昨今、インターネットやスマートフォンの普及で、次々に新しいアプリケーションが開発されています。開発競争が激化しているアプリケーション市場ですが、最近のトレンドはどのようなものなのでしょうか。本記事では技術的な部分も合わせて、アプリ開発のトレンドについて解説します。
アプリ開発の6つのトレンド
最近のアプリ開発では、どのようなことが重視されているのでしょうか。主なポイントを6つにまとめたので、くわしく紹介します。
充実したカスタマーサービス
IT業界は技術が更新されるスピードが速く、日々新しいアプリケーションが生まれています。多くのアプリの中から選ばれるには、商品そのものの価値だけでなく、カスタマーサービスの充実によって、差別化を図ると効果的です。
最近は「モノ消費」より「コト消費」と言われ、ユーザーは商品だけでなくアフターサービスまで含めた顧客体験を重視する傾向があります。そのため、各企業はアプリの使い方を動画やWebサイトで公開したり、チャットボットを導入してユーザーの疑問に即時に対応できるようにしたりと、さまざまな方法で顧客目線に立ったカスタマーサービスを実施しています。
顧客体験で他との差別化に成功すれば、定着率も高くなり、口コミなどでも高い評価が期待できるでしょう。
あらゆる場面で自動化ツールの必要性が高まる
現在はビジネスのさまざまなシーンで、自動化が進んでいます。これまで人間が手動で行ってきた作業をコンピューターが行うことにより、業務の効率化のみならず、コストも削減できます。
ワークフローやスケジュール管理、メール送信や在庫管理など、すでにビジネスのあらゆる場面で自動化アプリケーションは活用されており、今後もその流れは加速していくでしょう。
GraphQLの普及率が上がる
「GraphQL(グラフQL)」とは、「アプリケーション・プログラミング・インタフェース (API) 」向けに作られたクエリ言語と、それを実行するランタイムのことを指します。
GraphQLは、クライアントが必要とするデータを的確に取得するために作られた言語で、近年言語サポートやツールが改善されたため、普及率が上がっています。できることが増えた上、GraphQLでしかサポートされていない新しいAPIも数多く出てきたため、今後もこの言語を使ったアプリケーションは増えていくでしょう。
グローバルトラフィックの対処が重要
企業にとってアプリのユーザーが増えるのは好ましいことですが、多くのユーザーからアクセスが集中することにより、障害が起こる可能性もあります。それを回避するために、重要になるのが「グローバルトラフィック」です。
グローバルトラフィックとは、ネットワークの特定地点で移動する情報量を分散する手段のことを指します。具体的には、サーバーレス技術を利用してより多くのリクエストを受信できるようにしたり、メインのサイトで障害が生じた場合に、すみやかに代替サイトにリクエストを送信したりすることが挙げられます。
こうした措置を行うためには、負荷を監視するツールを組み込むなど、アプリ開発の段階からさまざまな設定を行う必要があります。そのためこれからアプリ開発に携わる技術者は、グローバルトラフィックの対処法も把握しておいた方がよいでしょう。
ヘッドレス・アーキテクチャーがより重要に
近年、ECサイト業界では「ヘッドレスコマース」という言葉をよく耳にします。ヘッドレスコマースとは、従来のECサイトのようにフロントシステムとバックオフィスシステムが一体になっておらず、2つが分離したアーキテクチャーを利用する方法です。
現在、スマートフォンやWebサイト、アプリやSNSなど、ユーザーと企業の接点は多様化しています。このような状況で従来の一体型でサイトを運用していると、変更や更新があった場合の作業が煩雑になるものです。ヘッドレス・アーキテクチャーであれば、より迅速で柔軟にサービスの拡張や変更が行えます。
ヘッドレス・アーキテクチャーを実装すれば、ユーザーはバーチャル上でもよりシームレスに顧客体験を楽しめます。今後ECサイトの多角化が進む中でも、ヘッドレス・アーキテクチャーの重要性はますます高まっていくと考えられます。
POS事業でのチャンス
POSとはPoint of Sale(販売時点)の略で、商品がいつ、どこで、何個売れたかといった販売情報や在庫状況などのデータを一元化し、管理するシステムのことです。
すでにPOSの仕組みは、バーコードスキャンが付いたレジによって飲食店やスーパーなどで広く導入されています。しかし、実店舗とネットショップを連携できるPOSアプリの開発はまだあまり行われていません。
ネットでしか販売を行っていなかったお店が実店舗をオープンしたり、人気のネットショップが期間限定で催事に出店したりするなど、最近はネットと実店舗をまたいだ商業活動が盛んです。その際、POSシステムは必要になってくるので、この事業には多くのビジネスチャンスが眠っていると言えるでしょう。
アプリ開発に関連したテクノロジーのトレンド
ここまではアプリ開発の内容面でのトレンドについて説明しました。次はテクノロジー面での傾向やトレンドを紹介していきましょう。
読み込み速度の向上
移動中などの隙間時間にアプリをチェックする現代人にとっては、読み込み速度は非常に重要です。いくら内容の良いアプリでも、開くまでに時間がかかってしまうなら、多少機能が劣っても読み込み速度の速いアプリを選びたくなるものです。
そうしたユーザーのニーズに合わせ、アプリ開発者の間では高速化のテクノロジーに重きを置く傾向が強くなっています。今後もアプリ開発では読み込み速度やタスクの処理速度など、あらゆるシーンでの高速化が進んでいくでしょう。
モーションUIデザインの装備
近年、Webサイトのデザイン分野では、「モーションデザイン」という言葉をよく聞きます。動きをデザインとして捉えるモーションデザインは、もともとはゲームでキャラクターの動きを表現する時などに使われていた概念です。
しかし、現在では一般的なWebサイトでも、UI(ユーザーインターフェイス)にモーションを用いることが増えました。たとえば、アニメーションなど動的な演出を加えることで、操作方法などのナビゲーションが容易になり、ユーザーは直感的に操作を理解できるようになります。
また、開発者側としても少ない工数で、ユーザーにより多くの情報を提供できるメリットがあります。最近はPC用のアプリだけでなく、iOSやAndroidのモバイルアプリ開発でもよくモーションが使われています。
データのセキュリティとプライバシーの重要性
スマートフォンやWebのアプリが普及するにつれ、課題となるのがセキュリティやプライバシーの問題です。モバイルアプリなどは場所を選ばず使えて便利ですが、どこからでも手軽にアクセスできるため、セキュリティ面では不安もあります。
そこでアプリ開発の企業では、マルウェアなどから個人情報やデータを守るため、SSL証明書、セキュリティチェック、 DDoS攻撃保護など、新しいセキュリティ対策の開発にも力を入れています。セキュリティはもはやトレンドと言うより、アプリ開発には必須のテクノロジーなのです。次々に新しい技術が登場しているため、その動向には常に目を向けておく必要があるでしょう。
アプリ開発におけるローコード化
また、最近のトレンドとして注目されているのが、ローコードでのアプリ開発です。ローコードとは、1からプログラミングを行うのではなく、できるだけソースコードを記述せずにアプリを作る開発手法です。
ローコードでアプリ開発を行えば、制作側の作業を効率化できるだけでなく、専門的な知識がなくてもアプリを開発できるため、技術的なハードルも低くなります。
経済産業省は現在、デジタル技術を活用して企業活動の変革を行う「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進しています。よりスピーディーにDXを進めるためにも、ローコードによるアプリ開発はますます重要になっていくでしょう。
Power Appsで自由なアプリ開発を
上記でもご紹介したように、DXを進めるにあたってローコードでのアプリ開発は、技術的な要になっていくと考えられます。そこでおすすめしたいのが、Microsoft社が提供するWebアプリ作成プラットフォーム「Power Apps」です。
Power Appsを使用すれば、プログラミングにくわしくない人でも最小限のコーディングでアプリ開発ができるため、DXをスムーズに進められます。また、業務効率の向上やコスト削減も期待できるでしょう。さらに、Windowsで知られるMicrosoft社のプラットフォームであるためセキュリティレベルも高く、安心してアプリ開発ができるのもメリットです。
まとめ
移り変わりが激しいアプリ開発のトレンドですが、最近はユーザーの使い勝手のよさや、作業の効率性に重きを置いた技術が好まれています。特にDXの推進が叫ばれる昨今では、ローコードによるアプリ開発がますます盛んになっていくでしょう。
Microsoft社のPower Appsを使えば、ローコードで顧客管理システムやデータ集計アプリなど、ビジネスに有益なさまざまなアプリを作成できます。DX化を迅速に進めたい企業様はぜひ導入をご検討ください。