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RFIとは?RFPとの違いと書き方のポイント

RFIPとは?RFPIとの違いと書き方のポイント

大規模なERPのシステム構築をSIerやERPパッケージベンダーに依頼する際に、RFP(提案依頼書、Request for Proposal)を作成することは正しいSIerやERPパッケージを選ぶために欠かせません。このRFP同様に欠かせないのがRFI(Request for Information)です。

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RFIとは何か?RFPとは何が違い、どんな役割があるのか?本稿ではRFIの概要について解説します。

RFI(Request for Information)とは何か?

RFIとは「情報依頼書」を意味する言葉で、SIer各社やERPパッケージベンダー各社に、会社の基本情報、技術情報、製品情報などの提示を求める依頼書です。基本情報を公式に求めるものなので、ホームページなどには記載されていない技術情報や製品情報などを得ることができ、かつRFPよりも簡単に作成できるため、依頼検討の初期段階で作成すると有効的です。

一方、RFPは「提案依頼書」を意味する言葉で、依頼側のシステム構築要件を盛り込み、それに沿った提案をSIer各社やERPパッケージベンダー各社に依頼するというものです。RFPを受け取った各社は、それぞれの技術や製品の特性を捉えて、要望に沿ったシステム構築がどう可能なのか、費用はいくらかかるのか、プロジェクト期間はどれくらいかなどの情報を細かく提案します。

RFIで求める情報とは?

システム導入のプロジェクトを推進するにあたり、適切な企業を選択する必要があります。
適切な企業・サービスを選択するためにも、RFIに書くべき内容をしっかりと押さえておきましょう。

RFIの目的

システムを導入する際には、自社のビジネスや導入業務にフィットしているかを重視してください。

例えば、高機能・多機能なサービスを導入しても、自社のビジネスとマッチせずに機能の半分も活用できないようでは効果は半減します。より効果的に活用するためにも、複数の企業に対してRFIを提示し、そこから得た情報をもとに吟味し、契約先を決定することが重要であると考えましょう。

RFIを作成する上で開示する情報

RFIから適切な提案を受けるためにも、まずは自社の状況を正しく把握してもらうことが必要です。自社の状況を伝えるためにも、以下のようなことをRFIに盛り込みましょう。

導入の趣旨や目的

システムを導入する趣旨や目的を明確にします。コアビジネスの目的やゴールなどを明確にし、システム導入により解消したい課題を記載しましょう。ベンダーにビジネスの背景や目的を正しく理解してもらうことで、より具体的な提案を受けやすくなります。

自社の情報

より具体的な情報を得るためにも、自社の状況を正しく伝えることが重要です。RFIを受け取った企業は過去の導入実績などを多く持っています。自社の情報やビジネスの内容などを明記することで、過去の実績をもとにイメージしやすい具体的な提案をしてくれる可能性が高まります。

導入する上での特記事項

その他、導入する上で課題になりそうな事項をあらかじめ記載しておく必要があります。
例えば、すでに稼働しているシステムとの連携が必要である場合や、扱う情報が個人情報や機密情報になる場合には注意が必要です。

希望納期

システムを導入するスケジュールを明確にし、運用を開始したい時期を記載しましょう。ビジネスインパクトがある場合や、数カ月程度の短い期間で導入が必要な場合など、予定よりも遅らせることが難しい場合にはその旨をしっかりと明記することが重要です。

作成したRFIは複数の企業に対して送付し、情報提供を受けます。それらの情報を並べて比較検討するためにも、提出の期限もあわせて記載することを忘れないようにしましょう。

RFIとして提供を求めるべき情報

RFIに対する情報提供を受ける際に、必要な情報がなければ検討が難しくなります。提示して欲しい情報を明記し、それらの情報も含めてもらうようにしましょう。

会社の基本情報

契約するにあたり、信頼できる企業かどうかを判断するためには、基本情報を記載してもらう必要があります。

会社概要、設立年、従業員数、事業内容、主要な顧客などの詳細な情報を記載してもらうとよいでしょう。ただし、企業からの提示内容だけでは判断がつかない場合もあります。実際の契約時には、第三者機関による信用調査なども視野に入れるようにしましょう。

導入製品の基本情報

情報を提供してもらう製品の基本的な情報を提示してもらいます。製品概要や機能一覧、詳細といった基本情報はもちろんのこと、ライセンス形態や価格設定、システム的な制限などがあればそれもあわせて明記してもらうようにしましょう。

特に、料金については比較する上で重要な要素となるため、ある程度の費用感が分かるように依頼するとよいでしょう。

製品の導入実績など

RFIで提供してもらう情報の中には、製品の基本情報だけでなく導入実績や他社事例なども含めてもらうことをおすすめします。

同業他社や似たような事例など、過去の導入実績を確認することで、導入後のイメージがつきやすくなります。また、同類の導入実績がある企業を選択することで、導入自体もスムーズに進む可能性が高まります。

RFPとRFIの違い

依頼側としては、RFPとRFIの違いを明確に知り、正しくRFIをつくることが大切です。
RFPはSIerやERPパッケージベンダーにシステム構築の提案を作成してもらうための具体的な提案を依頼するための文書です。
RFPには、以下のような情報が含まれます。

  • 提案の範囲や提案の骨子になる要件
  • 提案者が必ず守らなければいけない事項
  • 詳細な導入スケジュール

提案してもらう内容が具体的になるため、RFPの場合、SIerやERPパッケージベンダーから自由に提案してもらう部分が限定的になります。
システム構築にあたってやって欲しいことを明確にした上で提案を依頼するため、実現方法やコストなどが回答として提案書に記載されます。そのため、見積金額も自然と精緻で正確なものになるしょう。

一方、RFIは以下のような情報を受け取ることになります。

  • 会社の基本情報
  • 技術情報、製品情報など

基本情報の提示を求める依頼書であるため、製品カタログやパンフレットに掲載されるような情報を受け取ることになります。価格も精緻な見積ではなく、標準価格や参考価格なので、受け取れる情報の粒度がRFPとは大きく違います。

基本的には、以下の流れになると考えましょう。

  1. RFIを送付して情報収集する
  2. 特定の数社に対してRFPを送付して具体的な提案を受ける

RFI・RFPと混同されやすい他の言葉

RFI・RFPと混同されやすい他の言葉

システム導入をするにあたり、RFIやRFP以外にも登場する単語があります。それらの違いを正しく理解し、使い分けるようにしましょう。

RFQ(Request For Quotation)

RFQは見積(Quotation)を依頼するための依頼書で、特定の製品やサービスの価格を知りたいときに活用します。具体的な要件が既に確定している場合に有効で、RFQには非常に具体的で詳細な仕様を含むことが一般的です。

正確な見積を出してもらうためには具体的な要件が必要であり、RFQ作成の難易度は高いといえますが、具体的な費用を提示してもらえるため、最終的なコストを抑えられる可能性が高まります。

RFC(Request for Comments)

RFCはコメント(Comment)を依頼するための依頼書で、主に技術文書や仕様書に対するフィードバックを求めるために使用されます。特定の提案や仕様について、関係者からの意見や改善案を収集することで、最終的な文書の品質や精度の向上につながります。

RFCは特に技術コミュニティや標準化団体において広く用いられており、オープンな意見交換を通じて最善のソリューションを見つけ出すために活用できます。

RFx

RFxは、前述のRFIや、RFP、RFQといった「~依頼書」を総称した言葉です。RFxには複数の単語が存在しますが、いずれもプロジェクト開始前に必要な情報を収集し、最終判断をするために利用します。

適切な企業を選び、プロジェクトを成功に導くためには、プロジェクトの進捗状況やステージに応じて最適なRFxを選択し、情報提供や提案を求めることが大切です。

RFI・RFPを作成するメリット

RFI・RFPを作成するメリット

RFIやRFPを作成することで、発注側の企業としてのメリットを紹介します。

情報収集に役立つ

RFIやRFPを通じて、各社から詳細な情報を収集できます。

市場における最新の技術動向や製品の特長を把握し、自社のビジネスに最適なソリューションを見つけ出すことが可能になります。また、多様な選択肢を比較検討することで、より効果的な意思決定にもつながるでしょう。

選定の客観性・公平性が保たれる

RFIやRFPの活用により、複数のベンダーからの情報を一元管理できます。

また、各社に同じ内容・フォーマットで提供してもらうことで、客観的な基準にもとづいて同じ評価軸での比較が可能です。例えば、重点的な評価内容をもとに各社の比較表をつくることで、分かりやすく比較できるだけでなく、個人的なバイアスを排除し、公平な選定プロセスが実現できるでしょう。評価したポイントも明確にできるため、公平性も担保できます。

スクリーニングとして活用できる

RFIやRFPは、初期段階で多くの候補から最適なベンダーを絞り込むための有効な手段です。まずはRFIを送付し情報を収集した上で、RFPを送付する対象を数社に絞り込むとよいでしょう。

自社のビジネスにマッチしていない企業や、費用面で導入が難しい企業をあらかじめ排除することで、選定プロセスを効率化できます。多くの企業にRFPを送付すると、比較検討に時間がかかるため、プロジェクトの成功確率を高めるためには、効率的に企業を選定するようにしましょう。

トラブル回避につながる

RFIやRFPに情報をあらかじめ明記しておくことで、ベンダーとの間で明確な合意を形成できます。

具体的な要件や期待値、前提条件を事前に共有することで、誤解や認識のズレを防ぎ、後のトラブルを回避することが可能です。特にRFPは要件定義の基礎となるため、RFPの記述が曖昧だったり間違いがあったりすると、納品時やその後のトラブルに発展することもあります。

認識に齟齬があった場合には、あらかじめ提示・同意しているRFI・RFPの内容が論点となる場合もあるため注意しましょう。

RFI・RFP・RFQを作成するタイミング

RFI・RFP・RFQを作成するタイミング

RFI、RFP、EFQは、システム導入のプロジェクトの状況に応じて、うまく使い分けることが重要です。

RFIはプロジェクトの初期段階の情報収集段階で作成し、必要な情報を収集します。その後、要件が明確になりより具体的な提案が必要になったタイミングでRFPを作成します。また、要件が完全に決定しており、導入費用やコストだけを知りたいのであれば、RFQを作成することになるでしょう。

そのため、順番的には、RFI→RFP→RFQの順番で作成し、その後契約して本格的にプロジェクトを始動させることになります。

RFIの効果を高めるためには?

RFIはSIerやERPパッケージベンダーの基本情報を求めるための依頼書ですが、ちょっとした工夫で検討時に有用な情報を入手できます。

例えば、RFIにてシステム構築実績やERPパッケージ導入実績などの情報を求める際に、特定の企業への実績について尋ねるとより正確な情報を知ることができます。

「製造業で売上高10億円未満のシステム構築/ERPパッケージ導入実績」といった具合に、業種や事業規模を少しだけ特定すると、それに沿った実績情報を得ることが可能です。この他、下記の点に注意するとRFIの効果を高められます。

RFIの内容に完全性を求めない

RFIを作成していると、その内容をより詳細に、より具体的に書きたくなります。せっかくRFIを作成し、SIerやERPパッケージベンダーから回答を求めるものであれば、有用な情報を得たいというのが自然のことです。しかしながら、RFIはあくまで比較するための参考情報を得るためのものであるため、必要最低限の情報を求めるようにしましょう。

内容を詳細にしようとすると、RFIの作成自体に時間がかかるだけでなく、情報過多になることで選定に時間がかかってしまいます。効率よく選定を進めるためにも、具体的な要件や要求事項は改めてRFPで提案を求めるとよいでしょう。

提示して欲しい内容を明確にする

RFIで求める要件(条件や前提)には曖昧な点があっても問題ありませんが、SIerやERPパッケージベンダーに回答してもらう内容については、ある程度明確にする必要があります。例えば「システムの概算費用を提示してください」というRFIでは、初期費用は含むのか、ハードウェア費用は含むのかなど、回答側はその判断に困ってしまいます。そのため、RFIに盛り込む要件は曖昧なものであっても、「システム導入時に必要なライセンス費用と、ハードウェア費用を提示してください」といったように、具体的な回答を求めることが大切です。

RFIの作成に活用できるDynamics365

RFIの作成に活用できるDynamics365

RFIを作成して各社に情報提供を依頼する場合、多くの企業に送付することになります。
Dynamics365をうまく活用することで、RFIの作成から情報の管理、比較検討への活用が期待できます。

  • RFIのテンプレートを作成し、それに基づいたRFIを作成する
  • RFI送付先の企業一覧を作成し、作成したRFI配布する
  • 各社の提出状況を管理する
  • 提供された情報内容をもとに、比較表を作成する

また、Dynamics365はWordやExcelといったOfficeアプリやPowerBIといったビジネスサービスとの強い連携機能を有しています。RFIだけでなく、導入後の効果測定も含めて総合的に活用することで、ビジネスの成長につながります。

まとめ

これからERPを導入しようと考えていたり、現時点でERPが気になっていたりするのならば、ビジネスの状況や目的を明確にした上で、RFIを作成し、各ERPパッケージベンダーに送付し、回答を依頼してみましょう。ERPパッケージベンダーとしてもRFIへの対応負担は軽いため、回答が早く、各製品の特徴や参考価格などを簡単に比較できます。

RFPを作成するのは具体的な検討が終了し、ERPを導入しようと決断したときで問題ありません。ただし、導入目的が明確でない場合、比較する内容が一貫せず、本当に必要な情報を得られない可能性があるため注意してください。
本稿で解説した内容を参考に、RFIで効率よく、有効的な情報を入手していきましょう。

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