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ペーパーレスとは?そのメリットと進め方

コロナ禍でテレワークが推奨されていることもあり、多くの企業で順次導入が進められているペーパーレス化。業務効率化への大きな期待が寄せられる一方で、ペーパーレス化の推進にあたっては、注意点も少なくありません。本記事では、ペーパーレス化の概要やメリット・デメリットについて詳しく解説します。

ペーパーレスとは?そのメリットと進め方

ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは、文字通り、電子化によって紙の資料をなくすことです。世界の中でも、日本は特に紙の資料を多く消費する国だと言わざるを得ません。ビジネスにおいても、いまだに会議の度に全員分の資料を印刷・配布する光景はよく見られます。日本社会に深く根ついている「ハンコ文化」も、紙の資料廃止を阻む大きな要因でしょう。

しかし、現代社会において、紙の資料を使い続けることには無駄が多く、昨今では政府自らが旗振り役となってペーパーレス化を推進しています。具体的には、2020年9月に発足した新内閣の目玉政策のひとつが、「デジタル庁」の新設です。さらに、行政改革相が、行政手続きの「脱・ハンコ」「脱・FAX」に取り組む方針を明らかにしたことも大きな話題となっています。

ペーパーレス化のメリット

新しい取り組みに着手する際には、まず「それによって自社にどんな利益がもたされるか」を追求することが大事です。メリットが明確であれば、従業員の協力も得やすく、推進のスピードもアップします。ペーパーレス化によって期待できる主なメリットは次の3つです。

用紙代やそれに付随する費用の削減

まず、ペーパーレス化によるコスト削減効果は見逃せません。資料を電子化できれば、紙代や印刷代を節約できます。特に、インパクトが大きいのはインク代でしょう。通常、オフィス用のプリンターでA4サイズ1枚を印刷する際、白黒でも1枚2〜4円、カラーでは1枚7〜15円程度のコストがかかるとされています。1日に何十枚、何百枚と印刷する場合、年間での節約効果は絶大です。

また、紙の資料は、保管場所も用意しなければなりません。ビジネスで扱う資料の中には数年以上の保管が義務付けられているものも多く、資料も膨大になると大変かさばります。ペーパーレス化を実現できれば、これらの保管費用や管理担当者の人件費も大幅に削減できます。

業務効率化

資料の電子化は、業務効率化にも直結します。例えば、稟議書や出張申請書の多くは、過去の記録を参考にすることでスムーズに起案できます。しかし、紙の資料はたった一枚を探すのに手間がかかるうえ、一度にひとりしか閲覧できないという点でも使い勝手がよいとは言えません。

電子データの場合は、すべてのファイルにメタデータが存在するため、検索が容易です。キーワードなどを入力するだけで、画面上に過去の記録が一覧表示され、類似案件をひな形にできるので、起案までのステップを大幅に短縮可能です。また、システムやツールで一元管理すれば、自宅や出張先からも内容をチェックでき、決裁・着手までのスピードアップも実現できます。

セキュリティ強化

資料の保存管理が徹底されるのも、電子化の大きなメリットです。紙の状態での保管は、劣化や盗難、紛失のリスクが高いだけでなく、第三者などによる改ざんの恐れもあります。その点、資料を電子化してシステムで管理すれば、アクセス権限がある人以外を物理的に閲覧不可にできます。ファイルごとのパスワード設定や閲覧権限設定も可能です。

さらに、ログ管理によって、誰がいつどの端末からアクセスしたのかもすべて記録に残ります。情報漏えいのリスクを大幅に低減できますし、改ざんも起こりにくくなるでしょう。結果的に、紙の資料と比べて、何重ものセキュリティ効果が期待でき、内部統制も強化されます。

ペーパーレス化のデメリット

一方で、ペーパーレス化には課題も存在します。これらの課題を認識したうえで導入を進め、そのための対策も検討しておく必要があります。

ネットワーク環境起因の業務停止リスク

まず、ペーパーレス化の弱みは、インターネット回線やシステム障害の影響を強く受けることです。電子データの場合、基本的には社内ファイルサーバーか、クラウドの共有フォルダにアクセスすることになります。しかし、これらのストレージが故障すると、復旧するまでは資料を閲覧することや、ダウンロードができません。万が一、復旧できなければ、すべての資料や情報を失ってしまいます。そうなれば、業務はもちろん、企業の信頼へのダメージも計り知れません。

これらのリスクを回避するには、定期的にバックアップを取るなど、手間とコストがかかるメンテナンスが必要です。悪質なハッキングやクラッキングからデータを守るために、システムのセキュリティに万全を期すことも求められます。

ITリテラシーが求められ導入ハードルが高い

次に、電子データを使いこなすには、使う側にも相応のITリテラシーが求められます。特に、今までほとんどのやり取りを紙で行っていた職場の場合、導入ハードルはかなり高いでしょう。加えて、誰でも慣れ親しんだプロセスのほうが作業しやすく、ペーパーレス化を導入しても、直後は作業効率が一時的に下がる可能性を否定できません。

ハードルを下げるために、導入前に社員のITリテラシー教育を行い、知識や技術の底上げを図る必要があるでしょう。利用に関するQ&Aを用意する、社内に問い合わせ窓口を設置するなど、当面のサポート体制も重要です。ペーパーレス化の実現には従業員の協力が不可欠であり、どうすれば作業者の負担を減らせるかという視点が必要です。

ペーパーレス化を進めるポイント

ペーパーレス化は大胆な業務改革ですが、進め方には、丁寧さや慎重さが求められます。具体的には、次の2つのポイントを意識して進めていきましょう。

ITリテラシーが求められ導入ハードルが高い

1つ目のポイントは、一気にすべてを電子化しようとしないことです。同時にすべての業務プロセスを変更すると、業務効率が下がるだけでなく、負担を感じた従業員の士気低下も懸念されます。ゴールまでにいくつかのステップを設け、段階的に少しずつ移行していく姿勢が肝心です。

その際、業務の中でも、多くの従業員が「面倒だ」「手間がかかる」と感じている作業から移行していくのも手です。例えば、毎日のタイムカードや入力項目の多い申請書類などに目を付け、従業員に対するメリットを訴求するところからデジタルデータ化を進めてみてはいかがでしょうか。加えて、FAXのペーパーレス化から着手するなど、ハードルの低い作業から少しずつ行うのも効果的です。

ITシステム・ツールを有効活用する

2つ目のポイントは、ITシステムやツールの有効活用です。ペーパーレス化は、ITシステムやツールなしには実現できません。オンラインストレージや文書管理システムは、データの保存や管理に必須です。社外からもアクセスできるオンラインストレージは、テレワークや出張時の業務に大変便利です。フォルダやファイルごとにアクセス権限を設定できる文書管理システムは、チームワークの効率性や安全性を高めてくれます。

また、オンライン会議システムを導入し、会議資料のペーパーレス化を実践していくことも大切です。大型ディスプレイに資料を映せば、同時に全員で内容を確認できます。導入初期のステップには、従来の業務プロセスをほとんど変えずにペーパーレス化を実現できるペーパーレスFAXの導入もおすすめです。

まとめ

ペーパーレス化は組織の働き方を大きく変えるチャンスです。導入には複数の課題もありますが、実現できれば、従業員一人ひとりの生産性は確実にアップするでしょう。業務が効率化された分、新しい分野にチャレンジする時間的余裕も生まれるはずです。「新たなビジネスポテンシャルの創出」こそが、ペーパーレス化の真のゴールだと言えます。

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