2018年下半期のリリースを予定しているOffice 2019は、Office 2016以来3年ぶりとなるMicrosoft Officeの最新バージョンです。すでにプレビュー版となる「Office 2019 Commercial Preview」が提供開始されており、試験的に導入している企業も多いでしょう。
今回お話するのは、このOffice 2019とOffice 365の関係についてです。
Office 2019とは?
改めてOffice 2019の特徴について整理します。これまで発表された情報をまとめると、Office 2019には次のような特徴があります。
- システム要件はWindows 10 SAC、Windows 10 Enterprise LTSC、Windows Server 2019
- クライアントアプリは「Click-to-Run」でのみ提供される
- メインストリームサポート5年間、延長サポート2年間
- インク機能が改善され筆圧設定や傾き感知がサポートされる
- Excelで新しい関数とグラフが追加される
- PowerPointでモーフィングやズームといった効果が利用できる
つまりOffice 2019がサポートしているOSはWindows 10かそれ以上のバージョンであり、Windows 8やWindows 7では使用できません。加えてMSIでのインストールをサポートしていなかったり、サポート期間がOffice 2016の終了次期(2025年10月14日)と一致しています。
もう一つの重要な特徴は、Office 2019は“永続ライセンス”として提供される点です。これがOffice 365とは大きく違うポイントになります。
永続ライセンスとサブスクリプションの違い
永続ライセンスで提供されるOffice 2019に対してOffice 365は“サブスクリプション”という形態で提供されています。それぞれの違いについてまとめてみました。
|
永続ライセンス |
サブスクリプション |
支払い |
一度きりの購入 |
継続的な契約 |
利用期限 |
永年 |
契約期間中 |
アップデート |
独自に対応 |
自動的に対応 |
機能 |
固定 |
継続的に追加 |
インストール台数 |
パソコン2台、モバイル2台 |
パソコン5台、スマートフォン5台、タブレット5台 |
価格帯/1ライセンス |
4万9,000円~6万6,900円 (Office 2016参照) |
540円~3,810円 (月額ベース) |
管理方法 |
管理サーバーから |
ブラウザ上の管理センターから |
提供アプリケーション |
Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNote、Access、Publisher |
永続ライセンスで提供するアプリケーションに加えてExchange Online、SharePoint Online、Skype for Businessなど多数 |
ライセンスの削減 |
できない |
できる |
こうして違いをまとめると、永続ライセンスとサブスクリプションにはかなり相違点がありますね。どちらの方が優位性が高いかは一概に言えないことであり、Microsoft Officeを使用する環境によって永続ライセンスとサブスクリプションのどちらが最適化が変わります。
Office 2019とOffice 365の違いで着目すべきポイント
既存のMicrosoft Office環境から、Office 2019に移行すべきかOffice 365に移行すべきかで迷っている企業に向けて着目すべきポイントをご紹介します。
まずは機能面について。Office 2019はMicrosoft Office の時期バージョンなので、当然ながらOffice 2016から様々な機能が強化されています。それが先にご紹介したペン機能の強化や関数やグラフの追加なのです。ただしここで注意が必要なのは、Office 365にはすでにそれらの機能が実装されているという点です。
Office 365からインストールできるMicrosoft Officeは現時点で最新のOffice 2016です。ただし永続ライセンス型のOffice 2016と違う点は、これまで多数の機能が追加されてきたことです。これはサブスクリプションの特徴であり、永続ライセンスと違って継続的に機能が追加されるというメリットがあります。従って、Office 2019にて新しく実装される機能のほとんどは、Office 365からインストールできるOffice 2016にすでに実装されているのです。
そのためOffice 365を契約すればOffice 2019のリリースを待たずとも、Office 2019とほとんど同じ環境をすぐにでも利用できます。
加えて、Office 365を契約していればOffice 2019がリリースした際には追加費用なしでアップグレードが可能です。実装されている機能は同じでも、インターフェースに変更が加えられる可能性もあるため、Office 2019に移行したいというニーズはあるでしょう。そうした際でも、Office 365を契約していればスムーズにOffice 2019へ移行できます。
次に価格面について比較してみましょう。最初にOffice 365プランごとの価格をご紹介します。
プラン |
価格(1ユーザーあたりの月額料金) |
Office 365 Business Essentials |
540円 |
Office 365 Business |
900円 |
1,360円 |
|
Office 365 ProPlus |
1,310円 |
Office 365 Enterprise E1 |
870円 |
Office 365 Enterprise E3 |
2,180円 |
Office 365 Enterprise E5 |
3,810円 |
この中でOfficeアプリケーションのインストールをサポートしているのはOffice 365 Business、Office 365 Business Premium、Office 365 ProPlus、Office 365 Enterprise E3、Office 365 Enterprise E5です。
たとえばOffice 365 Business Premiumの場合、年間でかかる費用は1万6,320円です。対してOffice 2019では1ライセンスあたり5万円弱の費用がかかると予測できます。つまりOffice 365 Business Premiumを3年間契約すると、Office 2019のライセンス費用に相当するという計算です。
3年という期間があればOffice 2019の次期バージョンがリリースされる可能性が高いですし、Office 365なら新しい機能が次々と追加されます。そのため感覚的にはOffice 365を利用する方がお得と感じる方が多いでしょう。実際に毎回新しいバージョンに移行することを考えても、Office 365を利用する方がお得です。
まとめ
Office 2019とOffice 365、どちらに移行すべきかは企業の環境によって異なります。ただし、Office 365へ移行する方が利便性が高いという環境が多いのではないでしょうか?Office 2019のリリースも着々と近づいていますので、早期段階で検討を進めて自社にとって最適なMicrosoft Office環境を築いていきましょう。