FacebookやTwitter、最近ではInstagramなど国内でもSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)市場が大いに盛り上がっています。20代~30代の層はもちろんのこと、50代以上の方も積極的にSNSを活用するシーンが増えましたね。
これらのSNSは主にプライベートで利用するものですが、これとは別に「社内SNS」なるシステムを導入している企業が増加中です。簡単に言えばSNSのビジネス版であり、組織内のコミュニケーション活発化に利用されています。
「自社のコミュニケーションも社内SNSで活発化できないか?」とチェックしている方も多いのではないでしょうか?そしてこれと同時に、ほとんどの方が一つの疑問を持っているかと思います。
「グループウェアと社内SNSって何が違うの?」と。
確かに組織内のコミュニケーションを活発化する目的であれば、社内SNSでなくともグループウェアでいいじゃないかと考えるのも至極当然でしょう。しかし、実際グループウェアと社内SNSにはしっかりとした違いがあり、活用シーンを分けるのが適切な使い方なのです。
今回はグループウェアと社内SNSの気になる違いを紹介していきたいと思います。
グループウェアと社内SNS、機能の違い
一口に「コミュニケーションの活発化」と言っても、グループウェアと社内SNSではそもそも持ち合わせている機能が違います。まずは機能面での相違点から紹介していきましょう。
グループウェアにあって社内SNSにないもの
まずグループウェアにあって社内SNSない機能を一覧にしてみます。
- スケジュール
- ToDo
- メール
- 掲示板
- Web会議
- レポート
- ワークフロー
- プロジェクト管理
- Officeソフト
- アンケート
- 設備予約
- ポータルサイト
いかがでしょうか?これを見るだけで、いかにグループウェアと社内SNSに違いがあるのかが分かると思います。もちろん製品によっては一部提供していない機能や、逆に上記以外の機能を提供しているグループウェアもあります。
ですが最近では各製品で極端な機能差はないので、「グループウェアは社内SNSより12機能くらい多いんだな」と考えて頂ければ結構です。(機能の差の話であり、インターフェースや使い安さなどは各製品により大きく異なります。)
社内SNSにあったグループウェアにないもの
次に、社内SNSにあってグループウェアにないものとは何でしょうか?
- メッセージの投稿
- コミュニティ
グループウェアに対して、社内SNSのみが持つ機能は限られています。「なんだ、じゃあグル―プウェアを導入した方がいいじゃん」と思われるかもしれませんが、冒頭での言葉を思い出してください。
“グループウェアと社内SNSは活用シーンを分けるのが適切な使い方なのです”
2つのシステムをどう使い分けるかについては後述します。
グループウェア&社内SNS機能比較表
機能 |
グループウェア |
社内SNS |
---|---|---|
インスタントメッセージ |
○ |
○ |
プライベートメッセージ |
○ |
○ |
ファイル共有 |
○ |
○ |
ファイルプレビュー |
○ |
○ |
共同作業 |
○ |
○ |
全文検索 |
○ |
○ |
グループ管理 |
○ |
○ |
モバイル対応 |
○ |
○ |
スケジュール |
○ |
- |
ToDo |
○ |
- |
メール |
○ |
- |
掲示板 |
○ |
- |
Web会議 |
○ |
- |
レポート |
○ |
- |
ワークフロー |
○ |
- |
プロジェクト管理 |
○ |
- |
Officeソフト |
○ |
- |
アンケート |
○ |
- |
設備予約 |
○ |
- |
ポータルサイト |
○ |
- |
メッセージの投稿 |
- |
○ |
コミュニティ |
- |
○ |
ご覧の通りいくつかの機能はグループウェアと社内SNS両方で提供されています。しかし何度も言うように、グループウェアと社内SNSでは活用シーンを分けて使用することが大切なのです。
また、最近ではグループウェアに社内SNS機能を包括しているケースが多いので、二重にシステムを導入しないよう注意してください。
例えばMicrosfotが提供しているクラウド型グループウェア「Office 365」では、社内SNSである「Yammer」も同時に提供しています。「Yammer」はフォーチュン500(※1)の85%以上が利用している社内SNSであり、いかに社内SNSのニーズが高まっているかが分かりますね。
※1:フォーチュン500とは、米フォーチュン誌が選ぶ米国の年間総収入ランキング上位500企業。
グループウェアと社内SNS、性質の違い
グループウェアと社内SNSには機能だけでなく、コミュニケーションの性質にも違いあります。
“フォーマル”と“インフォーマル”
先に紹介した機能比較から見て、グループウェアはコミュニケーションの活発化だけでなく「組織全体の業務効率化」というメリットも享受することができます。これ故か、グループウェアではどちらかと言うと“フォーマルなコミュニケーション”が活発化する傾向にあるのです。
ですのでコミュニケーションの活発化と言うより「情報伝達・共有の迅速化」と言った方がしっくりくるかもしれませんね。
一方社内SNSでは部署間や役職の垣根を越えた“インフォーマルなコミュニケーション”を実現するメリットがあります。つまりFacebookやTwitterのように組織内の人間が思い思いのメッセージを投稿することで、そこに「いいね!」やコメントが集まり組織内のコミュニケーションが活発化していくのです。
ではなぜ、社内SNSによるコミュニケーションが求められているのか?
それは「部署間や役職を越えたナレッジ・情報の共有により、イノベーションを起こす」というニーズが世界的に高まっているからです。これまで部署ごとや役職ごとに閉鎖的だったコミュニケーションを解放することで、新たなアイディアや斬新な切り口を生みだそうという狙いがあります。
あるいはもっと単純に、組織内のコミュニケーションを活発化して働きやすい環境を構築したいというニーズもあるようです。
こうしたイノベーションや働きやすい環境を生むコミュニケーションは、グループウェアよりも社内SNSの方が作りやすいという性質があるのです。
社内SNSなら簡単にグループを作れる
グループウェアにも社内SNSにもグループ管理機能が備わっています。2つのグループ管理機能の大きな違いは、グループウェアはプロジェクトごとに、そして社内SNSはカテゴリーごとに設立することができるという点です。
例えば新たなプロジェクト発足に際しグループウェアでグループを作成するためには、メンバーや利用目的などを明確にした上で管理者に「グループ作成申請」をしなければなりません。
一方社内SNSではユーザーが自由にグループを作成することができ、参加も退出もユーザーの各々の自由です。この点からも社内SNSではインフォーマルなコミュニケーションを実現しています。
おまけ:社内SNS活用のコツ
最後に今後社内SNS導入を検討してる企業に向け、ちょっとした社内SNS活用のコツを紹介したいと思います。
上層部が積極的に利用するだけでは浸透しない?
50代~60代の方でもSNSを利用するようになった現代では、社内SNS導入に際し上層部の理解を得るのは難しくないと思います。むしろ案外ノリノリで活用してくれることも多いでしょう。
しかし「上層部が積極的に利用してくれるから一般社員にもすぐ浸透する」と決めつけてはいけません。始めは「上層部が利用しているから」という理由で活発化しているように見えても、恐らく半年もしない内に投稿数が減少していきます。
明確な目的と、承認欲求の刺激
上層部の理解があり積極的に活用してくれているにも関わらず社内SNSが活発化しない最大に理由は、「不明慮な目的」と「活発化させる仕組みがないこと」です。
まず社内SNSを導入する目的とは何でしょうか?コミュニケーションを活発化させたいという目的は当然ですが、もっと本質的な目的があるはずです。
それは「各拠点の情報共有を活発化して営業力の底上げをしたい」や、「社員の不満を吸い上げより働きやすい環境を作り、労働生産性を上げたい」などなど、企業により様々でしょう。こうった明確な目的をもとに社内SNSを運用しなければ、一度上手くいかなくなった運用を軌道修正するのが非常に難しくなります。明確な目的がなければPDCAを回すことすらできないです。
さらに社内SNSを活発化させる仕組みを作るために効果的なのは、社員の承認欲求を刺激することです。
例えばメッセージ投稿数やそれに対するコメントの数、「いいね!」の数、優秀な提案をしたケースなどを評価するために数値化します。そして最も評価の高かった社員を表彰するなど承認欲求を刺激することで社内SNSが自然と利用される仕組みを作り出すことができるのです。
今後社内SNS導入する予定がある企業では「明確な目的」と「承認欲求の刺激」という2つのポイントを意識し、運用体制を構築してみてください。
まとめ
いかがでしょうか?今回はグループウェアと社内SNSの違いについて紹介しましたが、思っていたよ「りも多くの相違点があったのではないでしょうか。そして2つのシステムの活用シーンについても具体的にイメージして頂けたのではないかと思います。
Microsoftが提供する社内SNS「Yammer」はフォーチュン500において85%以上の企業に導入されていると紹介しましたが、同時にクラウド型グループウェア「Office365」は77%以上の企業に導入されています。つまり多くの企業はグループウェアと社内SNSのすみ分けを行い、それぞれ異なるコミュニケーション基盤として運用しているのです。
このため「Office365」のように社内SNSを含むその他の機能を包括的に提供しているグループウェアを導入するのも一つの選択肢かと思います。
グループウェアと社内SNSの違いをしっかりと把握した上で適切な活用をし、自社のコミュニケーション基盤をより強力なものへと構築していきましょう。