数年前のクラウドサービスに対するイメージと言えば、「便利ではあるが、柔軟性やセキュリティ性に問題がある」というのが一般的でした。しかし、現在ではマイナスイメージが払拭され、多くの企業がシステム導入時にクラウドサービスを優先的に検討します。
Microsoftが提供するOffice 365も、そんな数あるクラウドサービスの中でも、現在注目されているサービスです。
Office 365は従来、ライセンス版として提供されてきたOffice製品をサブスクリプション版で提供し、Exchange OnlineやSharePoint Onlineなど企業にとってお馴染みのサーバ製品をオンラインで提供しています。
既存のオンプレミス環境からOffice 365に移行するメリットは多くありますが、既存環境から脱却できない企業も少なくありません。Office 365移行にかかるコスト、現在あるライセンスが無駄になるのではないか、あるいはクラウドサービス自体をまだ信頼していないという理由が多いのではないかと思います。
本記事では、Office 365移行に対するマイナスイメージを払拭するために、ライセンス版からOffice 365へ移行するメリットを紹介していきます。
買取ライセンス、EA/OPENライセンスにメリットはあるのか?
Office 365のメリットを紹介する前に、既存環境として利用されていることの多い買取ライセンスと、EA(エンタープライズアグリーメント)/OPENライセンスのメリットについて確認していきたいと思います。
買取ライセンスとはいわゆる「ボリュームライセンス」のことで、一定数以上のOfficeライセンスを購入する際に、ボリュームディスカウントが提供されたり、様々なOffice導入プログラムを追加することができるライセンス形態です。
メリットと言えばやはり「ライセンスコストの削減」でしょう。通常なら1ライセンスあたり6万円以上するOfficeを、ボリュームディスカウントによって1万円程度削減する事も可能です(購入するライセンス数によって変動)。
また、同一バージョンのOfficeを一括で全社適用できるという点も、メリットに含めておきます。
では導入後の運用に関してはどうでしょう?ボリュームライセンスの場合、基本的には自社独自にライセンス管理を行うことになりますが、組織体系や企業規模が変化していくごとに、管理が複雑になってしまうという問題が少なくありません。
例えば企業規模が拡大すれば、その分新たなライセンスが必要になります。が、その際に従来と異なったバージョンを導入するケースが大半です。すると複合的に異なるバージョンが存在することになり、ライセンス管理は一気に複雑なものとなります。
さらに、Office製品は3~4年という数年周期で新たなバージョンがリリースされているので、互換性の問題もあります。特に印刷業界など、常に最新バージョンを維持しなければならない企業にとっては、都度ライセンスを購入するのは大きな負担だったのではないでしょうか。
つまり、以前に比べて「ボリュームライセンスを利用するメリットが縮小している」と考えていいでしょう。
その点3年契約でライセンスを購入するEAライセンスは、最新バージョンがリリースされた際にアップグレードできるというメリットがあります。しかし、結局のところ定期的なコストが発生し、ライセンス管理の複雑さは変わらないという特徴があるのです。
Office 365へ移行するメリットについて
必ずしもボリュームライセンスやEAライセンスのメリットが少ないというわけではありません。企業の環境によっては、むしろオンプレミスでOffice環境を整える方がメリットが多いケースもあります。ただ、そうしたケースが珍しくなっているのも事実です。
では、既存のライセンス環境からOffice 365へ移行することでどのようなメリットがあるのでしょうか?
従来問題視されていたライセンス管理が楽になる
Office 365はクラウドサービスです。従って、管理センターでサブスクリプション管理を一括で行うことができます。これは、従来あったライセンス管理の問題を一気に解決してくれる機能です。異なるバージョンが複合的に存在していたとしても、管理センターから同一ポリシーを適用することもでき、管理者の負担を大幅に軽減してくれるでしょう。
クラウドベースだから使用するデバイスを選ばない
クラウドベースで提供されているOffice 365は、利用するデバイスや場所を選びません。職場ではないインターネット環境から接続しても、デスクとは違ったデバイスでアクセスしたとしても、同一アカウントを使用することができるので効率的に時間を使うことができます。
Officeインストール台数が圧倒的に多い
ボリュームライセンスのOfficeインストール台数がPC2台までなのに対し、Office 365では最大5台のPCにOfficeをインストールすることができます。メインで使用しているデバイスにはもちろん、社外持ち出し用のデバイスにインストールすることも、BYOD促進のために私用デバイスにOfficeをインストールすることも可能です。
また、PCインストールとは別に、最大5台のモバイルデバイスにモバイル専用Officeをインストールすることもできます。
セキュリティ性を高められる
近年サイバー攻撃の深刻性が増し、自社のセキュリティ性を高めようと奮起している企業も多いでしょう。しかし自社独自にセキュリティ性を高めることは難しく、リスクをカバーしきれていないケースも少なくありません。
特に、セキュリティ技術者の確保が難しい企業では、セキュリティ対策自体半ばあきらめているのではないでしょうか。
Office 365は、Microsoftが運営しているデータセンターで管理されているので、堅牢なセキュリティ性を維持しています。つまり、従来セキュリティ性が問題視されていたクラウドサービスも、実は利用することでセキュリティ性を高められることの方が多いのです。
ITコストの削減
Office 365にはOffice製品だけでなく、Exchange OnlineやSharePoint Onlineなど、馴染みのあるコミュニケーションツールも提供されています。そして、それらすべてがクラウドベースで提供されているので、IT管理者はシステム運用を行うことなく、Officeライセンスの管理や各アプリケーションのポリシー管理に集中することが可能です。
さらに、バージョンアップなども自動で行われるので、ITコストを大幅に削減することもできます。
Microsoft社製品と高い親和性
Office 365はWindows 10やSurfaceなど、Microsoft社製品との親和性が非常に高いため、合わせて利用することでさらに高い相乗効果を得ることができます。
まとめ
Microsoftの主力事業がOffice 365へ既に変換しているように、今や多くの企業がOffice 365への移行を目指しています。激しく変化するビジネス社会に対応するためにも、企業のOffice環境は変革の時を迎えているのかもしれません。
貴社でもこの機会に、Office 365導入をぜひご検討ください。