近年、さまざまな業界でデジタル技術の活用による経営改革「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の実現が重要な経営課題となっています。そして、DXを推進する上で欠かせない要素のひとつが「デジタルワークプレイス」の実現です。本記事では、デジタルワークプレイスの概要やメリット、今後の課題などについて詳しく解説します。
デジタルワークプレイスの意味
デジタルワークプレイス(DWP)とは、いつどこにいても同じ環境で快適に業務ができるデジタルな仕事空間を指します。デジタルワークプレイスの本質は、単に労働環境にデジタル技術を取り入れることではありません。クラウド型のITインフラやプラットフォーム、グループウェアやエンドポイントセキュリティなどを駆使し、労働環境そのものをデジタル空間に構築するという考え方がデジタルワークプレイスの本質です。
デジタルワークプレイスの重要性と必要な理由
デジタル空間に労働環境を構築するデジタルワークプレイスが注目を集めている背景にあるのは「テレワークの普及」です。2019年4月に施行された働き方改革関連法や、2020年3月にパンデミック認定された新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、テレワーク制度を導入する企業が増加傾向にあります。特に新型コロナウイルスの影響は大きく、緊急事態宣言が発令された2020年4月にテレワークの実施率が大幅に上昇しています。
生産性の高いテレワーク環境を構築するためには、ファイル共有基盤やアプリケーションなどをクラウド上に集約し、デジタル空間のみで業務が完結する労働環境を整備しなくてはなりません。そこで大きな役割を担うのが、労働環境そのものをデジタル空間に構築するデジタルワークプレイスです。時間や場所を問わず社内のリソースにアクセスできる仕組みを整備することで、効率的かつ生産的なテレワーク環境を構築できます。
また、デジタルワークプレイスが求められるもうひとつの理由が「労働人口の減少」です。日本国内の人口は2008年の1億2,808万人をピークに下降の一途を辿っており、総人口に占める高齢化率も先進諸国の中で最も高い水準となっています。このような社会的背景も相まって、さまざまな産業で人材不足が深刻化しているのが実情です。企業には労働環境の抜本的な改革が求められており、デジタル技術の活用で生産的な労働環境を構築するデジタルワークプレイスが必要とされています。
デジタルワークプレイスのメリット
デジタルワークプレイスを構築することで得られる主なメリットは以下の3つです。
従業員エクスペリエンス(経験価値)の向上
従業員エクスペリエンスとは、日本語としては「従業員の経験」を意味する言葉であり、企業で働くことによって得られる経験価値を表す概念です。デジタルワークプレイスの実現によって快適な労働環境を構築できれば、従業員の労働意欲や貢献意識の向上に寄与し、結果として組織全体の生産性向上につながります。また、時間や場所に縛られない働き方が実現することで、優秀な人材を確保できると同時に、育児や介護に携わる従業員の定着率や離職率の改善が期待できます。
働き方改革とDXの推進
先述したように、日本国内は少子高齢化とともに労働人口の減少が深刻化しており、この危機的状況を打破すべく政府も働き方改革関連法の施行やDXの推進など、さまざまな施策に取り組んでいます。デジタルワークプレイスの実現は、より効率的な労働環境を実現し、働き方改革の目指す「長時間労働の是正」や「柔軟かつ多様なワークスタイルの構築」に貢献します。そして、同時に「デジタル技術の活用によって市場における競争優位性を確立する」というDXの推進においても欠かせない取り組みといえるでしょう。
生産性とコストパフォーマンスの向上
これまでアナログな労働環境で実施・管理してきた業務をデジタル化することで、円滑な情報共有や迅速な部門間連携が可能になり、業務効率の改善と労働生産性の向上に寄与します。社内SNSやチャットツールなどの導入により、全社的なコミュニケーションの活発化につながる点も大きなメリットです。
デジタルワークプレイスの今後の課題
DXの実現を目指す上で欠かせないデジタルワークプレイスですが、まだまだ多くの課題や問題が存在しています。特に重要な課題となっているのが、直接的なコミュニケーションの希薄化とそれに伴う進捗管理の難しさ、そして情報セキュリティの脆弱性です。
コミュニケーションへの影響と業務の進捗把握
コミュニケーションツールの活用によって円滑なコミュニケーションを実現できる一方、直接的なやり取りが希薄化して人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。チャットツールでの文章によるコミュニケーションが主体になるため、意思疎通に齟齬が生じて業務や手続きなどに支障をきたす可能性も否定できません。対面であれば気軽に相談できるような内容でも、記録に残るツールへ入力しての相談は避けるというケースも多々あるでしょう。また、遠隔地からの勤務形態になるため、従業員の進捗管理や勤怠管理が困難になる点も大きな課題です。
セキュリティ対策の問題
デジタルワークプレイスを構築した場合、テレワークによる働き方が主体になると予測されます。テレワークは新しい時代に即した働き方として注目を集める一方で、PCやスマートフォンをオフィス外に持ち運ぶという性質上、デバイスの紛失・盗難などのリスクが懸念されます。常時インターネット環境に接続されているため、不正アクセスやマルウェアなどの脅威に常に晒されているともいえるでしょう。そのため、デジタルワークプレイスを実現するためには、高度なセキュリティソリューションによるセキュアなネットワーク環境を整備しなくてはなりません。
「moconavi」でデジタルワークプレイスのセキュリティ課題を解決
セキュアなテレワーク環境の構築を目指す企業におすすめしたいのが「moconavi」の導入です。「moconavi」はデバイスにデータが残らないアプリケーションであり、端末の紛失によるセキュリティリスクを最小限に抑えられます。デバイス自体を管理するのではなく、アプリケーションを通して業務環境にアクセスするため、従業員のプライバシーが保護されるという点も優れた特徴です。クラウド環境にもオンプレミス環境にも安全にアクセスできるため、強固なセキュリティを備えたテレワーク環境を構築できます。
まとめ
働き方改革や新型コロナウイルスの影響によって企業の在り方が大きく変わり、ワークスタイルにも変革が求められています。そのためには、最先端のデジタル技術を活用した労働環境の構築が不可欠です。デジタルワークプレイスはDXの実現を推進し、新しい時代に即したワークスタイルを確立する一助となるでしょう。