マーケティング

企業の成功に学ぶ!顧客エンゲージメントの活用事例5選

現在、顧客接点の多様化により、顧客エンゲージメントが見直されています。

では現代の顧客エンゲージメントは、具体的にどのように実践されているのでしょうか。この記事では5つの企業の実例をもとに、顧客エンゲージメントの活用事例を紹介します。

顧客エンゲージメントとは?

エンゲージメント(engagement)とは、本来「約束」や「契約」を表すことばで、顧客エンゲージメントとは、商品やサービスを提供する企業が、顧客との関係性を強め信頼関係を深める取り組みのことです。もともと日本でも、当たり前のこととして行われてきた慣習です。

しかし大量消費社会が進むにつれて、この慣習は徐々に薄れてゆき、企業と顧客との結びつきも弱まる一方でした。その流れに再び変化が訪れたのは最近のことです。きっかけはEコマースやSNSなど、インターネットを中心とする社会構造の変化でした。

インターネットの広がりで、企業と顧客とを結ぶ接点が急速に増えると、その接点をマーケティング戦略として活用する動きが出てきました。この活動が顧客エンゲージメントの原点回帰を促すことになったのです。

【動画】マーケティング担当者必見!スタートアップCEOと考えるCXの未来

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デジタル技術の進化と共に購買プロセスが大きく変化し、B2B・B2C に関わらず、購買者はあらゆるタッチポイントで一貫したサービスを求めるようになりました。この変化の激しい時代において求められる顧客体験とはどのようなものか?

本動画は、過去 SAP.iO のプログラムに参加し、当領域の最前線で活躍されているスタートアップ各社の CEO をお招きし、日本企業が目指すべき将来の CX のあり方などについてディスカッションした内容を収録しています。

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顧客エンゲージメントの活用事例5選

現在、顧客エンゲージメントを強化するために、さまざまな業種で工夫をこらした取り組みが行われています。インターネット上での情報のやりとりから、店舗での接客のような既存の手法まで、あらゆる顧客接点を活用することがその特徴です。

ここで挙げる5つの企業は、それぞれ独自の取り組みによって、顧客エンゲージメントの強化に成功しています。具体的な活用方法も含めて紹介しますので、参考にしてみてください。

スターバックス

数あるコーヒーショップの中からスターバックスを選んでしまうのは、同社が取り組んできた顧客エンゲージメント強化の結果であるともいえます。

スターバックスが顧客に提供するのは、コーヒーだけではありません。それは家でも職場でもない、第3の場所としてくつろげるサードプレイスです。スターバックスは、顧客に居心地のよい空間を提供することで、顧客の帰属意識を高めるという顧客エンゲージメントを活用しています。

スターバックスでは、顧客が求めるものを徹底して追及しています。それらの情報を分析して、店舗でのサービス全般に反映させます。そのため顧客にとっては、コーヒーを買うという体験そのものが価値になるのです。

また接客も顧客エンゲージメント強化の一環と考え、ハイレベルな研修制度により、従業員エンゲージメントも高めています。とことん顧客に寄りそうという姿勢が、スターバックス成功のポイントだといえるでしょう。

日本航空(JAL)

航空会社のように特殊な業界では、顧客が飛行機を利用しないタイミングに、どうすれば顧客との接点を維持できるかが大きな課題でした。そこで日本航空では、SNSを効率的に活用することで、顧客エンゲージメントの強化を図っています。

きっかけは2011年に、JAL公式のFacebookを公開したことです。当初は現役の機長が直接投稿するなど、思い切った手法を用いて、顧客にとって身近な企業であることをアピールしました。

さらに現在は公式Instagramも開設して、20~30代の女性をターゲットにした情報配信も行っています。こうしてSNS上で顧客とやりとりするデータを、サービスの改善にも活用することで、日本航空のイメージアップにつなげています。

ロぺピクニック

女性向けアパレルブランドのロペピクニックは、2014年からテレビCMに力を入れ、新規顧客が大幅に増加しました。しかし固定客として定着させることができず、その後は顧客離れに悩まされることになります。

このときにロペピクニックは顧客エンゲージメント強化のために、顧客の立場から見たサービス状況をもとに顧客体験を20種類に分けて分析しました。その結果、レジでの待ち時間の長さが顧客離れにつながっていたことが判明します。

そこでスマホアプリにポイントカードを内蔵させ、レジでの待ち時間を大幅に短縮することに成功しました。また顧客エンゲージメント強化に成功している店舗の仕組みを全店で共有し、再び固定客の増加と売上の改善に成功したのです。

ワコール

女性向けインナー最大手のワコールは、ECサイトと実店舗を含めたWeb会員が280万人を超えています。しかしインナーの購買頻度は低いことから、購買のタイミングから外れた顧客をつなぎとめるために、顧客エンゲージメント強化に取り組んでいます。

ワコールが力を入れているのは、スマートフォンの普及をベースにした動画コンテンツの配信です。内容は商品PR以外にも、下着の上手な洗い方など身近なテーマを盛り込むように工夫しています。

動画コンテンツはECサイトと実店舗、さらにスマホアプリを通して、さまざまなSNSと連携しています。コンテンツは配信管理から効果測定まで、一貫したシステムで連動しているため、マーケティング戦略上のロスもありません。

顧客はTwitterやInstagramを利用しながら、常にワコールと接点を持ち続けることになり、結果的に顧客エンゲージメントの強化につながるわけです。

ザッポス

ザッポスは巨大なアメリカ市場で、これまで難しいといわれていた靴のネット販売を、顧客エンゲージメントの強化によって成功させた企業です。

同社の基本的なマーケティング戦略は、徹底した顧客中心主義にあります。現在では一般的になった送料無料の翌日配達をいち早く採用したほか、基本的に返品は無制限にするなど、常識を覆す取り組みを展開しています。

またザッポス成功の秘訣は、24時間対応可能なコールセンターにより顧客に対するサポート態勢を極限まで高めたことにあります。こうしたサービスが話題になり、顧客がSNSなどで情報発信したことから、同社を高く評価する口コミ情報が急激に広がりました。

現在はアマゾンの傘下にありますが、独自のサービス・システムにより、さらに多くの顧客に愛される企業に成長しています。

まとめ

顧客エンゲージメントの強化には、決まったマニュアルは存在しません。これまで成功してきた企業は、それぞれ独自の取り組みを発展させて、顧客とのつながりを深めています。

今後はさらに多くのビジネスシーンで、顧客エンゲージメントの強化が求められることでしょう。ここで紹介した事例も参考に、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。

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