1990年代から2000年の初めにかけて、Notesを導入してきた企業の多くは、社内メールの利用を中心としていました。しかし、2007年にスマートフォンが登場し、タブレット端末やモバイル性能に優れたノートPCなどが普及してくると、ビジネスにおけるコミュニケーションのあり方が変化してきました。
現在では、社内や社外といった場所にとらわれることなく、いつでもどこからでもメールやチャットにSNSなど、的確かつ迅速に意志を疎通できるコミュニケーションが求められています。そうした背景から、Microsoft 365によって提供されるMicrosoft Teamsなど、コミュニケーションの活性化につながるツールへの移行を決断する企業が増えています。
複数のツールを異なる部署間で利用、コミュニケーションロスが発生
NotesからMicrosoft 365へ移行した内田洋行では、メールに関して大きな課題を抱えていました。かつて同社では、社内のメールはNotesを利用し、外部とのやり取りはインターネットの標準プロトコルであるSMTPを利用していました。そのため、社内にいる人たちは、NotesとSMTPという二つのメールを確認しなければならず、煩雑な業務となっていました。
こうした課題を解決するために、同社では2010年にMicrosoft 365の前身であるBPOSを導入しました。BPOSに移行したことで、スマートフォンからもメールをチェックできるようになり、現場での生産性は向上しました。また、クラウドサービスを選択したことにより、PCやスマートデバイスとの接続の容易性や機能の拡張性というものを手軽に手に入れられるようになりました。
さらに、24時間365日の利用が実現し、管理するハードウェアがなくなったことで、システムの運用工数も減りました。それからOffice 365へと発展し、5年半以上の利用を継続してきました。その間に、メールだけではなくインスタントメッセージ(IM)やSkypeによるビデオ会議の活用などを推進してきたのです。
IMに関しては、年間で54,000回ほどの利用があり、400名の約2割が頻繁に使っている状況です。2010年から現在のMicrosoft 365につながるクラウドサービスを選択したことで、同社ではシステム上で多様なスタンスや価値観のものが同居できるインフラを手に入れて、組織の活性化に効果を発揮していると評価しています。
メールをきっかけとしたMicrosoft 365移行のメリット
内田洋行のように、7年以上も前からビジネスにおけるコミュニケーション基盤の重要性に注目し、NotesからMicrosoft 365へ移行した企業は、それほど多くはありません。
未だに、外部とのメールはSMTPを利用しているものの、社内の連絡や通達にNotesメールを使っている事例もあります。こうしたダブルスタンダードに苦慮している企業では、Notesのデータベースやワークフローなどを移行する前に、先ずはメールをきっかけとしてMicrosoft 365へ移行する取り組みが効果的です。
Microsoft 365によるコミュニケーション基盤の発展は、メールだけではない新たなビジネスの生産性や創造性を生み出します。その鍵を握るツールが、Microsoft Teamsです。
Microsoft Teamsは、Microsoft 365でチームワークを実現するビジネス情報の中継基地(ハブ)となるコミュニケーション基盤です。Windowsに限らず、Mac OS XやLinuxなどのWebブラウザからアクセスできるだけではなく、iOSやAndroid向けのアプリからも利用できます。デバイスを問わないチャットベースのワークスペースを提供することで、チームでのコラボレーションを効率化します。
スマートフォンやタブレットの普及がビジネスのコミュニケーションを変革する
ビジネスにおける意思決定の速度が求められている現在にあって、これまでITを活用したコミュニケーションの主流となっていた電子メールが、意思疎通の踊り場を迎えています。
その理由は、スマートフォンの普及によって、心理的なハードルが低く、リアルタイムでコミュニケーションできるチャット(会話)に代表されるSNS(ソーシャルネットワークサービス)の利用が広がっているからです。
米国での調査によれば、若い世代ほどメールによるコミュニケーションの心理的なハードルが高く、SNSの掲示板をチャットのように使う文化が普及しています。日本でも、若い世代を中心にSkypeにLINEやTwitterにメッセンジャーなどのチャットツールが、広く利用されています。メッセージのやり取りのハードルが低く、メールよりも手軽でリアルタイムでの会話が楽しめるチャットの便利さは、プライベートだけではなくビジネスにも浸透し始めています。
世代を超えて各自が使い慣れているデバイスやツールで、メールよりもリアルタイムで効率よく、そして安全に利用できる次世代のビジネス向けチャットツールが求められています。その需要に、チャット以上の効率的なコミュニケーションを提供する新たなビジネス向けSNSツールが、Microsoft Teamsです。
ビジネス向けSNSツールとなるMicrosoft Teams
株式会社ミマキエンジニアリングは、国内外に分散された場所で働く社員をMicrosoft Teamsで結び、現場内外でのリアルタイムな業務連絡や気軽なコミュニケーションを実現しました。
同社では「従来のメールや電話といったコミュニケーションツールと違って、気軽に手軽に、そしてスピーディーに情報共有ができています。メールの場合、一度送信してしまうと取り消しが難しいが、Microsoft Teamsは、送信後でも編集や削除ができるので、あまり構えず気軽にコミュニケーションをとることができます。メールよりも圧倒的に早いレスポンスを得ることができます」と評価しています。
Microsoft Teamsは、Microsoft 365で提供される共同作業に最適なユニバーサルツールキットを円滑に結ぶコミュニケーションのハブとして機能します。
Microsoft 365では、電子メールや予定表のOutlookをはじめとして、イントラネットやコンテンツ管理のSharePointに、組織をつなぐYammer、そして共同作成にも対応したOfficeアプリなど、複数の部門や部署が連携するプロジェクトなどの共同作業をサポートするオンラインでのツールキットを数多く提供しています。
これらのツールキットを柔軟に組み合わせて、一つのプロジェクトを遂行していくために、Microsoft Teamsがチームワークをサポートする情報の中継役を担います。
NotesからMicrosoft 365への移行を推進していくことは、メールの利便性を高めるだけではなく、Microsoft Teamsという新しいコミュニケーション基盤の構築にもつながるのです。