マーケティング顧客体験(CX)

顧客エンゲージメントとは?概要や重要な理由と意識すべき観点を解説

インターネットやスマートフォンの普及により、あらゆる消費者が商品やサービスを利用するだけでなく、その感想などを発信できるようになりました。そのような時代に重視されているのが、顧客エンゲージメントを高めるマーケティング手法です。本記事では、顧客エンゲージメントの概要から高めるための具体的な方法や、設定するべきKPIなどについて解説します。

顧客エンゲージメントとはなにか

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最初に顧客エンゲージメントの言葉の意味についてご説明します。

エンゲージメントの意味

そもそも「エンゲージメント」は、直訳すると「約束」や「契約」といった意味を持つ言葉です。マーケティング用語ではなく、一般的な英語がカタカナ表記で利用されています。

なお、ビジネスの場では「従業員エンゲージメント」という言葉も利用されます。こちらも同様に「約束」や「契約」を意味し、主体が顧客であるか従業員であるかの違いです。

顧客エンゲージメントとは

顧客エンゲージメントとは、企業・商品・サービスなどと顧客との間に成立する「信頼感や愛着」などを指します。ポジティブな感情と表現されることも多く、定義には曖昧な部分があり明確に定められるものではありません。

ただ、一般的に顧客エンゲージメントの高い顧客は企業・商品・サービスへ積極的に関わってくれる傾向があります。信頼感を持ったり愛着が湧いたりしているため、主体的に利用してくれるようになるわけです。

主体的になれば、頻繁に商品を購入したりサービスを利用したりしてくれます。また、商品やサービスの良さを他者に伝えてくれるかもしれません。顧客エンゲージメントは明確な数値化できないものの、企業にとって非常に重要な概念です。

なぜ顧客エンゲージメントが重要視されるのか

なぜ「顧客満足度」だけでなく、「顧客エンゲージメント」も重要なのか疑問を持った人はいるでしょう。その大きな理由は、インターネットの普及を背景としたコミュニケーションスタイルの変化にあります。具体的には、従来のテレビや新聞などを通じた一方向の「マスコミュニケーション」から、インターネットやSNSを中心とした双方向のコミュニケーションに変化していることです。

一昔前とは異なり、顧客は気になる商品やサービスについて能動的に情報を収集できます。また、収集するだけではなく、その商品やサービスを利用した感想などを自ら発信することも可能です。広告を中心とした一方通行なコミュニケーションやマーケティングは通用しづらくなっているため、顧客とのエンゲージメントを高め、顧客も巻き込んだマーケティングが重要性を増しています。

【動画】マーケティング担当者必見!スタートアップCEOと考えるCXの未来

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デジタル技術の進化と共に購買プロセスが大きく変化し、B2B・B2C に関わらず、購買者はあらゆるタッチポイントで一貫したサービスを求めるようになりました。この変化の激しい時代において求められる顧客体験とはどのようなものか?

本動画は、過去 SAP.iO のプログラムに参加し、当領域の最前線で活躍されているスタートアップ各社の CEO をお招きし、日本企業が目指すべき将来の CX のあり方などについてディスカッションした内容を収録しています。

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顧客エンゲージメントが高まることによる3つのメリット

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顧客エンゲージメントが高まると、数多くの効果を生み出します。その中でもメリットとして注目してもらいたいものを3つご説明します。

ユーザーが主体的に情報発信してくれる

エンゲージメントの高い顧客は、一般的に自ら製品やサービスについて情報発信をしてくれます。SNSや動画サイト、人付き合いによる口コミなどでポジティブな情報を発信してくれるケースが多く、企業のマーケティング活動に大きな影響を与えます。

特に最近は企業ではなく個人の情報発信がマーケティングに大きな影響を与えます。SNSなどでポジティブな情報が拡散されれば売り上げが上がりますし、ネガティブな情報が拡散されてしまうと売上が下がりかねません。個人が発信する情報の影響力が大きな時代であるため、顧客エンゲージメントを高め情報発信してもらえると大きなメリットを感じられます。

顧客単価の向上が期待できる

エンゲージメントが高い状態はすなわち製品やサービスを信頼してくれている状況です。このような状況になると顧客は商品を繰り返し購入してくれたり、サービスを再び利用してくれたりします。結果、中長期的に見た客単価の向上が期待できます。

また、提供しているサービスによっては、顧客エンゲージメントの上昇がアップセルやクロスセルにつながる可能性があります。どちらも顧客単価の向上につながるかつ解約を防げるものであるため、サブスクリプションサービスなどを提供している場合は非常に重要な部分です。

なお、このような中長期的な顧客の貢献を「LIfeTimeValue(LTV)」と表現する場合があります。顧客エンゲージメントの向上はLTVの上昇につながると考えても良いでしょう。

フィードバックを得やすい

製品やサービスを応援するお客が増えることで、利用した感想などフィードバックを得やすくなります。顧客からのフィードバックは製品やサービスを改善するにあたって非常に重要となるため 、顧客がこれらの情報提供に協力してくれるのは大きなメリットです。

顧客エンゲージメントが高まっていると「さらに良い製品やサービスを手に入れたい」 と考え、企業に意見してくれるようになります。このような「生の声」を取り入れられるのは顧客エンゲージメントを高めることによる効果です。

顧客エンゲージメントで設定するKPI

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顧客エンゲージメントの向上は重要ですが、実行するのは簡単ではありません。以下では、顧客エンゲージメント向上に向けて、設定するKPIについて解説します。

1. マーケティングROI

「ROI」とは、いわゆる「投資対効果」を指します。つまり、「マーケティングROI」は各マーケティング施策がどれだけ顧客エンゲージメントの強化に寄与したかを表します。

企業の成長性を見極めるうえで、投資がどれだけ顧客エンゲージメントの向上に貢献したかは重要な指標です。顧客のニーズを満たすマーケティングやキャンペーンが実施できているか、マーケティングROIをもとに評価します。

2. 自然流入率

自然流入率は、企業による広告活動などによらず、能動的に自社の商品やサービスに顧客がアクセスしている割合を示します。言い換えれば「どれだけ自社のブランドが顧客に認知されているか」を指す値です。

一般的に、ブランドの認知度が高ければ、高い顧客エンゲージメントにつながります。既存の顧客や口コミなどにより関心を持った見込み顧客が、自分で検索などして流入してくるからです。

3. 平均ページビュー数

Webに関連する指標ですが、「平均ページビュー数」も重要なKPIです。顧客がWebサイトにアクセスした際、複数のページを閲覧していれば、それだけ関心が高いことを意味します。

なお、ページの閲覧数が少ないならば、コンテンツに魅力がない状態ということです。Webサイトに問題があるのか製品やサービスに問題があるのか見極めましょう。

4. 新規顧客獲得率

マーケティングROIとも関連しますが、「新規顧客獲得率」によってマーケティングやセールスなどの各キャンペーンの投資効果を計測できます。顧客獲得率が高いキャンペーンは、顧客エンゲージメント向上に貢献していると判断でき、継続して行うかどうかの判断をしていきます。

5. コンバージョン率

「コンバージョン率」は、購入や問い合わせなどのアクションに至った割合を指します。顧客の購買プロセスにはさまざまな段階がありますが、その中で複数のコンバージョン率をKPIとして設定することで、その割合の高低から、エンゲージメント増大につながるマーケティング施策などの改善を図れます。

6. 顧客満足度

顧客満足度は、顧客がサービスや商品に対して抱いているイメージを可視化でき、顧客エンゲージメントを測るうえで参考にもなる指標です。アンケートやモニタリングを通じて調べます。

7. 解約率

「解約率」は継続率の裏返しでもありますが、自社のサービスや商品を利用し続けている顧客の割合を把握するうえで、重要な数字です。顧客エンゲージメントが高いほど解約率は低くなるはずであるため、解約率が低ければ顧客エンゲージメントが高い状態だと考えられます。

8. リピート率

エンゲージメントが高い顧客は、自社のプロダクトを繰り返し利用してくれるでしょう。その意味で、「リピート率」も設定すべき重要なKPIです。顧客満足度が高いと、自然とリピート率も高くなるでしょう。[SMART_CONTENT]

顧客エンゲージメントを高めるポイント

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上記のKPIに加え、顧客エンゲージメントを高めるポイントを解説します。

現状の把握

顧客エンゲージメントの変化を評価するために、できるだけ現状の把握に努めましょう。何かしらエンゲージメントに関わる施策を実施するならば、前後を比較して効果があったか評価しなければなりません。

冒頭でご説明したとおり、顧客エンゲージメントは明確に数値化できるものではありません。そのため定性的に評価する際は、実務・学術的な観点で例えば以下が利用されます。

  • ウェブサイトの訪問頻度や滞在時間
  • ソーシャルメディア上の学習行動履歴
  • ユーザーの大規模行動履歴
  • 特定のサイト上での行動を記録したデータ
  • 購買履歴データ

参考:日本マーケティング学会|顧客のエンゲージメント価値の測定

これらの数字を用いて現状の把握に努めます。顧客エンゲージメントの状況を評価するためにも、定期的に数値を取得すると良いでしょう。

ユーザー行動のデジタル化

効率よく情報を入手したり解析したりするために、ユーザーの行動をデジタル化が推奨されています。インターネット時代のひとつの利点が、顧客のデジタル上の行動をデータとして可視化、および分析できる点であるため、積極的に利用しましょう。

購買に至る一連のプロセスを電子的に分析すると、どのようなコンテンツがユーザーのエンゲージメントを高めているかなどが明確になります。適切な分析ができれば投資先の選定などが可能となり、より効果的なマーケティング施策につなげられます。

マーケティングオートメーション(MA)

マーケティングオートメーション(MA)とは文字通り、マーケティング活動の効率化・自動化を意味します。特に、見込み顧客の情報をシステムに一元管理し、WebサイトやSNSをはじめとしたデジタル媒体での行動と紐づけ、各見込み顧客に合わせたマーケティング活動を効率的に実行します。

見込み顧客の関心領域や度合いに応じて、コンテンツの配信などを行い、関心度を高めることができます。また、見込み顧客から購買に至るまでのプロセスを効率化できるので、収益の向上につながりやすくなります。効果的なマーケティング施策やコンテンツがデータで可視化されるのも、メリットのひとつです。

現代で顧客エンゲージメントを獲得するためには

ここからは、具体的にどのように顧客とのつながりを強化すべきか、顧客エンゲージメント強化の手法についてご紹介します。

スマホアプリの活用

スマートフォンの急速な普及にともない、顧客の多くはスマホアプリを通して情報収集を行い、購買行動を起こすようになりました。このスマホアプリは、企業と顧客とをつなぐ重要なチャネルであり、顧客エンゲージメント強化にとっては大きなチャンスです。顧客とのチャネルから情報を集め、膨大なデータを分析することで、マーケティング戦略に活かせる重要なツールとなっています。

こうしたスマホアプリによる顧客エンゲージメントの強化は、「コニカミノルタ」や「オムロンヘルスケア」などから始まり、今や当たり前の手法です。スマホアプリがないと逆に「アプリがない会社」と認識され、エンゲージメントの低下を招きかねません。

ソーシャルCRM

世界人口の約1/3が「Facebook」「Twitter」「Instagram」といったソーシャルメディアを利用しています。そのため、企業はこれらを利用しているユーザーの情報をCRM(顧客関係管理)システムに統合して管理する時代です。

これは、企業側からの一方的な情報管理ではなく、企業がもっと顧客に寄り添うための一手段だといえます。CRMでやりとりされる情報は、例えば顧客側では商品情報のリクエストや、質問・相談・苦情などが含まれ、双方向のコミュニケーションを実現するのです。

顧客側からのコミュニケーションがあれば、回答などを通じて顧客エンゲージメントを強化するチャンスがあります。企業側が最適な対応を行い、顧客とのコミュニケーションを密にすることで、その顧客との関係をより強化できるのです。

オムニチャネル戦略

「オムニ」とは英語における接頭語で、「すべての~」を意味します。「オムニチャネル」とは字義どおり、顧客との間にあるすべてのチャネルを活用することです。あらゆる顧客接点を使うこと、と言い換えてもよいでしょう。

オムニチャネルにはECサイトや実店舗、SNS、マスメディア、さらにカタログや屋外広告など、これまで社会に登場したすべてのチャネルが含まれます。ただし、単純にチャネルの数だけを増やすだけではなく、それぞれの相乗効果を期待するのです。

具体的にオムニチャネルでは、すべてのチャネルを連携させながら、全体的なシステムの中で企業と顧客がコミュニケーションをとり、お互いの関係性を高めます。よって複数のチャネルを連携させた戦略が必要となりますが、それが最終的に、顧客エンゲージメントの強化につながるのです。

まとめ

あらゆる消費者が情報発信できる現代において、マスコミュニケーションよりも各顧客とのエンゲージメントのほうが重視されるようになっています。マーケティング施策のROIや顧客獲得率から、解約率や顧客満足度など、さまざまな観点からエンゲージメントの高さを計測し、施策の改善を行うことが大切です。

デジタルを中心としたコミュニケーションやMAの活用も含め、顧客エンゲージメントを高めるマーケティングが今後は今まで以上に求められます。可能な限り顧客エンゲージメントを可視化できるツールを導入し、数値に基づいた施策を実践してみてはいかがでしょうか。

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