顧客中心のビジネススタイル、顧客データを活用した新たなマーケティングの創出、こうした現代社会にマッチしたビジネスを展開するためには、今やCRM(顧客管理システム)の導入が欠かせない時代です。
CRMにより顧客情報を適切に管理したり、個別のコミュニケーションを可能とすることで、様々なビジネス価値を創出することができます。
しかし、全ての企業がCRM導入の効果を十分に得られているわけではありません。
環境にマッチしないCRMを導入してしまったり、拡張性の低いCRMを導入してしまうことで、導入失敗となるケースも少なくないのです。従ってCRM活用において、導入段階が最も重要なフェーズだと言えます。
今回紹介するのは、そんなCRMの選定手順や選定ポイントについてです。
CRM導入はどう進めればいいのか?また、選定時のポイントとは何か?これらの疑問に焦点を当てていきます。今後CRM導入を予定している企業ではぜひ参考にしていただければと思います。
オンプレミスとクラウドの違い
CRMを導入する上でまず企業が選択することが、恐らくオンプレミスで導入するかクラウドで導入するかではないかと思います。
ここでまず、それぞの特徴を明確にしておきましょう。
カスタマイズ自由なオンプレミス
オンプレミスとは自社にサーバなどのインフラ環境を整えCRMを導入する方式ですが、フルスクラッチ開発とパッケージ製品導入といった、さらに2つの選択肢があります。いずれにしろ、インフラ調達があるため導入コストは肥大化しやすく、さらには導入後の運用負担まで大きくなる傾向にあります。
その分、システムの柔軟性は非常に高いのが特徴です。パッケージ製品でもカスタマイズできるものが多いため、自社環境にマッチしたCRMを構築することができます。
スピーディかつ低コストなクラウド
一方クラウドとは、パッケージ製品として提供されているCRMを、インターネット経由でサービスとして利用するという方式です。利用に必要なのはPCとインターネット環境、そしてサービスを利用するための月額料金(年額や従量課金もあり)です。
非常にシンプルなビジネスモデルであるため、企業にとっても導入しやすく、また導入後のサポートも備えているベンダーが多いのも特徴です。
クラウドはインフラ調達が必要ない分とてもスピーディな導入を実現し、導入時はもちろんのこと、導入後の運用コストまで削減できるケースも少なくありません。
現在、CRMの導入方式として主流になりつつあるのがクラウドCRMです。IT技術者を保有していなくとも導入できるという魅力があるので、多くの中小企業や大企業が導入を検討しています。
今回は、このクラウドERPにさらに焦点を合わせていきます。
クラウドCRMの選定手順
まずはクラウドCRMの選定手順を確認していきましょう。
将来的な顧客サービスを明確にする
導入した当時は効果を発揮したクラウドERPも、経年につれて徐々に機能性を失っていったというケースが少なくありません。なぜこうした失敗が起こるのか?それは、現状のビジネスに適合したシステムを選んでいるからです。
企業のビジネスモデルなどは時に変化します。特に顧客サービスといった分野では、常に最適なサービス提供を求めて変化します。
従って、将来的な顧客サービスの変化を予測し明確にしなければ、いずれCRMがマッチしない環境になってしまうでしょう。
業務適合性を念入りにチェックする
業務適合性とは、CRMを導入することで現状の業務を以下にシステム化できるかを把握することにあります。
例えばクレーム機能を利用することで過去のクレーム対応情報を記録したり、顧客情報の名寄せ機能で作業時間を短縮したり、様々な業務をデジタル化できる環境がCRM導入にとってベストです。
そのためには、全ての業務を棚卸して、システム化できる業務とそうでない業務を明確にすることが先決です。
ただし、システム化することで従来のビジネススタイルを大きく変化させてしまう場合もあるため、注意が必要です。
システムの柔軟性を確認する
ビジネスとは常に変化するものなので、それに伴いシステムも変化すべきであり、CRMも例外ではありません。しかし、クラウドCRMで機能拡張など柔軟性に富んだ製品は限られています。
従ってシステムの柔軟性を事前に確認することはかなり重要なポイントです。
クラウドCRMでもユーザー独自にカスタマイズできる製品は確かに存在するので、選定時のポイントとして盛り込んでおくといいでしょう。
ベンダーサポートを重視する
クラウドCRMベンダーが提供するサポートは、当然ながら手厚いサポートの方がユーザーは安心して導入することができます。また、システム上のトラブルが発生した際も、迅速に対処できるので生産性低下を最大限に抑えることが可能です。
ただし、サポート体制がそもそも曖昧であったり、サポート自体が不十分なケースもあるので注意しましょう。
ベンダーの導入実績を確認する
最後にベンダーの導入実績の確認ですが、これは自社環境に類似した導入実績を確認すると、自社へのクラウドCRM導入がイメージしやすくなります。また、単純な導入実績の豊富さも確認しておくといいでしょう。
しかし、必ずしも導入実績の多いベンダーが自社に最適なクラウドCRMを導入できるとは限りません。実績はあくまで参考程度に留め、自社環境を総合的に分析した上で選定に臨みましょう。
クラウドCRM選定時のポイントは?
上記でクラウドCRM導入の手順について紹介したので、ここではクラウドCRM選定時のポイントについて紹介します。
使い勝手はシンプルが良い
CRMのデータ入力を行うのは主に営業部門の従業員になりますが、営業回りや顧客とのコミュニケーションに何かと忙しい営業部門は、面倒くさいシステムの導入を嫌います。現場にしっかりとクラウドCRMを定着させるためには、やはり使い勝手がシンプルな製品が必要です。
費用対効果の高い製品を選ぶ
クラウドCRMを選定する際は表面上のコストにとらわれがちですが、最も重要なのは費用対効果です。多少導入費用が高くとも、費用対効果の高い製品を選べばしっかりとした導入効果を得ることができます。
他ツールとの連携確認も忘れない
企業が普段使用する業務システムはCRMだけでなく、様々なシステムやアプリケーションが稼働しています。従って、それら他ツールをシームレスな連携が取れているかを確認してください。
モバイル対応は必須
スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末が今や当たり前となったビジネスでは、クラウドCRMがモバイル対応していることで、さらに高い利便性を得ることができます。
まとめ
いかがでしょうか?クラウドCRMはスピーディかつ低コストで導入できるシステムの一つですが、扱う人次第で利益をもたらしたり、逆に業務を煩雑化させてしまうこともあります。また、機能は基本的に固定的であり、自由なカスタマイズができないということも頭に入れておかなければなりません。
全て理解した上で適切な選定を行えば、難しいクラウドCRM選定もクリアし、自社に最適なシステムを導入することができるでしょう。
今回紹介した選定ポイントなどを参考に、ぜひクラウドCRMの導入をご検討ください。