近年、政府推進のもと取り組みがなされている「働き方改革」の基盤には、組織全体の円滑なコミュニケーションが欠かせません。リモートワークなど従来にないワークスタイルを取入れ、かつ生産性を低下させないためにも絶対的に必要なものです。
その基盤の中心になるのがグループウェアです。メールやファイル共有、オンライン会議やチャットツールなど、複数のコミュニケーションツールを提供することで組織の円滑な情報共有を根底から支えます。
今回ご紹介するのは、そんなグループウェアの比較決定版です。国内でよく採用されている製品を中心に、その性能を比較していきます。自社環境にとって最適なグループウェアを選ぶために、ぜひ参考にしてください。
グループウェアのメリット
製品比較に入る前に、グループウェアを導入することでどんなメリットがあるのかをご説明します。
先述の通り、グループウェアとは複数のコミュニケーションツールによって組織の情報共有力を高めるためのITツールです。大まかにクラウド型とオンプレミス型に分類され、前者はインターネット経由で利用するサービス、後者は社内システムとして導入するものになります。現在市場を席巻しているのがクラウド型です。
クラウド型には、インターネット接続環境とサービスを利用するためのデバイスさえあれば導入できるという身軽さがあります。システム運用は不要で、費用は月額コストとして発生するので、負担が少ないというのも大きなメリットでしょう。そもそもグループウェアとクラウドは非常に相性が良いので、中小企業や大企業を問わずグループウェアのニーズはクラウド型に集中しています。
グループウェアで得られるメリットは多数あります。まず、情報共有が円滑になることで生産性が向上します。たとえばプレゼン資料などの承認ワークフローを回す際に、承認者が不在で業務が滞るということは度々発生します。グループウェアのワークフロー機能を活用すれば、電子化されたワークフローを回すことができるため、承認者が不在でも業務がスムーズに進行します。
この他様々な機能によって、組織の情報共有が円滑になり生産性が向上するでしょう。もっと直接的なメリットでいえば経費削減です。たとえば月に数回、グループ会社や顧客との会議のために出張する社員がいるとします。そのための交通費や宿泊代などはばかにならないでしょう。そんな際にグループウェアのオンライン会議機能を活用すれば、遠隔地での会議が可能なため、交通費や宿泊代などが削減されます。
先方にとっても来客対応や会議準備に時間を取られることがないため、双方にとってメリットがあるでしょう。
このように、グループウェアのメリットは多岐にわたります。ただし注意していただきたいのが、欲張りにすべてのメリットを得ようとする、失敗する可能性が高いということです。多様なメリットを持つグループウェアも、特定の目的を持って導入しなければプロジェクトとしての指針がブレてしまうため、失敗に陥ります。まずは優先的に解決すべき課題解決から取り組み、徐々にグループウェアの効果を拡大していくというのが導入のセオリーです。
グループウェア比較!自社環境にとっておすすめは?
それでは、今回の主題となるグループウェア比較に入ります。国内でよく採用される4製品の機能面と価格面に分けて比較し、おすすめの環境についてもご紹介します。
Office 365 / Microsoft
ビジネスツールの定番、Microsoft社のクラウド型グループウェアです。最大の特徴は、グループウェアと同時にOfficeライセンスを提供していること。Office 365ならコミュニケーションツールとExcelやPowerPointなど、最新の快適なOffice環境を手にできます。
グループウェア領域ではサーバ製品としてお馴染みのExchange(メール)やSharePoint(ファイル共有、サイト作成)、Skype for Businessをオンライン版として提供しており、サーバ製品と比べても機能の遜色はありません。
現在、世界で最も利用されているグループウェアであり、ビジネスに必要なすべてが詰まっています。
≪価格≫
Office 365では導入する規模や目的に合わせて7つのプランを用意しています。
- ユーザー数300名までのプラン
- Business Essentials:540円
- Business:500円
- Business Premium:1,360円
ユーザー数無制限のプラン
- ProPlus:1,310円
- Enterprise E1:870円
- Enterprise E3:2,180円
- Enterprise E5:3,810円
≪おすすめする企業≫
- グループウェアと同時にOfficeライセンスを導入したい
- Microsoft社のサーバ製品を使っている
- ビジネスツールとして使い慣れたインターフェースを希望する
- 国内データセンターの製品を使用したい
- Officeライセンスの買い替え時期だ
G Suite / Google
G Suiteは検索エンジン大手のGoogle社が提供するグループウェアです。以前はGoogle Apps for Workという呼称でサービスを展開していました。特徴は、無料サービスとしてお馴染みのGmailやハングアウトをビジネス向けとして利用できることです。その点でいえば、多くのユーザーにとって使い慣れたインターフェースかもしれません。
オンライン版のOfficeアプリケーションとしてドキュメントやスプレッドシートなどを提供していますが、Microsoft Officeはありません。
≪価格≫
- ベーシック:500円
- ビジネス:1,200円
- エンタープライズ:3,000円
≪おすすめの企業≫
- プライベートでGoogleサービスを使用するユーザーが多い
- 海外データセンターの製品を使用したい
サイボウズ Office / サイボウズ
国産グループウェアとして高いシェアを持つ製品です。国内市場でもいち早くクラウド型グループウェアを提供した製品であり、日本の商習慣に合わせた機能が特徴です。ただし、ストレージ容量が5GBであり、Office 365の1TBとG Suiteの30GBと比べると、心もとない少なさです。
WEB会議とOfficeアプリケーションを提供していないという点も、他製品と比べて評価が下がるポイントかもしれません。
もっと見る:Web会議
≪価格≫
- スタンダード:490円
- ビジネス:783円
≪おすすめする企業≫
国産グループウェアを使用したい
desknets NEO(ネオジャパン)
クラウド型とオンプレミス型、2通りのグループウェアを提供している製品です。どちらも機能面ではほとんど相違ないので、ニーズに合わせた導入ができます。ただし、機能面に少々乏しいこと、1ユーザーあたりのストレージ容量が1GBなので、追加料金が発生することが多く実際のコストは基本料金以上になります。
≪価格≫
- クラウド型:400円
- オンプレミス型(5~300名):3万9,800円~99万8,000円+年間サポート費用
- オンプレミス型(300名以上):41万円~1,300万円+年間サポート費用
≪おすすめする企業≫
- 国産グループウェアを使用したい
- オンプレミス型で運用したい
明確な導入目的から、最適なグループウェア選択を
グループウェアは製品選びが非常に肝心です。一見同じように見える製品も、それぞれ得手不得手が異なるため、環境に合わせて導入できないと失敗の原因になります。皆さんは、グループウェア導入に対してどのような目的をお持ちでしょうか?明確な導入目的を持ち、正しいグループウェアせんたくを