業務プロセスの共有や効率化のための手順書を作成するためにマニュアル作成に特化した専用ツールの導入を検討している企業も少なくありません。マニュアル作成ツールを利用すれば業務指示書なども手軽に作ることができるので、作業効率化に大いに役立ちます。本記事ではマニュアル作成ツールの概要やメリット、事例などを解説します。
マニュアル作成ツールが注目を集める理由
多くの企業がマニュアル作成ツールに注目する理由の一つに、働き方改革の推進が挙げられるでしょう。多様で柔軟な働き方ができる組織を目指し、テレワーク、リモートワークを導入する企業も増えています。しかし、いざテレワークを運用してみると従来にはなかったコミュニケーションの課題が表面化することになりました。実際に集まって共同で作業を行っていれば、身振り手振りを交えながら作業の流れを他のスタッフに詳しく説明することができましたし、問題点に気付けばその場で指摘するといったことも簡単に行えました。しかし、物理的に離れた場所から非対面で作業を行うテレワークのスタイルではこういった手法が使えません。その結果、適切なタイミングで適切に指示や助言を行うことが難しく、こうしたコミュニケーションの難しさが全体の業務効率が低下する原因になっていました。
もう一つ、少子高齢化に伴う労働人口の減少も、マニュアル作成ツールが注目されている理由にあります。労働人口の減少により、今後にわたって多くの企業が深刻な人手不足に直面せざるを得ないと考えられます。限られた人員で最大の成果を得るには、業務を効率的に遂行できる環境をぜひとも整えなくてはなりません。
こうした状況で求められているのが「分かりやすい業務マニュアルの共有」です。正しい作業の流れや方法、注意点などを簡潔にまとめ、従業員間で簡単に共有できるようなマニュアルがあれば、非対面の労働環境であってもスムーズに作業を進められるでしょう。こういう目的で、分かりやすい、質の高いマニュアルを手軽に作成してみたいのであれば、専用の作成ツール導入がおすすめです。
マニュアル作成ツールの基本機能
製品によって多少の特徴や違いはありますが、およそどの製品にもマニュアルを簡単に作成するための機能が備えられています。いろいろな作成に使えるテンプレートが豊富にそろっているので、マニュアルの書式や記載する内容を一から作り上げる必要はありません。
動画マニュアルを作成できる製品もあります。高機能な動画編集専用アプリの使い方が分からなくても、マニュアル作成ツールだけで動画マニュアルを作れるので、初めてでも取り組みやすいといえます。
音声認識を搭載した製品もあり、撮影した動画や録音した音声を読み取って言語を自動認識し、翻訳字幕を自動生成するといった高度な処理も実現可能になっています。語学スキルがなくても、日本語ユーザー以外に向けた外国語の動画マニュアルや音声マニュアルを作成できるのは大きなメリットになるでしょう。
また、たいていのツールには、各種のファイル形式でマニュアルを出力できる機能が備わっています。マニュアルをデジタルデータとして管理・共有できるのはもちろん、プリントアウトして紙のマニュアルを作成することも可能です。
マニュアル作成ツールを導入するメリット
マニュアル作成ツールの導入を検討しているなら、もっとも気になるのが導入メリットの内容でしょう。以下、具体的なメリットをピックアップしてみました。
マニュアル作成の工数・コストの削減
マニュアル作成ツールを使うことで、高品質なマニュアルを短時間で作成できます。ツール内にはテンプレートが豊富に用意されており、作りたいコンテンツをテンプレートに当てはめて追加していくだけで、誰でも短時間でマニュアル作成ができるような仕組みになっています。
もし、WordやPowerPointなどのOfficeアプリでマニュアルを作成するなら、レイアウトを考案したり、画像を適切なサイズに加工したりするなど大量の作業が必要になります。さらに、美しくプリントアウトして製本するといった作業も行うのであれば、非常に多くの時間を割かねばならなくなります。
一方、専用ツールを使えばマニュアル作成にかかる時間を大幅に短縮できます。分かりやすいマニュアルで、現場の従業員が情報をいち早く共有できれば業務効率化になります。また、オンラインで共有するタイプのマニュアルなら、印刷は不要で用紙代やインク代を節約できますし、印刷作業や配布などに必要な人的コストも節約できます。
属人化の防止
もう一つ、マニュアル作成ツールの活用の大きなメリットとして「業務の属人化防止」が挙げられます。マニュアルによって業務に関する知識が共有されやすくなることに加え、マニュアル作成の過程で作業の手順や方法が統一されるという効果もあるため、業務の標準化が実現しやすくなるためです。
難易度の高い作業や、口頭での説明が難しい業務は「あの人しかできない」というように業務が属人化されてしまうことがしばしば起こりがちです。しかし、特定の従業員だけに作業を任せていると、急病や退職などで業務ができなくなるという問題が発生します。
ツールでマニュアルを作成し、業務の標準化を進めていれば、このような事態は事前に回避できます。さらに、個人が積み上げたノウハウやナレッジをマニュアルの形で蓄積して活用することができれば、すべての従業員が高いレベルで業務を行える可能性も広がります。
ナレッジやノウハウが蓄積されたマニュアルは、もちろん新人育成にも役立ちます。基礎研修や勉強会の実施や指導に割く時間を削減できるため、育成コストも抑えられます。
情報共有が容易に
デジタルツールを使って作成したマニュアルはたいていオンラインで共有することを前提にした構成になっています。そのため、作成したらすぐに組織全体で共有しやすく、すぐに運用に入ることができます。従来の方式では、マニュアルが完成しても、必要な人数分だけマニュアルを印刷したり、各部署に配布したりするのに少なくない手間が発生していました。
その点、オンラインでの共有なら配布の手間やタイムラグはありません。さらに、内容の変更や更新を行っても、変更した内容を直ちに反映させて、すべての従業員に最新の内容を届けることができます。ですから、従業員が変更前の古いマニュアルを閲覧して、誤った手順で作業してしまう心配もなくなります。
マニュアル作成業務を効率化する「do! book eX」
日本デジタルオフィスがリリースするマニュアル作成ツール「do! book eX」は動画などを使って電子書籍型のマニュアルを短時間で簡単に作成できるツールです。手順書や図面、チェックシートなどを1つのパッケージにまとめたい工場や、オフィスでレポート管理を効率化したい部署など、さまざまなシーンで活用できる便利なツールです。
do! book eXでは使い慣れたMicrosoft WordやExcelなどで作成したファイルを、ドラッグ&ドロップの簡単操作で組み合わせて電子書籍の形にまとめられることが大きな強みです。もちろん、画像や動画も簡単操作で1つにまとめられるのも魅力です。言葉で説明しづらい作業の説明には、動画を使ったコンテンツが非常に役に立ちます。
作成したマニュアルには、スマートフォンでアクセス可能です。紙のマニュアルを持ち運ぶ必要もなくなり便利です。閲覧だけでなく、スマートフォンでもタップ操作だけでマニュアル作成が可能です。現場からスマホで撮影した写真にコメントを添えて、詳細でわかりやすいレポートを提出するといった使い方もできます。
業務効率化に成功した日本貨物の事例
日本貨物鉄道株式会社はこの「do! book eX」を活用してメンテナンスマニュアル作成業務の効率化を実現しています。同社では、紙のチェックリストを使って工具の管理を行っていましたが、これが従業員の大きな負担になっていました。
そこで、同社は「do! Book」シリーズのレポート機能を活用して工具管理を行うことにしました。do! Bookを使った工具管理では、工具を収納している場所の写真を撮影し、レポートに貼り付けて提出するだけなので、正確な情報を速やかに管理者へ報告できるようになりました。レポートが提出されると管理者にメールで通知されすぐに確認されるような仕組みになっています。さらに、アクセスログデータ機能を使って管理者がレポートに目を通しているか、管理者としての責任を果たしているかどうかもチェックされています。
また、写真の提出があるので工具をきれいに保管するようになったという思わぬ効果もありました。
まとめ
マニュアル作成ツールの導入で、今までマニュアル作成にかかっていた時間を大幅に削減できます。分かりやすいマニュアルを作成することで、育成コストの削減や業務の属人化防止などが大いに期待できます。業務効率化や生産性向上を実現し、ペーパーレスにも役立つマニュアル作成ツールをこの機会に導入してみてはいかがでしょうか。