マイクロソフトが提供するOffice製品には“サポート期限”があります。基本的にはメインストリームサポートが5年間、延長サポートが5年間の合計10年間、Office製品の品質向上プログラムやセキュリティプログラムの更新が提供されます。Office 2007の延長サポートは2017年10月10日に終了しており、次に終了を控えているのがOffice 2010です。
ちなみにメインストリームサポートと延長サポートの違いは次の通りです。
- メインストリームサポート…製品発売からその期間、セキュリティプログラムの更新に加えて仕様変更や機能追加なども含めて更新されるサポート期間
- 延長サポート…仕様変更や機能追加はなく、セキュリティプログラムのみの更新
Office製品各バージョンのサポート期間についてまとめてみました。
製品 |
発売日 |
メインストリーム サポート終了 |
延長サポート終了 |
---|---|---|---|
Office 2007 |
2007年1月30日 |
2012年10月9日 |
2017年10月10日 |
Office 2010 |
2010年6月17日 |
2015年10月13日 |
2020年10月13日 |
Office 2013 |
2013年2月7日 |
2018年4月10日 |
2023年4月11日 |
Office 2016 |
2015年9月30日 |
2020年10月13日 |
2025年10月14日 |
ご覧の通り、Office 2010の延長サポートが終了するまで残り2年に迫っています。延長サポートを過ぎるとセキュリティプログラムも更新されなくなるため、脆弱性が発見されても手当てができず、マルウェアの感染などのリスクが高まります。もちろんOffice 2010を使用し続けることはできますが、完全な自己責任での使用になります。なので、現在Office 2010を使用しているユーザーは、延長サポートが切れる前に新しいOffice製品へ移行することが大切です。
Office 2019のリリース
今年後半には、マイクロソフトから新しいOffice製品のOffice 2019がリリースされる予定です。これまで発表された情報をまとめると、Office 2019には次のような特徴があります。
- システム要件はWindows 10 SAC、Windows 10 Enterprise LTSC、Windows Server 2019
- クライアントアプリは「Click-to-Run」でのみ提供される
- メインストリームサポート5年間、延長サポート2年間
- インク機能が改善され筆圧設定や傾き感知がサポートされる
- Excelで新しい関数とグラフが追加される
- PowerPointでモーフィングやズームといった効果が利用できる
Office 2019がサポートしているOSはWindows 10かそれ以上のバージョンであり、Windows 8やWindows 7では使用できません。加えてMSIでのインストールをサポートしていなかったり、サポート期間がOffice 2016の終了次期(2025年10月14日)と一致しています。
Office 2010から新しい製品へ移行する際に、これからリリースされるOffice 2019を使用することも有効な選択肢です。
Office 365への移行
近年では古いバージョンのOffice製品からOffice 365へと移行するユーザーが増えています。Office 365とはマイクロソフトが提供するクラウドサービスであり、Office製品のライセンスやその他コレボレーションツールを提供します。
Office 365と一般的なOffice製品の違いは、Office 365が“サブスクリプション”として提供されることです。以下にOffice 365と一般的なOffice製品の違いをご紹介します。
|
一般的なOffice製品 |
Office 365 |
---|---|---|
支払い |
一度きりの購入 |
継続的な契約 |
利用期限 |
永年 |
契約期間中 |
アップデート |
独自に対応 |
自動的に対応 |
機能 |
固定 |
継続的に追加 |
インストール台数 |
パソコン2台、モバイル2台 |
パソコン5台、スマートフォン5台、タブレット5台 |
価格帯/1ライセンス |
4万9,000円~6万6,900円 (Office 2016参照) |
540円~3,810円 (月額ベース) |
管理方法 |
管理サーバーから |
ブラウザ上の管理センターから |
提供アプリケーション |
Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNote、Access、Publisher |
永続ライセンスで提供するアプリケーションに加えてExchange Online、SharePoint Online、Skype for Businessなど多数 |
ライセンスの削減 |
できない |
できる |
Office 365と一般的なOffice製品の主な違いは購入方法とインストール台数でしょう。一般的なOffice製品は一度の購入で永続的に使用できるのに対し、Office 365はサービスとして継続的に契約することで使用できます。契約が切れればOfficeは使用できなくなります。
これは一見デメリットのようにも思えますが、Office 365を使用するにあたって必要な料金は月々900円~(Office製品ライセンスをサポートしたプラン)です。月々900円でOffice製品ライセンスが付与されるOffice 365 Businessプランを契約したとすると、年間コストは10,800円となります。
一般的なOffice製品を企業が導入した場合49,000円~66,900円がかかるので、最低でも5年間は低コストでOffice 365を使用できることになります。加えてOffice 365では最大15台のデバイスにインストールできるので、複数端末を所持しているユーザーでもコストを上げずに快適なOffice環境を構築できるでしょう。
Office 365なら常に最新機能が使用できる
Office 365で提供されているOffice製品の特徴は、常に新しい機能が追加されていることです。クラウドサービスですのでマイクロソフトが運用を行っている上に、Officeを常に最新の状態に保ってくれています。そのため、Office 365で提供されているOffice製品では定期的に機能の追加や更新がされ、継続的にOfficeの利便性が向上されています。一般的なOffice製品では品質向上やセキュリティ強化のためのプログラム更新はされるものの、機能追加はないのでこれはOffice 365の大きな利点でしょう。
実は、Office 2019にて実装される新しい機能の多くはすでにOffice 365で実装されている機能です。なのでOffice 2019はOffice 2016で実装されていないOffice 365の機能を、新しく実装したOfficeバージョンという位置づけになります。
Office 365を使用するには
Office 365を使用するためには7つのプランの中から、自社にとって最適なプランを選ぶことが大切です。ちなみに7つのプランの特徴は次の通りです。
Business Essentials |
Business |
Business Premium |
ProPlus | Enterprise E1 | Enterprise E3 | Enterprise E5 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
月額/ 1ユーザー |
540円 | 900円 | 1,360円 | 1,310円 | 870円 | 2,180円 | 3,810円 |
プラン詳細 | Exchange OnlineやSharePoint Onllineなどのコラボレーションツールを複数提供。Officeライセンスのサポートは無し。ユーザーあたり1TBのクラウドストレージを使用できる。 | Officeライセンスをサポートし最大15台のデバイスにインストール可能。コラボレーションツールの提供はないがユーザーあたり1TBのクラウドストレージを提供しいている。 | Business PremiumプランとBusinessプランを統合した上で、コミュニケーションを活発化させるためのコラボレーションツールを追加している。 | Officeライセンスをサポートし最大15台のデバイスにインストール可能。コラボレーションツールの提供はないがユーザーあたり1TBのクラウドストレージとSkype for Businessが利用可能。 | Exchange OnlineやSharePoint Onllineなどのコラボレーションツールを複数提供。Officeライセンスのサポートは無し。ユーザーあたり1TBのクラウドストレージを使用できる。Skype for Businessでは最大10,000人に向けたライブブロードキャスト配信が可能。 | Enterprise E1の内容に加えて高度な管理機能を提供。電子情報開示によってコンプライアンスを追維持。 | Enterprise E3の内容に加えて高度なセキュリティ機能とデータ分析機能を提供。ビッグデータ分析としても使える。 |
最大ユーザー数 | 300ユーザー | 無制限 |
人気のプランはOffice 365 Business Premiumです。1ユーザーあたり月々1,360円ですべてのOfficeアプリケーションが使用できるライセンスと、複数のコラボレーションツールを提供しています。組織全体にOfficeライセンスを付与するだけでなく、コラボレーションツールを活用することで組織のコミュニケーションを活発にできます。
Office 2010から早めの移行を!
Office 2010のサポート終了まで残り2年となり、そろそろ新しいOffice製品への移行を始める段階です。サポート終了間近になって焦ってOffice製品を移行すると、アプリケーションの互換性など様々な問題が生じる可能性があります。なので、今から新しいOffice製品またはOffice 365への検討を始め、サポート終了よりも前に快適かつ安心なOffice環境への移行を完了させましょう。
こちらの「Office 2010のサポート期限は?」も参考にしてください。