OEM版というのは「Original Equipment Manufacture」の略であり、いわゆるプリインストール版のことを指します。そしてこのOEM版のOfficeはAmazonやYahoo!オークションなどのネット販売で度々見かけることがありますね。
低価格で購入できることから導入を検討している方も少なくないと思いますが、注意してください。上記のようなネット販売で購入したOEM版はMicrosoftのライセンス違反にあたります。
今回はこのOEM版について、なぜ流通しているのか?なぜライセンス違反なのか?そしてOffice 365との違いについて紹介していきます。
OEM版はなぜライセンス違反?
OEM版はPC購入時に同梱されているOfficeパッケージ製品なので「ユーザーが使わないで売りたいって言ってるんだから別にいいのでは?」という考えを持つ方もいると思います。
しかしMicrosoftは“本製品のみの転売は禁止です。本製品は、本製品がインストールされていたパソコンでのみ使用できます。本製品のみをネットオークションなどで転売したり、他のパソコンで使用することはライセンス違反です。”とOEM版の転売や他のPCへのインストールを禁止しています。
これはOEM版製品にもしっかりと記載されているので、転売することも購入して利用することも立派なライセンス違反なのです。
ライセンス違反するとどうなる?
Microsoft Officeのライセンス違反に関して「バレっこない」と考えている方が多いように感じます。確かに、ライセンス違反で裁判になったなどのニュースも耳にしないので無理もないでしょう。
しかし過去にはMicrosoft Officeのライセンス違反で多額の賠償金を支払ったケースも実在するのです。
その事例が2009年北海道庁で起こったライセンス違反で、WordやExcelといった4,500本のソフトウェアライセンスを職員で使いまわしていたそうです。このライセンス違反はMicrosoft社の指摘により発覚したそうですが、北海道庁は4,500本分のライセンス費用にあたる1億4,000万円を支払うことで和解しています。
他に身近な例では「Microsoft Officeのライセンス違反が発覚してしまった」という内容が質問サイトに挙げられりしています。
こういったライセンス違反は組織規模が小さいほど死活問題になるので、絶対的に避けるべきでしょう。
OEM版はなぜ流通するのか?
OEM版の流通経路や個人でせどりを行っている人や、業者からオークションサイトに流通するものがほとんどです。理由は稼げるからというシンプルなものがほとんどでしょう。
まずOEM版Officeを同梱しているPCを購入し、その中からソフトウェアだけを抜き取ります。そしてPCは購入時の価格とほぼ同額で転売しOEM版Officeはパッケージ版Officeよりも低価格で転売するのです。
そうすることでOEM版Officeの転売価格がそのまま純利益になります。
明らかなライセンス違反ですね。しかもPCにインストールされているOfficeを抜き取ることもしないケースもあるので、購入したOEM版Officeが認証できず利用できないといったことも少なくありません。
そもそも利用できるかできないかの問題ではなく購入する側もライセンス違反になるので、このような形でのOEM版Officeの購入はやめましょう。
低コストでOfficeを導入したいのならOffice 365がおすすめ
Office 365というサービスを簡単に言うならば、月額利用料を支払うことで利用できるOfficeサービスです。「それじゃあコスト上がっちゃうんじゃないの?」と思われるでしょうが、実はそうでもありません。
以下の表は、ボリュームライセンス版のOffice Standard 2016とOffice 365 Business Premiumの1ライセンスあたりのコストを長期的に比較したものです。
こちらの比較表を参考にすると、3年1ヵ月目にOffice 365 Business PremiumのコストがOffice Standard 2016を上回ることがわかります。そこで「3年1ヵ月以上同バージョンのOfficeを利用し続ければお得」と考えがちですが、表面上のコストだけで判断できないのがOffice 365です。
Microsoft Officeは約3年周期で次期バージョンをリリースしている
Micrsoft Officeは「Office 2003 → Office 2007 → Office 2010 → Office 2013 → Office 2016」と約3年周期で次期バージョンをリリースし続けています。ちなみにOffice 2013とOffice 2016に至っては前バージョンのリリースから3年未満でリリースされているので、今後もこの傾向は続くでしょう。
従って、常に最新Officeを利用するような環境であれば、いつでも最新版のOfficeが利用できるOffice 365を導入した方が断然お得です。
Officeアプリケーション意外にも様々なサービスを提供
Office Standard 2016で提供されているのはWord・Excel・PowerPoint・Outlook・OneNote・Publisherのみです。
一方Office 365 Business Premiumでは上記のOfficeアプリケーションに加えビジネスメールのExchange Onlineや情報共有・チームサイト作成のSharePoint Onlineなど、あらゆるサービスを提供しています。
もしもOffice Standard 2016以外にExchange ServerやSharePoint Serverといったサーバ製品まで揃えたら、Office 365 Business Premiumのコストを悠々上回ることでしょう。
このように、トータル的に比較するとボリュームライセンスで導入するよりもOffice 365で導入する方が圧倒的に低コストなのです。
まとめ
低価格という理由で購入したくなる気持ちはわかりますが、OEM版Officeはライセンス違反となるので絶対に手を出さないよう注意しましょう。ライセンス違反のリスクを背負ってOfficeを利用するよりも、常に最新版のOfficeやその他のサービスまで利用できるOffice 365を導入した方が圧倒的にメリットは大きいのです。
ソフトウェアライセンス違反による賠償金請求事件は意外と多いので、十分気をつけてください。
Office 365の導入に興味を持った方はまず法人向けに提供されている6つのプランの特徴を把握しましょう。今回はOffice 365 Business Premiumを参考にボリュームライセンスと比較しましたが、Officeアプリケーションだけを提供しているプランや、反対にそれ以外のサービスを提供しているプランもあります。
異なるプランの組み合わせも可能なので、必ず自社ニーズに対応することができるでしょう。