製造業の海外進出機会も増えましたが、国際会計基準の問題や商習慣、システムの問題などで悩むIT部門担当者も多くおられることでしょう。そこで本記事では、製造業のグローバル化に伴う課題にはどのようなものがあるのか、また、おすすめのソリューションはどういったものかについて解説します。
製造業にグローバル化が求められている理由
これまで国内で活動をしてきた製造業者にもグローバル化が求められるようになっています。
その理由としていくつかの事柄が挙げられます。1つは少子高齢化による国内マーケットの縮小です。現状では、まだ日本で大きな人口減少は起こっていませんが、高齢者層の割合が増加しており、傾向を改善できたとしても、今後長期的に人口が減っていくことは避けられないと見られています。そうすると国全体としての経済力が低下し、国内に絞って企業活動をしていては得られる利益も限られてしまいます。
また、あわせて新興国マーケットの拡大もグローバル化を進める要因になっています。海外も視野に入れて活動をした方が成果を見込める環境になりつつあるのです。技術の進歩により、国という垣根を越えた企業活動に関する課題も解決されつつあります。さらに、価格競争力があるアジアメーカーなどが台頭し、広く活動するようになったことで、国内で活動していても海外企業との競争に巻き込まれてしまいます。グローバル化ができなければ狭い範囲内で、高い競争率に巻き込まれることになってしまうのです。
また、力をもった新興国メーカーが製造する製品の品質および信頼性も向上しており、同時に日本製品のコモディティ化が起こっています。かつての日本製品は、高品質で信頼できる品としてプレミアム価格でも流通させることができていましたが、その状態を維持できなくなってきています。日本のメーカーが今後生き残るためには、従来のやり方を続けるのではなく、よりグローバルを意識した活動をしなければならないのです。
製造業の海外進出時の課題
製造業の分野でも海外進出していくことが求められる時代になってきましたが、進出時に多くの企業が直面する課題があります。失敗しないためには以下のことに注意しましょう。
法律や商習慣の違い
ビジネスを行う上で、より多くの利益を出すことは企業が存続するために非常に重要です。しかし利潤の追求だけでなく、ルールを守った活動をしなければ信頼を失い、安定的な活動は継続できません。
そこで、当然ながら現地の法律には準拠しなければなりません。ただし、日本と外国とでは法律の内容に違いがあります。明らかな詐欺行為や道徳に反するような行為が違法行為として扱われるのは、基本的にどの国でも共通しているため、それほど問題にはならないでしょう。しかし、組織運営や特定分野の製品販売において適用される法令の内容には違いがあることも多いです。
さらに問題になりやすいのが商習慣でしょう。法令のように明文化されていない現地のルールが存在するケースもあります。顧客対応や商談など、現地ならではの文化を理解した上で対応しなければ、思うような成果は得られません。
法令だけでなく現地の商習慣、雰囲気などを十分に理解した上で進出することが大事なのです。
現地情報の不足
法令や商習慣に従うためには、まず、現地の情報を集めなくてはなりません。
法令であれば、分かりやすい形で公表されているため、それほど困ることはないかもしれません。しかしながら、商習慣に関する情報を収集するには、現地のガイドやパートナーなどがいなければ容易ではないでしょう。
また、売上を出すためには取引先となる企業や、製品を購入する消費者のニーズを把握しなければなりません。マーケティングの手法も改めて検討しなければなりませんし、しっかりと情報を集められるネットワークを構築しなければビジネスを成功させることは困難です。
現地事情をよく把握したフェローを増やすとともに、企業活動に欠かせない情報網を確立させましょう。
システム統合
海外進出し、その後円滑に活動をしていくには、現地のシステムと国内のシステムを統合させなければなりません。それぞれ別個にデータを扱っていては非効率であり、人件費を含めた様々なコストがかかってしまいます。
ただ、法令の違い、商習慣の違いなどもあり、システムの統合は容易ではありません。それぞれ異なるルールが適用させている場合、単純にデータの受け渡しをしたのでは不都合が生じることも多いです。特に経営管理や財務システムにおける統合の難易度が高く、これをどのように解決すべきか、と悩む企業も多いでしょう。
合理的な統合を実現するためには、内部統制強化や各種経理業務リソースの統一といった処置が求められます。
グローバル化で求められる国際会計のポイント
日本国内の製造業者にもグローバル化の波が押し寄せ、海外進出する例が増えました。同時に、海外企業も同様にグローバル化を進めています。この流れを受け、会計の手法にも見直しが求められています。
企業内の資本の流れは、その企業の状況を示す重要な資料となりますし、違法な行為をしていないかどうかをチェックする役割も果たします。そのため、どのような基準で会計をしているのか、ということが大きな意味をもちます。
しかしながら、それぞれの企業が異なる基準を運用していたのでは、企業活動だけでなく国家の税務処理も煩雑になるため、国際会計基準の導入が進められています。これを踏まえることは、システム統合の観点からも重要です。移行に際して大きな負担はかかりますが、移行を成功させることで今後の活動を円滑に進めやすくなります。
現在主流になりつつあるのが、国際会計基準「IFRS」です。収益が実現した時点を収益認識基準として売上計上を行う日本会計基準に対し、「IFRS」では履行の義務が果たされた時点を基準に収益を認識します。日本基準であると、製品を取引先に提供し、その対価を受領した時が基準となります。ですが、「IFRS」においては下の5つの要件を満たした時と捉えます。
- 製品の所有によるリスクと経済価値が移転
- 製品に対する継続的関与、支配の保留がなくなった
- 高い信頼性をもって収益の額が測定できる
- 経済的な便益が企業へ流入する可能性が高くなった
- 高い信頼性をもって発生原価が測定できる
計上のタイミングが変わるため、業務システムにも影響を及ぼしますし、現場の業務にも変更が生じます。現在グローバル化の具体的検討をしていない段階であっても、この国際会計基準への適合は視野に入れておく必要があるでしょう。
クラウド型国際会計GLASIAOUSで製造業のグローバル化を支援
グローバル化を本格的に進めるなら、その活動を支える基盤的なシステムを導入することで、業務全般を効率化できます。システム統合の問題もあることから、グローバル化を意識したシステムを選定することが重要です。
特に、会計に対する課題を解決する上では「クラウド型国際会計GLASIAOUS」がおすすめです。ビジネスエンジニリング株式会社(BENG)によって提供されており、クラウド型の国際会計システムであるとともにERPシステムでもあります。多くの国、地域で導入実績があり、海外子会社との連携も実現されます。
本社・海外支社を統一した記帳代行やグループ管理、国際会計基準への対応、複数国の会計基準への対応なども可能です。ほかにも、多言語・多通貨対応できることや、世界各地にパートナーがおり、サポート体制が充実している、といった特徴が挙げられます。
グローバル化に関して、各国の法令に準拠したシステム導入を検討していたり、現地での連携、国際会計基準の導入を視野に入れたりしているなら、詳細な情報について問い合わせてみるとよいでしょう。
まとめ
製造分野で海外活動をしていくためには、現地のルールや、国際会計基準を遵守することが欠かせません。海外での経営管理等にお悩みの場合は、BENGのソリューション、「GLASIAOUS」を導入すると良いでしょう。スムーズに海外対応できますし、財務情報の収集や分析にかかる時間的・人的コストを削減することも期待できます。