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企業のペーパーレス化が進まないのはなぜ?メリットと導入のコツも解説

多様な働き方を促進する働き方改革がスタートし、その一環としてペーパーレス化を進める企業も増えてきました。しかし、取り組みを始めたものの、スムーズにペーパーレスが進まないと悩んでいる企業が多いのも事実です。本記事では、企業のペーパーレス化が進まない理由や、成功させるポイントを解説します。

企業のペーパーレス化が進まないのはなぜ?メリットと導入のコツも解説

ペーパーレス化が企業にもたらす4つのメリット

企業がペーパーレス化するメリットは多岐にわたります。
具体的なメリットを理解すれば、企業経営者や担当者のモチベーションもアップし、ペーパーレス化が進むかもしれません。大きなメリットとしては、以下の4つが挙げられます。

リモートワークが可能に

オフィスの縮小によるコストダウンや、柔軟な働き方による社員の満足度向上など、リモートワークにはさまざまなメリットがあります。リモートワークを導入するためにも、企業はペーパーレス化を進める必要があるのです。

たとえば、電子化した書類なら、チャットツールで容易に情報共有できます。在宅業務であっても、プロジェクトチーム内で情報を共有が可能で、海外に出張している社員も電子データを閲覧しながら会議システムを利用できるのです。

もし、紙媒体を使った業務環境のままリモートワークに移行してしまうと、社員は必要に応じて出社し、書類を入手しなければなりません。リモートワークは時間を有意義に使えることもメリットですが、このような状況では時間をムダにしてしまい、社員へ余計な負担をかけてしまいます。リモートワークを導入するなら、ペーパーレス化も並行して進める必要があるのです。

業務効率の向上

情報を必要に応じてスピーディに取り出し、活用できることがメリットのひとつです。書類を電子化し、適切にファイル分けして保存すれば、タイトルや特定のキーワードで素早く検索して取り出せます。

紙の書類では、ファイリングされた中から手作業で探す必要があり、場合によってはすぐに見つからない可能性もあります。ファイルを取り出して書類を探し、終わったら片づけるといった流れが必要となるため、手間と時間がかかるのです。

また、ペーパーレス化が実現すれば、書類の内容を修正するときも短時間で済みます。紙の書類なら、内容を修正後にプリントアウトしたり、作成し直さなければならなかったりしますが、電子データならパソコンの画面上で素早く直せるのです。

印刷コストの削減

ビジネスで使用する書類は多岐にわたります。社内で使用する資料や請求書、契約書、見積書などがあり、実務ではプリントアウトして参照しなければなりません。印刷に必要な紙代やインク代、電気代などが発生するほか、プリンターのメンテナンス費用、スキャナーのリース代などもかかり、積み重なると相当な額になってしまいます。

紙の書類を使わなければ、これらのコストを大幅に削減できます。短期間ではメリットが感じられないかもしれませんが、年間単位で見るとかなりの節約効果が期待できるでしょう。

また、節約できるのは印刷コストだけではありません。書類を電子化できれば、保管するためのスペースも不要です。わざわざ専用のスペースを用意する必要がなくなるため、空間を有効利用できます。書類を仕分けしてファイリング、ラベリングする手間もなくなるため、人的コストの削減も期待できるでしょう。

セキュリティの強化

たとえば、重要な書類を封筒やバッグに入れたまま、カフェや駅などに忘れたらどうなるでしょうか。親切な方が交番や駅員へ届けてくれればよいのですが、世の中そのような方ばかりではありません。悪意のある人物の手に渡ってしまうと、情報を悪用されたり、流出したりといったリスクが考えられるのです。

このようなリスクに関しても、書類の電子化は有効です。電子化すれば、物理的な紛失や盗難による情報漏洩を回避できます。仮にデータの入った端末ごと盗まれたとしても、適切にセキュリティ対策を施しておけば、情報が第三者の手に渡ることはありません。

また、紙の書類は年月が経つと劣化してしまい、読みにくくなってしまうおそれがあります。印刷すると文字が潰れてしまい、まったく読めないといった事態に陥る可能性も否めません。この問題も、電子化すればクリアできます。電子データは劣化しないため、いつでも鮮明な状態で閲覧でき、必要に応じてプリントアウトも可能なのです。

それでもペーパーレス化が進まない理由

ここまでの説明で、ペーパーレス化が企業にさまざまなメリットをもたらすことが理解できたのではないでしょうか。

すでに取り組みを始めている企業も少なくありませんが、現実にはうまく進められないケースもあります。もし心当たりがあるのなら、以下で述べることに該当しないか確認してみましょう。

社員のスキルが追いついていない

電子化された書類と紙の文書とでは、取り扱い方が異なります。紙の書類では問題なく業務を進められていた社員でも、電子化に伴いスキルが追い付かなくなる可能性は十分あります。

たとえば、紙の文書へ文字を記載したいのなら、直接ペンで書けば済む話です。しかし、電子データとなれば、そもそもパソコンなどのデバイスを操作できなければ扱えません。紙の書類に慣れきってしまい、パソコンもほとんど触ったことがない社員ほど、ペーパーレスへは対応できない可能性があります。

せっかくペーパーレスに成功しても、社員のスキルが追い付かなければ、かえって業務が滞ってしまうでしょう。対応できない社員が、電子データをわざわざプリントアウトして作業するといった、本末転倒な事態も起こりかねません。

社員の合意が得られていない

ペーパーレス化の影響をダイレクトに受けるのは、現場で働く社員たちです。そのため、社員たちの合意が得られていなければ、書類の電子化に踏み切っても思うように浸透しない可能性があります。

合意を得られない理由としては、社員への周知が不十分であることが考えられます。これまで紙の書類ばかり扱ってきた社員からは、「どうして書類のままではダメなのか」と疑問の声が上がるかもしれません。

社員の合意を得るには、ペーパーレス化によって得られるメリットを丁寧に伝え、理解してもらわなくてはなりません。そのためには、社員にメリットを伝えるための機会を設け、わかりやすくじっくりと説明を行う必要があります。

導入コストの問題

書類の電子化を推し進めるにあたっては、さまざまなコストが発生します。ワークフローシステムやクラウドサービス、コミュニケーションツール、セキュリティソフトの導入に加え、社員用の端末も用意しなければなりません。企業の規模によっては、相当な額の初期コストがかかってしまうため、導入へ後ろ向きになってしまうのです。

また、システムの運用コストも発生します。導入したソフトウェアが、サブスクリプション制であったり、買い切り型であっても新たなバージョンをリリースされればバージョンアップしたりする必要があるため、ランニングコストが発生するのです。

また、書類の電子化に成功しても、すぐに利益の拡大につながるわけではないため、導入を躊躇してしまう経営者や担当者も少なくないと考えられます。

ペーパーレス化の導入を成功させるコツ

行き当たりばったりでペーパーレス化を推し進めようとしても、ほころびが生じてしまうおそれがあります。すでに書類の電子化へ取り組んでいるものの、なかなか成功しない企業は、以下のコツを参考にしてください。

トップマネジメントからの周知徹底

今まで当たり前のように使っていた紙をなくし、電子化するのは企業にとって大きな変革です。このような大変革には時間がかかりますが、企業のトップが率先して推進することにより、成功へのスピードを速められます。

まずは、経営陣にペーパーレス化の必要性を説きましょう。経営層から各部署の幹部、一般社員とトップダウンで電子化のメリットや意義を周知させていくのです。

経営陣にメリットを説明するときは、漠然としたイメージではなく、明確かつわかりやすく伝えることが大切です。メリットが明確でないと、経営陣が前向きに検討してくれない可能性があるからです。業務効率が向上する、多様な働き方が実現できる、大幅なコストダウンが可能など、電子化によって得られるありとあらゆるメリットを丁寧に伝えましょう。

社員へのITリテラシー教育

せっかくペーパーレス化に成功しても、社員のスキルが追い付いていなければメリットは半減してしまいます。現場に余計な混乱を招くおそれもあるため、導入前にITリテラシー教育を実施しましょう。書類の電子化に対応できるスキルを身につけてもらえれば、導入後のトラブルも軽減できます。

社員によっては、ITに苦手意識を持つ方がいるかもしれません。このような社員にも対応できるよう、必要に応じてマニュアルを整備しましょう。希望者を募り、ITリテラシーの研修を行うのも効果が期待できます。

技術的な指導だけでなく、セキュリティに関する教育も必要です。単にペーパーレス化しただけでは、セキュリティが万全とはいえません。スタッフのセキュリティ意識が低ければ、情報漏洩してしまうリスクは十分考えられます。技術面と併せてスタッフへの指導を行い、意識改革を進めましょう。

トライアル期間の設置

いきなり会社全体でペーパーレス化を進めるのは、あまりおすすめできません。業務プロセスやルールなど、あらゆる部分が異なるため、高い確率で現場が混乱します。まずは、ペーパーレス化しやすい部署をピックアップし、トライアル期間を設けてスタートすることをおすすめします。

つまり、スモールスタートです。まずは小さな範囲で書類の電子化を進め、実際に運用してみましょう。導入したばかりなら、さまざまな課題も浮き彫りになるはずです。確認できた課題はそのままにせず、分析や改善をしつつ運用ルールに落としこんでいきましょう。

まずは役員会議にペーパーレスを導入するのもひとつの手です。実際に企業のトップたちが運用することで、一般社員たちへの手本にもなります。課題の分析と改善を繰り返しながら、少しずつ導入する範囲を広げていけば、自然と全社での円滑なペーパーレス化が実現するでしょう。

まとめ

現在では多くの企業がペーパーレス化に取り組んでいますが、他社がやっているからという理由だけで真似をしても社員の理解は得られないでしょう。

社員の合意を得なければ、導入してもうまく運用できません。導入するメリットを明確にし、自社の業務環境にペーパーレス化をうまく組み込んでいくことが大切です。

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