの違い
GmailとOutlookはどちらも無料のメールサービスを提供しています。Gmailの無料サービスなら知っているけれど、Outlookにも無料サービスがあるの?と思う方も多いでしょう。Outlookはマイクロソフトが提供するOfficeスイートの一部で、ライセンスを購入しないと使用できないと考えがちです。しかし、マイクロソフトでもGoogle同様に無料のメールサービスを提供しています。それが“Outlook.com”です。
Outlook.comはMicrosoftアカウントを取得(無料)することで使用できるメールサービスであり、OfficeスイートであるOutlookをベースにインターフェースや機能が提供されています。
では、無料版GmailとOutlook.comの違いとは何でしょうか?
Gmail | Outlook.com | |
使用方法 | アカウント登録 | アカウント登録 |
ドメイン | Gmail.com | Outlook.comまたはOutlook.jp |
使用可能容量 | 15GB(サービス全体) | 無制限(Outlook.com限定) |
1通あたりの最大容量 | 25MB | 25MB |
ストレージ使用時の1通当たりの最大容量 | 10GB | 10GB |
IMAP | 〇 | 〇 |
SMTP/POP3 | 〇 | 〇 |
スマートフォンアプリ | 〇 | 〇 |
自動転送 | 〇 | 〇 |
メール振り分け機能 | 〇 | 〇 |
迷惑メールフィルタリング | 〇 | 〇 |
ウイルススキャン | 〇 | 〇 |
絵文字 | 〇 | 〇 |
広告非表示 | 設定で解除可能 | 〇 |
連絡帳同期 | 〇 | 〇 |
複数のアドレス管理 | 〇 | 〇 |
連携ストレージ | Googleドライブ | OneDrive(メールとは別で15GB) |
このようにGmailとOutlook.comでは大きな違いはないといっていいでしょう。ただし、細かいところでいえばOutlook.comは容量が無制限だったり、ドメインを2つ選べたりと違いはあります。
Gmailの容量15GBというのはGoogleアカウントを取得して使用できる無料サービス全体としての容量です。そのためGoogleドキュメントなどでファイルを作成すれば容量が減りますし、Googleドライブに写真をアップロードしても容量が減ります。
一方Outlook.comは連携ストレージのOneDriveと容量が切り離されていて無制限で使用できます。OneDrive自体の容量は15GBなので、Gmailよりも多く容量を使用できるということです。
有料版Gmailと有料版Outlookの違い
次に有料版として提供されているGmailとOutlookを比較してみます。厳密に言うとそれぞれのメールサービスは単体で提供されているのではなく、GmailはG Suite、OutlookはOfficeスイートあるいはOffice 365というサービスの一部として提供されています。
G Suiteはビジネス向けのアプリケーション群で、組織やチームのコミュニケーションを活発にするための機能を提供します。Office 365はExchangeやSharePointなどビジネスでお馴染みのサーバー製品をオンライン版で提供し、かつOfficeライセンスをサブスクリプション(定期購入)で提供するサービスです。
GmailとOutlookはそれぞれのサービスのメールシステムとして機能します。その違いとは何でしょうか?
両者ビジネス向けのメールサービスとして提供しているものなので、実は基本機能の面で大きな差はありません。連絡先を複数管理することはもちろん、フォルダ分けやフィルタリング、ラベル付やメール受け取り通知などビジネスに欠かせない機能を多数搭載しています。その中で大きな違いになっているのは“保存容量”と“クライアントアプリ”でしょう。
保存容量
GmailとOutlookはどのプランを契約するかによって保存容量が違います。たとえばG Suiteのベーシックプランの保存容量はサービス全体で30GBです。ユーザー1人あたり月々600円で使用できます。一方、Office 365のBusiness Essentialsプランの保存容量はOutlookとクラウドストレージで分けられています。Outlookの保存容量は50GB、クラウドストレージの保存容量は1TBになっています。このプランはユーザー1人あたり540円で使用できます。
G SuiteのベーシックプランとOffice 365のBusiness Essentialsプランを比較すると、低価格かつ保存容量の大きいOffice 365の方がパワフルに使用できるサービスと言えるでしょう。
次にG Suiteのビジネスプランは保存容量が無制限に使用でき、月々1,200円で使用できます。一方Office 365のBusiness Premiumプランは保存容量がOutlookで50GB、クラウドストレージが1TBであり月々1,360円で使用できます。
上位プランを使用するとなると保存容量はG Suiteの方が大きくなる点に注意が必要です。ただし、Office 365のBusiness Premiumプランを使用すると最大15台のデバイスにインストール可能なOfficeスイートが付帯するため、一概にG Suiteの方が優れているとは言えません。
むしろ、G Suiteの価格に160円上乗せするだけで、ほぼ同様のコラボレーションツールとそれに加えてOfficeスイートが使用できるのですから、Office 365に高い利点を感じる方は多いでしょう。
クライアントアプリ
クライアントアプリとはパソコンにインストールして使用するアプリケーションのことです。実はGmailではクライアントアプリが提供されていません。これはG Suiteというサービスが完全にクラウドで使用することを想定して作られているためです。それに対してOutlookはもともとパソコンにインストールして使用することを想定して作られたものです。
そのため、クラウドサービスであるOffice 365でもOutlookのクライアントアプリをインストールして使用できます。もちろん、メールサービスをGmailのようにクラウドで使用することも可能で、その際のサービスはExchange Onlineが担っています。