営業力強化とは
企業が継続して利益を生み出していくためには、利益の起点ともなる“営業”の力が大切です。そんな営業力は、「成約を取ってくる力だ」と言う人もいれば、「顧客とのコミュ二ケーションを円滑にできる力だ」と言う方もいるでしょう。
何にせよ共通して言えることは「利益に繋がる行動を、効率良く行えている」ということです。従って営業力とは、一つ一つの行動を自分自身で考え、都度最適な選択を行っていくことではないでしょうか。
となると、営業力強化は簡単ではありません。各営業マンの自分で考える力を養わなければならないので、これは一筋縄ではいかないでしょう。ただし、こうした精神面の成長を待つのではなく、すぐにでも行える営業力強化方法があります。
それがCRM やERPといったITソリューションの導入です。最適な顧客管理から営業活動に特化した商談管理などを可能にするCRM。そのCRMを含む、複数の業務システムの統合環境を整えるERP。どちらも今や、営業力強化には欠かせないものとなっています。
今回は、CRMやERPを導入することで、営業力がどのように強化されるのかを紹介していきましょう。
営業部門によくある6つの課題
まず整理しておきたいのが営業課題です。営業部門における課題は企業によって様々ですが、よくある課題が存在します。
マーケティング戦略上の自分の役割を理解していない
営業とマーケティングは一見同じ目的を持っているように見えますが、実は違います。最終目標である“企業利益をアップする”という点では合致しているでしょうが、そもそも営業とマーケティングの役割は異なるので、当然目的も違ってくるのです。
マーケティングは営業と比べて“マス”を相手にしています。いかに良質な見込み客を獲得できるかに心血を注ぎ、それらを営業に託します。営業はマーケティングから受けとった見込み客と“一対一”で向き合います。
“マス”と向き合うか“個”と向き合うか、これは大きな違いです。
そのため営業にはマーケティング上の戦略と自分の顧客を照らし合わせて、自分の役割を理解しなければなりません。「自分の担当している顧客に対して、施策通り動いてますよ」では、ダメなのです。
営業はマーケティング戦略を自分なりに咀嚼して、血肉に変換させ、行動しなければなりません。
情報共有ができず個々に分散している
営業部門という一つの組織があるにも関わらず、その組織を活用し切れていない環境が目立ちます。そもそも組織を作る目的は、個人では難しいプロジェクトや業務を、組織一丸となって実現していくためにあります。
効率よく管理を行うという目的もありますが、管理体制がしっかりしていれば、組織内に部門を作る必要はありません。従って、組織が存在する意義はやはり、協力して一つのことを成し遂げていくという点にあります。
しかし実態は、営業個々が独自の活動を行うばかりで、情報共有が一向に進みません。自分自身で考え正解を導き出せる営業ならば問題ないでしょうが、そうでない営業方が多いのも事実です。
そんな中で情報共有が進まない環境は、営業にとって足かせにしかなりません。
スキルの差に開きがある
情報共有が進まないと、ダメな営業はいつまで経ってもダメなままです。しかし、そんな営業すべてがダメで、生まれながらにして営業に向いていないというわけではありません。問題は、営業活動のやり方です。
トップ営業は常に独自のノウハウを持っていて、それを試行錯誤し、磨いていくことで営業スキルを高めます。こうした成長の過程は暗黙知なので、見ているだけで真似できるようなものではありません。
しかし、そのトップ営業のノウハウやスキルを共有する環境がなければ、スキルの差が埋まることはないでしょう。
部門全体をチームとして営業ができていない
前述したように営業部門という組織は、チーム一丸となって目標を達成しなければなりません。しかし実際問題として、部門全体がチームとして行動できているケースは多くありません。責任者も自分の業務で手いっぱいだったりすると、営業同士で結束することは少ないので、チームとしての行動ができなくなります。
経験や勘に頼った営業活動が多い
コミュニケーションツールや情報収集プラットフォームなどが、まだしっかりと整っていなかった十数年前ならば営業に取って経験や勘といったスキルは何よりも重要でした。しかし時代は変わり、一企業が対象とするターゲットが増え、顧客の購買行動も多様に変化しています。
そんな中で、従来のような経験や勘に頼った営業活動では、効率良く利益を生み出したリ、顧客との信頼を築いていくことはできません。現代ビジネスの営業はもっと計画と戦略を重視した営業活動が強いられています。
新人が育たない
営業部門で最も深刻な問題が、新人が育たないということではないでしょうか。トップ営業はいずれ管理職になり、独立して退社するかもしれません。スキルの高い営業が、いつまでも現場でバリバリ働く、ということは至極稀なことです。
しかし新人が育たなければ、トップ営業を現場に留めておく必要があります。これはすなわち、能力や評価に見合わない環境を提供していることになり、結果としてトップ営業も失うことになりかねません。
こうした課題を目の前にして、ゆとり世代やさとり世代といった、新人の性質に責任転換している企業も少なくないでしょう。確かに十数年前のような精神で動くような人材が少なくなっているのは事実です。しかしそれはやる気はない、というのではなく、より論理を重視している結果だと言えます。
つまり、企業にとって営業がなぜ必要なのか、なぜ新人が育たなければならないのか、一つ一つの研修の目的などを論理立てて説明すれば、案外すぐに業務を吸収していくはずです。
CRMとERPがなぜ営業力強化に繋がる
CRMもERPも導入すれば、業務効率を飛躍させることができます。しかし、見積作成や業務日報を従来の120のスピードを完了させられるようになったからといって、営業力が伸びるわけではありません。
タイヤがパンクした自動車のエンジンだけを積み替えても、性能は大して変わらないのです。
しかし、CRMとERPには“情報共有”という強い機能があります。今まで営業個々に分散されていた情報を一元管理することによって、トップ営業のノウハウを部門全体で管理できたり、責任者が各営業の何がいけないのか、を把握することができるようになります。
そうすることで営業ごとのスキルの差が縮まり、営業部門全体で営業活動に取り組むことも可能です。
また、営業部門としてのノウハウが蓄積していけば、これを新人教育に活かすこともできます。体系立てたノウハウがあれば、今での世代の新人も自分が行うことに納得しやすく、実践業務をどんどん身に付けていくことでしょう。
まとめ
営業力を強化するということは、企業の利益を拡大させるということです。ただしプロジェクトの原価管理や計画管理などもしっかりと行うことが大切なので、営業力強化だけにとらわれてはいけません。ともあれ、CRMやERPを導入した場合の影響は、企業全体に及びます。CRMやERPで営業力強化を実現しつつ、企業全体の業務効率もアップしていけるでしょう。