企業の海外進出が増えるにつれ、企業の会計システムの統合ニーズが高まっています。しかし中には、「グローバル会計システム」の概要や効果について、深く理解できていない担当者の方も多いことでしょう。そこで本記事では、グローバル会計システムの概要やメリット、おすすめのシステムについてご紹介します。
グローバル会計システムとは
財務会計や債権・債務管理、管理会計などの機能を持ち、企業の経理業務を支える「会計システム」は、すべての企業で導入されている基幹システムのひとつでしょう。自社で独自に開発したり、ベンダーから購入して自社サーバーにインストールしたり、あるいはクラウド環境で利用したりするなど、その形態はさまざまです。
「グローバル会計システム」とは、グローバル展開する企業向けに設計された会計システムを指します。多言語・多通貨での会計を可能とし、データ収集の効率化により連結決算の早期化にも対応しやすくするなど、グローバル経営をよりスムーズに行うためのソリューションです。海外に進出する企業が増えるなか、グローバル会計システムのニーズも高まってきています。
グローバル会計システムが必要とされる背景
海外にも拠点を持つ企業で、言語が対応していないなどの理由から、本社と海外拠点で異なる会計システムを利用している場合、さまざまな課題が発生します。
たとえば、システムが異なるとデータの統合が難しくなり、決算早期化への対応の負担が大きくなります。また、会計基準やテンプレートなどの統一を図るときには、別々にシステムを設計する必要があります。シナジー創出やリスクの早期発見、戦略の見直しのためには、タイムリーな業績の把握なども必要でしょう。
さらに、業務の効率化や改善を図るには、現地の会計制度や業務の現状を把握・整備することが重要です。しかし実際は、言語・文化の違いやスタッフの引継ぎ不足などにより、時間がかかったりうまくいかなかったりすることが少なくありません。それにより、本社・現地スタッフ間での指針の共有や、マニュアル整備が難しいのが実情でしょう。
このように海外拠点を持つ企業の多くは、グローバル企業ならではの問題を抱えがちです。これらの問題を解決し、グローバル企業の経営統合を促進するために、グローバル会計システムの導入が求められているのです。
グローバル会計システム導入の効果やメリット
グローバル会計システムを導入することで、さまざまなメリットが得られます。
まず、グローバル会計システムは多言語・多通貨の処理が可能なため、本社と海外拠点で同一のシステムを使えます。そのため、会計業務における本社・海外拠点スタッフの意思疎通の難しさによる弊害が小さくなり、効率的な業務進行が実現します。また、会計処理を本社主導のもと行えるようになるのもメリットです。
さらに、拠点間で多言語・多通貨に対応した同一システムを活用できることから、海外拠点の経営状況を即時に把握・分析できるようになります。これによち、スムーズな連結決算やタイムラグのない効果的な意思決定を行えるでしょう。
グローバル会計システムのおすすめ一覧
グローバル会計システムは、日本国内および海外での実務において使いやすいシステムであるべきです。特に、複数拠点での会計を統合し、本社において海外拠点の業績をリアルタイムに確認できると、スムーズに業務を進められるでしょう。ここでは、それらの機能を備えた、おすすめのグローバル会計システムを6つご紹介します。
クラウド型国際会計サービス GLASIAOUS (グラシアス)
ビジネスエンジニアリング株式会社が提供するGLASIAOUS(グラシアス/グラシャス)は25の国、1,100社超の実績を持つ、多言語・多通貨対応のクラウド型国際会計&ERPサービスです。最短5日、月額29,800円からお手軽に利用可能です。対応地域は、日本はもとより中国、ASEAN諸国を中心に、インド、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカなど地域を問わずご利用いただけます。
また、GLASIAOUSは単なる会計システムではなく以下のような特徴があります。
- 多言語/多通貨に対応
- Microsoft Azureのセキュアなクラウドを基盤とし、世界中どこからでもアクセス
- 会計領域のみならず、受発注までをカバーしたERPパッケージ
- システムだけでは解決できない、国際会計のプロフェッショナルによるサービス/サポートを受けられる
勘定奉行クラウド Global Edition
「勘定奉行クラウド Global Edition」は、株式会社オービックによるクラウド会計システムです。クラウド環境のため、リアルタイムに業績の把握ができます。多言語・多通貨に対応しており、それぞれ自動翻訳・自動換算の機能を備えているのが特徴です。翻訳の手間が省けるほか、レポートを即時に作成することが可能です。
さらに、海外現地法人で必要な付加価値税(VAT/CST)や科目体系に対応した、国別標準マスタがあります。現地の導入支援・運用サポートのほか、記帳代行や現地レビューなどのサービスも提供しており、現地の人材不足にも柔軟に対応しています。
「Microsoft Azure」を採用しているため、災害などの緊急事態対策やセキュリティ対策、処理性能や操作性も世界トップレベルのものが期待できるでしょう。料金など製品に関する詳しい相談やカタログ請求は、専用フォームか電話で問い合わせられます。
戦略的会計ソリューション GroupVision
NECソリューションイノベータ株式会社の戦略的会計ソリューション「GroupVision」でも、グローバル企業向けのソリューションが提供されています。企業ごとのシステム導入の現状や実態を考慮したうえで、最適な導入パターンを提案してくれます。
導入パターンのひとつは、現地の既存システムとそのデータを継続して使用し、本社でのデータ統合・管理を支援するものです。会計データの質の向上により、業務効率の改善を図ります。
また、業務プロセスを改善する必要がある場合は、海外対応会計パッケージ・システムを現地に配備し、会計データを本社で収集・統合管理するパターンもあります。海外対応ERPパッケージ・システムを本社に配置し、海外からはインターネット経由で利用する方法では、海外のシステムリスクを低減できます。
料金などの問い合わせは、インターネット上のお問い合わせフォームから行えます。
グローバル会計システム GLOBE3
ソレキア株式会社が提供するグローバル会計システム「CLOBE3」は、多言語(日本語・英語・中国語・ベトナム語)と多通貨に対応した、Web利用可能な会計システムです。
海外拠点の財務データをリアルタイムに確認できるため、決算の早期化が見込めます。また、海外拠点で作成された財務レポートをワンクリックで日本語に変換できるのもポイントです。さらに、日本会計基準に準じて損益計算書・賃借対照表を作成できるため、評価が容易になります。
料金などの問い合わせは、電話やお問い合わせ総合窓口フォームから行えます。
SuperStream-NX
スーパーストリーム株式会社が提供する「SuperStream-NX」は、財務会計・人事給与業務の最適化を実現するためのソリューションです。クラウドサービスや、支払・経費精算業務における証憑のペーパーレス化、RPAやAI-OCRによる経理の定型業務自動化など、使いやすさを重視したシステム設計が行われています。
企業のバックオフィス業務の負担を軽減する機能として、海外拠点も想定に入れた、グループ全体での会計処理を円滑化するシステムが搭載されています。具体的には、言語や通貨など企業のグローバル化に合わせた経理処理を可能とし、現地の報告書にも対応できるような機能を実装しています。また、システム全体を横断的に検索・照会できるトレーサビリティ機能もあるため、監査のたびに海外拠点へ問い合わせる必要がありません。
インターネットの専用のフォームから、料金などの問い合わせや資料請求が可能です。
Biz∫(ビズインテグラル)
株式会社NTTデータ・ビズインテグラルが提供する「Biz∫(ビズインテグラル)」は、会計・販売・人事などをカバーしたクラウド対応ERP(統合基幹業務システム)パッケージです。財務会計・管理会計など複数の基幹業務や、経費精算・PJ原価管理などの周辺業務に標準対応しており、テンプレートも用意されています。また、APFやシステム連携管理などの開発・運用ツールも豊富です。
すべての機能を導入するのではなく、必要な業務モジュールとユーザー数を指定するライセンス形態を採用しています。そのため、現在の体制に合わせた最小単位で導入したあと、事業拡大・再編の状況を見てライセンスを追加する、という方法をとることも可能です。
なお、Biz∫の共通基盤である「Biz∫APF」は、マルチテナント・クラウド・多言語・多通貨に対応しているため、海外拠点での利用もできます。
料金などの詳細については、お問い合わせフォームからの問い合わせが必要です。
まとめ
企業の海外進出の増加に伴い、グローバル会計システムのニーズは高まっています。システムが不十分であったり、実状に即していなかったりすることにより、業務効率を損ねてしまうのはなるべく避けたい事態です。自社のニーズに合ったグローバル会計システムの導入を検討し、利益の最大化を目指しましょう。