データ分析に取り組みたいと考えているものの、どのような手順や方法で実施すればよいのかわからないといった企業経営者や担当者の方もいるのではないでしょうか。データ分析は、やみくもに行っても望む成果は得られません。本記事では、データ分析がビジネスにもたらす価値や具体的な手順、おすすめのツールなどを解説します。
データ分析とは
データ分析とは、さまざまなチャネルから収集した情報を分析し、自社の目的達成に役立てることです。たとえば、落ちた売上を回復させたい、効果的なマーケティングを行いたいといった課題の解決にもデータ分析は役立ちます。
分析の対象となるデータは多々あります。顧客の氏名や住所、トータルでの売上、Webサイトの閲覧履歴、問い合わせ回数や内容などが代表的です。これら多種多様な情報を、アンケートや会員登録、管理システムのログなどから取得・収集し、分析を行いビジネスに活用します。
データ分析がビジネスにもたらす価値
データ分析で得られる価値としては、まず迅速で客観的な意思決定につながるといえます。分析で導き出された結果は、一定の法則や根拠に基づくものです。そのため、勘や経験などに頼ることのない、的確かつスピーディーな意思決定が可能です。
また、正確な現状把握も行えます。自社がどのような状況なのかが把握できないと、課題を感じていても解決できません。データ分析を行えば、自社の状況を正確に把握し、適切な判断を行えます。さらに、データに基づく確度の高い予測が可能となり、効果的なマーケティングやプロモーションも展開できます。
ビジネスチャンスの発見につながるのもメリットです。分析で得た客観的な事実に気づくことができ、そこから新たなビジネスチャンスが見つかります。たとえば、「雨天の火曜日は特定の商品が女性によく売れる」という分析結果が得られれば、雨の火曜日にその商品を多めに陳列する、女性を対象としたセールを行う、といった施策を行えます。
データ分析を行う5つの手順
データ分析はやみくもに進めても成果につながりません。最大限の効果を得るため、以下の手順に沿って進めてみましょう。
1.現状の課題把握と分析目的の設定
まずは何のためにデータ分析を行うのか、目的を明確にしましょう。達成したい目的によって、扱うべきデータや分析の手法などが異なるためです。自社が抱えている課題を把握し、最終的にどのような情報を得たいのか、何を達成したいのかをはっきりさせましょう。
2.仮説を洗い出し
次のステップは仮説の洗い出しです。たとえば、外壁塗装工事を行う工務店の売上が、ある日を境に突然低下したとしましょう。この場合、考えられる仮説としては「梅雨に入った」「最近チラシのデザインを変えた」「看板職人がいなくなった」などが挙げられます。
このように、考えられる仮説を洗い出してから分析を行い、仮説が正しいのかどうかを判断していきます。洗い出した仮説の数が多い場合には、優先順位をつけて分析を進めましょう。たくさんの仮説を順番に分析するのは非効率です。
3.データの収集・整理
仮説を洗い出して優先順位もつけたら、必要なデータを収集しましょう。先述した工務店の例で、梅雨に入ったことが原因で売上が落ちているとの仮説を立てたのなら、過去の梅雨時期における売上や見積もり依頼数、工事件数などを集めます。
データを収集する際は、不要なものが混在しないよう注意が必要です。関係のない不要なデータが混じっていると、分析に余計な時間がかかるばかりか、望む結果を得られない可能性があります。なお、真に必要なデータのみを抽出し、分析しやすいよう加工する作業を「データクレンジング」と呼びます。
4.データ分析
収集と整理をしたデータをもとに分析を行います。分析の手法には、3つの指標を用いて優良顧客を抽出する「RFM分析」や顧客を10のグループに分ける「デシル分析」、顧客の行動予測に役立つ「CTB分析」など多々あります。
分析手法はいくつもあり、それぞれできること、導き出せるものが異なります。そのため、目的に合わせた分析手法を選ぶことが大切です。
なお、本格的なデータ分析にはBIツールの利用がおすすめです。多岐にわたるデータを一箇所に集約でき、さまざまな手法を用いた分析を行えます。分析結果をグラフや表で視覚化できるため、現状把握と今後とるべき行動も理解できます。
5.分析結果の活用と改善
データ分析は、あくまで課題の解決や目的達成のための手段です。データ分析が目的になっていては本末転倒なので、得た結果をきちんとビジネスに活かしましょう。
データ分析で問題が解決すればよいのですが、うまくいかないこともあります。たとえば、仮説が誤っていると、分析結果を活用しても課題の解決につながらないでしょう。このような場合には、再度仮説立てから取り組み、改善したのちに検証が必要です。データ分析を活用するためには、分析結果から複数の施策を計画し、その効果を検証して再度分析に活かすといった継続的なサイクルが求められます。
データ分析に使われる代表的なツール
データ分析はアナログな手法でも可能ですが、効率的とはいえません。効率的にデータ分析を行うのなら、ツールを利用しましょう。以下では、データ分析に使われる代表的なツールをピックアップしました。
Excel
Excelには分析ツールが実装されており、集計したデータの特性把握が可能です。また、アンケート分析の基本ともいわれる、クロス集計もExcelで行えます。
Excelは、表計算ソフトとしてあらゆる企業が導入しているため、従業員が操作に悩まず使用できることがメリットです。ただ、さまざまな形式の膨大なデータを扱うには適していないため注意しましょう。
BIツール
BIツールとは、組織が保有するさまざまなデータを集約し、分析や可視化を行えるツールです。CRMやSFAなど、既存システムと連携してデータの収集・分析を行えるのが特徴です。
BIツールを用いれば、さまざまな手法を用いて膨大なデータをスピーディーに分析できます。アナログな手法とは比べものにならないほど速やかに分析を行えるため、迅速な意思決定に役立ちます。
また、分析結果を表やグラフで可視化できるため、現状をひと目で把握できるのもメリットです。ほかにも、データの分析と活用に役立つさまざまな機能が実装されているため、本格的なデータ分析に欠かせないツールといっても過言ではありません。
AI(機械学習)
近年では、AIを用いたデータ分析を活用する企業も増えています。たとえば、あらゆるデータから有益な情報を掘り起こす、データマイニングにAIが活用されています。AIを用いたデータマイニングは、より精度の高い未来予測を可能とし、目に見えにくいデータの関連性も把握できます。
AIを用いたデータ分析は、AIアルゴリズムで結果を導き出します。機械的な分析ゆえに勘や経験が入り込む余地はなく、より正確な結果を得られます。
データ分析を行う際の注意点
データ分析を行うにあたり、結果の数値のみに注目するのはリスキーです。たとえば、特定商品の月間売上高が100万円だった場合、多くの顧客が購入した、少数の人が大量購入したなど、いろいろなケースが考えられます。数値だけに注目してしまうと、このような事実を見逃してしまうおそれがあります。
また、分析した結果に主観が入り込んでしまうと、ビジネスへの活用は困難です。主観は排除し、あくまで客観的にデータを扱いましょう。
PDCAサイクルを回し続け、分析手法をブラッシュアップすることも大切です。最初は精度の高い分析ができなくても、PDCAを回し改善を続けることで、高精度な分析を実現できます。
まとめ
データ分析により迅速な意思決定を行えるだけでなく、正確な未来予想も可能です。正しい手順で分析を行い、マーケティングやプロモーションに活かしましょう。
データの収集や分析にツールを用いるのなら、「Microsoft Power BI」がおすすめです。データの収集から分析、可視化まで一貫して行えるオールインワンツールであり、300以上のカスタムヴィジュアルを用いてさまざまなデータの表現が可能です。AIによる高度な分析も行えるため、高精度なデータをビジネスに活かすことができるでしょう。