Dynamics 365はRPAやOffice365をはじめ、様々なツール・システムとシームレスな連携が可能です。これら連携を適切に活用することで、業務効率が大幅に向上します。この記事では、具体的にどのような連携が可能かどうかや、連携のメリットについて解説するので参考にしてください。
Dynamics 365におけるERPとRPAの連携
Dynamics 365のERP機能とRPAは相性が良いです。ここではDynamics 365(ERP)・RPA連携の概要やメリットについて解説します。
Power AutomateのRPA機能との連携が可能
Dynamics 365ユーザーは、業務プロセスを自動化するRPAサービス「Power Automate」を無料で使えます。Dynamics 365とPower Automateと連携させることによって、日々行っている単純作業を自動化することが可能です。
自動化することにより、人為的ミスの発生を大幅に減らせる点もメリットといえます。Power AutomateはMicrosoft Azure上で稼働しており、その安定性の問題ありません。
ERPとRPAの役割の違い
ERPとはEnterprise Resource Planningを略した言葉で、日本語に直訳すると「企業資源計画」となります。この場合の企業資源とは「ヒト・モノ・カネ・情報」を指し、ERPの目的はこれらを一元的に管理し有効活用することです。
昨今では、販売管理・会計管理・生産管理・人事管理といった業務を一元的に行う「統合基幹業務システム」をERPと呼んでいます。ERPによって経営判断の際に必要となる、企業資源に関する状況をリアルタイムに把握できるようになるのもメリットです。
一方、RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、人間がコンピューター上で行う定型作業を自動化するソフトウェアを指します。RPAを採用することによって、人間は定型作業から解放され、よりコアな業務に集中可能です。また人間が提携作業をする際に起きるようなミスが、RPAなら発生しない点もメリットと言えます。
ERPとRPAを連携するメリット
ERPではシステムに集約された膨大な量の企業情報を、様々な定型作業によって管理するする必要があります。これらをRPAによって自動化することで、業務の効率化が可能です。定型作業の量が多いERPとそれを自動化できるRPAは、相性が良いと言えるでしょう。
またRPAを一元的に管理できる点も、ERPとRPAを組み合わせるメリットです。RPAは比較的シンプルに使えるため、各業務がばらばらのシステムで行われていると、RPAも乱立してしまう可能性があります。
誰が作ったかも不明なRPAが増えると、想定外のトラブルも起きかねません。ERPによってRPAを一元的に管理できるようになれば、そういった不安もなくなるわけです。
Dynamics 365とポータルサイトとの連携
Dynamics 365とポータルサイトを連携させることによって、業務効率の向上が可能です。ここでは連携の概要や具体的にどのような種類のポータルと連携できるか解説します。
ポータルサイトを活用する理由
たとえば受発注業務の量が多くなると、互いに確認すべき内容が煩雑となりメールだけで完結するのはほぼ不可能です。その点、ポータルサイトを活用すれば、発注側と受注側が同じ情報を参照しながらやりとりできるようになります。
またポータルサイトなら、相手に見せるべき情報と見せるべきでない情報を適切に管理可能です。ノンプログラミングで業務アプリを作れるツール「Power Apps」とDynamics 365を連携させることによって、ポータルサイトが作れます。
Dynamics 365で作成できるポータルサイトの種類
Dynamics 365では、以下にあげる種類のポータルサイトを作れます。
- コミュニティポータル
メンバー同士での対話を可能とするポータルです。たとえば顧客と対話できるスペースを準備しサポートを提供したり、顧客からフィードバックをもらったりします。 - 顧客セルフサービスポータル
顧客自身で技術情報・サポート情報を検索したりフィードバックを提供したりするポータルです。 - パートナーポータル
パートナー(取引業者・販売店等)と営業案件・顧客情報を共有し、共同作業を実現するためのポータルです。 - 従業員セルフサービス ポータル
従業員自身で業務上必要な情報を探したり、業務上の問題を解決するための支援を求めたりするためのポータルです。 - カスタマーポータル
顧客自身で商品の注文や注文履歴の確認ができるポータルです。
Dynamics 365とOffice 365との連携
Dynamics 365とOffice 365はシームレスな連携が可能です。ここでは連携によってどんなメリットがあるかや、具体的にどのような連携が可能か紹介します。
Dynamics 365とOffice 365を連携するメリット
Office 365を利用している企業は多く、Dynamics 365と連携させることによって様々なメリットがあげられます。Office365とDynamics 365は異なるシステムですが、連携機能が充実しておりシームレスな連携が可能です。単一のポータルから両ツールにログイン可能なので、わざわざ別々にログイン作業を行う必要もありません。
この両者を連携させることによる業務効率化の効果も大きいです。通常、CRMとグループウェアは別々のシステムなので、両方が業務で必要な場合は登録作業が二重になるなど非効率な面が少なくありません。その点、Dynamics365(CRM)とOffice365(グループウェア)を連携させれば、この問題を解決できるのです。
営業担当がクラウド上で両ツールを利用できることから、外出先でも作業できるようになります。たとえば外出先で営業日報を作成・提出できるため、そのためだけに職場へ戻る必要がありません。
Office 365との連携の具体例
Dynamics365とOffice 365の各ツールは、以下のような連携が可能です。
- Excel Online(Office 365)との連携
Dynamics 365に登録した営業案件や取引先の企業情報は、Excel Onlineを使い一括編集できます。 - OneNote(Office 365)との連携
Dynamics365上のデータに紐づけて、OneNoteのメモを作れます。たとえばDynamics365上に登録された営業案件のデータに対し、OneNoteで作った議事録を紐づけるのです。 - Exchange Online(Office 365)との連携
Dynamics365(CRM)に登録された顧客向けに、Exchange Onlineでメール一斉送信できます。またExchange Onlineの予定表に登録した顧客とのアポイント情報をCRMにも反映可能です。 - SharePoint Online(Office 365)との連携
SharePoint Onlineと連携して商談や取引先ごとに共有フォルダを準備し、ドキュメントのバージョン管理や他ユーザーとの共同編集が可能となります。またドキュメントのアクセス制限を設定することも可能です。 - Skype for Business Online(Office 365)との連携
Dynamics365(CRM)上に表示される社内メンバーのプレゼンスから、Skype for Business OnlineのWEB会議を簡単に開始できます。WEB会議でDynamics365の画面を共有することも可能です。
まとめ
Dynamics 365はPower AutomateのRPAやポータルサイト、Office365等とシームレスな連携が可能です。これらを連携させることによって、業務効率が向上するなど様々な効果を期待できます。連携させるための作業は難しくはないので、まずはどのような連携を実現できるか参照し、自社で活用できないか検討してみるとよいでしょう。