「営業支援システム」は、読んで字のごとく営業活動を支援するためのシステムです。ただし、何をもって営業活動を支援するかは製品ごとに異なります。実は、この営業支援システムの概要や役割について、曖昧に理解している方が少なくありません。
皆さんは、上司や同僚あるいは部下から「SFAって何ですか?」と聞かれて、明確な返答ができるでしょうか?
本稿では営業支援システムの概要、役割、機能、導入の効果などを解説していきます。
改めて、営業支援システムとは?
営業活動というのは、どれ程「コアタイム」を増やせるかで業績が変わります。営業のコアタイムとは企業へのアポイント、見込み客との商談、企業担当者からの問い合わせ対応、商談やクロージングなど、受注に直結するような業務を指します。コアタイムと受注率は相関関係にあるため、コアタイムが増えるほど受注率が高くなるのが営業です。
しかし、日本の営業にはコアタイムへ割ける時間が圧倒的に少なく、ゆえに営業効率が世界的に見ても低いという状況にあります。
たとえば未だに根強く続いている「営業日報」。日本では古くから、商談やルートセールスを終えて帰社したセールスマンに対して、営業日報を書かせて1日の活動を報告させるという習慣があります。この営業日報がセールスマンの受注率向上につながっているかというと、ほとんどの場合その効果を発揮していません。
「セールスマンは足で稼ぐ」という根性論も未だに根付いている習慣です。インターネットが普及してコミュニケーションが多様化した現代において、毎度相手先に足を運ぶことが受注率につながるとは限りません。それならば、オンライン会議やチャットツールで適宜コミュニケーションを取り、余った時間で顧客サービスを細部までこだわったりと、受注率を上げるための行動は他にも無数にあります。
こうした古い習慣は、営業コアタイムを下げてしまっている大きな原因です。営業支援システムは様々な機能によって、この営業コアタイムに割く時間を増やすことで、セールスマンの受注率を上げるためのシステムです。
「営業管理」も忘れてはいけない
もう一つ、営業支援システムの重要な役割は「営業管理」です。基本的にセールスマンは管理されることを嫌います。というより、そもそも人間は管理されることを嫌う生き物です。しかし、営業においてセールスマンを管理することは受注率向上のために非常に重要であり、営業支援システムには「営業管理」の役割もあります。
欧米諸国の営業支援システムは、どちらかというと「営業管理」の目的で発展してきたものがほとんどです。「生涯雇用」という習慣はなく、キャリアアップのための転職が当たり前の欧米諸国ビジネスにおいて、セールスマンは最も流動的な人材です。そのため、セールスマンごとに保有する重要な顧客情報が、転職によって失われてしまうという問題がありました。
そこで、顧客情報や商談情報を営業支援システム上で管理させることにより、たとえセールスマンが転職しても重要な情報は企業に残ります。一方、日本の営業支援システムはシステム上での営業日報入力など、営業活動の効率化に重点を置いています。
ただし、現在では営業活動効率化も営業管理も役割として含んでいるのが営業支援システムです。
営業支援システムの機能
営業支援システムの機能を具体的に紹介していきます。
機能1.顧客情報管理
営業支援システム上で顧客情報を管理することは基本機能の一つです。ただし、従来の顧客データベースのように、顧客の基本情報などを記録するだけでなく、担当者や決裁者情報、案件情報、商談内容などを記録するのが営業支援システムの顧客情報管理機能です。
顧客情報管理によって情報を蓄積していくことは、営業支援システムの役割の一つです、蓄積した情報をもとにマーケティングを展開したり、効率良くセールスを行います。
機能2.日報管理
古い習慣とは言いつつも、多くの営業支援システムでは日報管理機能を有しています。もちろん、営業日報も活用次第では受注率の向上になります。大切なのは、入力のルールを設けることと、営業マネージャーからの評価指標を設けたり、フィードバックを確実に行うことです。
セールスマンごとに入力内容がバラバラだと、営業マネージャーも何をもって情報を管理すればよいのかわからず、フィードバックも行えません。さらに、入力ルールがないと日報管理の効率が下がるため、受注率の低下につながります。
営業マネージャーによる評価指標が無いことも、セールスマンのモチベーションを下げる結果になるため、明確な評価指標が必要です。
もう一つ、営業支援システムには外出先からでもモバイル端末にて営業日報を入力する機能があるため、営業活動の効率化につながります。
機能3.マーケティング支援
受注率を上げるためにマーケティングが如何に重要かは、すでに多くの方が理解しているでしょう。しかし、実際にマーケティングによって見込み客を創出したり、獲得した見込み客を商談可能な状態まで成長させることは、難しい課題です。
営業支援システムにはそうしたマーケティングを支援するための機能があります。たとえば、イベントやセミナーで獲得した見込み客に対しフォローアップメールを送信したり、シナリオに沿ったメールを送信したりと、セールスマンやマーケティングの定型作業を効率良く行うための機能があります。
機能4.モバイル機能
クラウド型の営業支援システムでは、モバイルアプリケーションに対応した製品があります。モバイルアプリケーションを利用すれば、スマートフォンやタブレットから営業支援システムにアクセスして、様々な機能を使用できます。
スマートフォンやタブレットから営業支援システムが使えると、セールスマンは移動中や取引先にてシステムを使用し、様々な作業をこなせるので営業効率がアップします。
営業支援システムのメリット
上記の機能以外にも、営業支援システムには様々な機能があります。それらの機能を活用して得られるメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
メリット1.営業情報の集約
セールスマンごとに管理されている情報をシステム上に集約すると、それらの情報を企業資産として活用したり、営業ノウハウの蓄積効果があります。たとえセールスマンが転職や退職をしても顧客情報は残るため、継続して情報活用が行えるでしょう。
メリット2.コアタイムへの注力
日報作成や見積書作成、契約書作成などの業務が効率化されれば、自然と営業コアタイムへ割く時間が増えます。ひいては受注率向上につながる重要なメリットです。
メリット3.モチベーションアップ
営業支援システムで営業情報を管理し、セールスマンを適切に評価する環境があれば、個々人のモチベーションアップにつながります。
メリット4.次のアクションを明確にする
案件情報や商談内容を管理すると、セールスマンが次に取るべきアクションが明確になります。
まとめ
いかがでしょうか?営業支援システムは今や多くの企業にとって欠かすことのできない業務システムです。まだ導入していないという企業は、自社への営業支援システムの有効性を考え、導入を検討してみましょう。