ERP

ERPの導入まえに知っておきたいポイント

ERPって大企業向けのシステム製品でしょう?」こうした声を、中小企業経営者から聞くことはめっきり少なくなっています。その理由としてはソフトウェアの進化やクラウドの普及によりERP導入のコストが低下したことと、中小企業だからこそ基幹系システムの統合による情報活用やプロセスの合理化が強く求められているということが大半を占めるでしょう。

本稿ではERPを導入する前に知っておきたい昨今のERPのポイントをご紹介します。焦らず、慎重な導入のためにもぜひ参考にしてください。

ERP導入で失敗する8つの理由と回避策

ERPは何のためのシステムなのか?

ERPに関する情報は無数に流通していますし、ERP製品も多数存在します。その中で「ERPとは何か?」「ERPは何のために存在するのか?」という基本的な概念について、正しく捉えられていない方が多いのも事実です。

改めて解説すると、ERPとは「Enterprise Resource Planning(エンタープライズ・リソース・プランニング)」の略であり、日本語では「企業資源計画」と訳されます。もともとはヒト・モノ・カネという経営3大要素に加えて情報を足して、これらを統合的に管理することで経営の効率化を図るマネジメント手法や概念を指すものです。ERPは、1980年代に流行したMRP(Material Resource Planning:資材所要量計画)を経営全体に発展させたものだと言われています。

そして、ERPというマネジメント手法および概念を実現するためのIT製品を「ERPパッケージ」・「ERPシステム」やそのまま「ERP」と呼んだりします。

そこから考えるにERPとはもともとあらゆる経営情報を統合して、情報活用をもとにした経営判断を下すためのシステムだと言えます。また、「組織全体の業務効率化」や「ビッグデータ活用」のためのシステムだという認識もされていますが、もともとは経営最適化のためのシステムがERPなのです。

ERPもエンドユーザーありきのシステム

「ERPは経営のためのシステム」という認識を強めてしまうのは少し危険です。なぜなら、ERPというシステムも従業員であるエンドユーザーが利用するからこそ成り立つものであり、エンドユーザーの利便性を損ねてしまうとERPを導入する意義を失ってしまうからです。

ERP導入に失敗する企業の中には、エンドユーザーを意識せずに経営層独自の判断でERP導入プロジェクトを推進したというケースが多々あります。なので「ERPは経営のためのシステム」という認識を残しつつ「ERPはエンドユーザーの業務効率を向上させるもの」という認識も持たなければいけません。

経営を優先するとエンドユーザーの利便性が損なわれますし、エンドユーザーを優先すると経営での情報活用が損なわれます。この2点のちょうど良いところでERPを導入することがベストでしょう。大切なのは双方のバランスです。

そのために必要なのが、ERP検討段階からエンドユーザーを巻き込んで導入プロジェクトを推進することです。ERPは組織全体に影響があるシステムですので、各部門責任者や従業員からうまく要件を引き出し、各部門の要件と経営上の要件を突き合わせて導入すべきERPを選定することが肝要となります。

まずは経営層からの視点、エンドユーザーからの視点、情報システムからの視点、監査・経理からの視点でERPのメリットとデメリットを整理して、それぞれから見たERPの最適な形を把握してみましょう。

ERP導入はベンダー選びでほぼ決まる

「システム導入に成功するためにはベンダー選定が重要です。しかし、それだけでは成り立ちません。ベンダーと頻繁にコミュ二ケーションを取って、一丸となって導入プロジェクトを進めることが大切」とよく言われています。しかしそれはベンダー側の都合も含まれている意見なので、100%正しいとは言えません。やはりどのベンダーを選ぶかでERP導入成功の大半は決まるかと思います。

確かに顧客がベンダーと頻繁にコミュニケーションを取って自社要件を出来る限り反映するということは大切ですが、その要件を如何に引き出せるかはベンダーの力量にもかかっています。そのため顧客側としてはまず「ベンダー選びがまず重要」ということを念頭に置きながら、導入するERPとパートナーを慎重に選ぶことが大切です。

特にERPでは導入パートナーによって得手不得手がかなり異なりますので、パートナー選びは慎重に行っていただきたいと思います。

クラウドERPの利点は「コスト削減」だけではない

今でこそ「クラウド=コスト削減」というイメージは無くなってきたものの、現在でもクラウドサービスを利用することでシステムコストを削減できると考えている方は多いでしょう。ただしクラウドERPの利点は「コスト削減」ではありません。

確かにクラウドERPはパッケージ製品に比べて初期投資を大幅に抑えることができます。しかしそれは、クラウドERPがサブスクリプションといってユーザー単位で月額利用料が発生するタイプのビジネスモデルを展開しているからです。そのためランニングコストでいえばもしかしたらパッケージ製品と同等かそれ以上がかかることもあります。

コスト削減以外でクラウドERPを導入する本当の利点は次の通りです。

1. 情報システムの負担を軽減し、システムの統合が図れる

ERPでは基幹系システムと情報系システムが統合され、1つのデータベースで情報が管理されます。これは情報システムの負担を軽減するという意味でも大きな利点です。

2. 会計管理情報や業務フロー等の一元管理が可能に

ERPを導入することで会計管理情報や業務フロー、あるいはその他の情報・業務プロセスを一元的に管理できるのも大きな利点の1つです。

3. 経営判断に必要な情報をリアルタイムに提供する

ERPの中にはBI(Business Intelligence:ビジネス・インテリジェンス)ツールが含まれている製品もあり、ERPで一元管理されている情報を自動的に分析する機能が備わっています。分析された情報は経営者専用の画面でリアルタイムに表示されるため、経営者は欲しいときに欲しい情報を手にして、素早い経営判断を下すことが可能になります。

4. 業務効率化により人材不足問題解消の一手になる

ERP導入によって業務効率がアップすれば、従業員1人1人が負担する業務量が少なくなります。そのため新しい人材を採用せずとも既存の人材リソースだけで業務量をカバーできるようになります。

5.海外展開が容易に行える

クラウドの利点の一つにPCなどのデバイスさえあれば容易に活用できるというものがあります。そして昨今のクラウドERPは多言語、多通貨対応などが当たり前になりつつありライセンスさえ購入すれば海外への展開が容易です。

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ERP導入はパッケージ製品でもクラウドERPでも、比較的大規模な導入プロジェクトになるからこそ正しい予備知識を備えることが大切です。マイクロソフトが提供するDynamics 365はあらゆる業態にフィットし、各企業の業務要件を満たすためのアプリケーション開発環境も備えています。ERP導入検討の際は、ぜひDynamics 365にご注目ください。

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