昨年に引き続き、2020年もデジタルビジネスにおいてソーシャルログインの重要性が高まっています。今やWebサービスのユーザビリティ(利便性)を決める評価要素の1つであり、多くのユーザーがソーシャルログインによる簡易的なサービス利用を求めています。本記事では、まだソーシャルログインを搭載していないWebサービス運営者に向けて、その概要とメリットなどをお伝えします。さらに、近年注目されるソーシャルログインの新しいトレンドもご紹介します。
ソーシャルログインとは?
ソーシャルログインはFacebook、Instagram、Twitter、LINEといったSNS、Yahoo! JAPAN ID、Googleアカウント、Amazonアカウントなど普段から使い慣れたWebサービスのアカウントを使用し、特定のWebサイトやサービス、アプリにログインする機能です。
新しいWebサービスやスマートフォンアプリを利用する場合、通常はサービス・アプリごとにアカウントIDとパスワードを設定してユーザー登録をします。これに対し一部のサービス・アプリではユーザーが既に登録しているSNSアカウントを利用して登録することができ、面倒な登録作業を省略できます。
ソーシャルログインの実装サービスを提供する株式会社フィードフォースが実施した調査によれば、2018年2月から2019年1月の間にソーシャルログインで最も利用されたSNSアカウントはLINEだそうです。無料のコミュニケーションツールといてもお馴染みのLINEは、月間アクティブユーザーが8,200万人以上おり、日本国民の64%をカバーするという驚異的な普及率を持つことから、自然とソーシャルログインでの利用率が高くなっています。LINEに大きく引き離されながらYahoo! JAPAN、Twitter、Facebook、Googleと続いています。
出典:『フィードフォース、ソーシャルログイン利用状況調査2019を発表』
ユーザーが感じるソーシャルログインのメリット
ソーシャルログインが急速に普及した背景には、ユーザーが高い利便性を感じ、それを求めているからに他なりません。具体的なメリットは「会員登録時の作業を簡素化できる」「使い慣れたIDとパスワードで再ログインできる」「二段階認証が利用できる」の3点です。
1. 会員登録時の作業を簡素化できる
新しいWebサービスやスマートフォンアプリを利用するにあたり、会員登録の際にSNSから取得可能な氏名やメールアドレスといった情報で登録フォームを埋められるので、会員登録作業を少ない操作で完了できます。特にスマートフォンでは入力に手間がかかることから、多くのユーザーにソーシャルログインが好まれます。
2. 使い慣れたIDとパスワードで再ログインできる
多種多様なWebサービスやスマートフォンアプリが提供されている中、ユーザーによっては2つ3つ、場合によっては5つ以上のサービス・アプリを利用するケースが多くなっています。それだけ多くのアカウントIDとパスワードを管理しなければいけないわけであり、ユーザーにとっては面倒この上ないものです。一方ソーシャルログインを利用すれば、複数のサービス・アプリで統一されたアカウントIDとパスワードを適用でき、管理が非常に楽になります。
3. 二段階認証が利用できる
ソーシャルログインではFacebookやGoogleなど、高いセキュリティ要件を保持しているSNSサービスが提供する二段階認証を利用できます。このため、セキュリティ強化を図りながらID・パスワード管理を簡素化できることが、ユーザーにとって最大のメリットになっています。
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Webサービスやスマートフォンアプリがソーシャルログインに対応すべき理由
ユーザーに対して高い利便性を提供できるとはどういうことなのか?続いて、Webサービスやスマートフォンアプリをソーシャルログインに対応させることで企業側が得られるメリットを具体的にご紹介します。
1. サービス・アプリの会員登録時の離脱率が減少する
Webサービスやスマートフォンアプリの会員登録の際は、ユーザーの氏名や年齢、時には在住地域など詳しい情報を入力するケースがあります。入力項目が多いほど会員登録時の離脱率は上りますので、ユーザーの入力負担を極力低減するのが得策です。このため、ソーシャルログインを導入することで入力項目を減らし、会員登録時の離脱率を減少させます。
2. サービス・アプリへのリピート率が上昇する
Webサービスやスマートフォンアプリケを中心としたビジネスのゴールは会員登録ではなく、継続的な利用を促すことです。しかし、登録したユーザーの中にはID・パスワード管理が複雑になる理由から再利用しないことがあります。その際もソーシャルログインがあれば、再ログインを簡素化できるためリピート率も上昇します。
3. 詳しいユーザー情報を入手しやすくなる
ソーシャルログインで採用するSNSアカウントにもよりますが、通常よりも詳しいユーザー情報が入手しやすくなるのも大きなメリットです。年齢や性別、居住地など詳しい情報を知れればサービス・アプリ分析に役立ちますし、ユーザーごとに最適なサービス提供が可能になります。
4. パスワード再発行やログインに関する取り合わせが減る
パスワード再発行やログインに関する問い合わせは極端に減ります。これによりサポートデスクの負担が大幅に軽減して、戦略的なカスタマーサポートに注力できるようになります。
5. セキュリティ対策へのコスト削減が見込める
ユーザーがSNSアカウントの二段階認証を利用すれば、サービス・アプリ運営事業者が特別なセキュリティ対策を実施する必要はありません。そのため、セキュリティ対策へのコスト削減が見込めます。
2020年に流行る?!ソーシャルログインの最新トレンド
ソーシャルログインの利用率は年々拡大しており、新しいトレンドもどんどん生まれています。その1つが2019年にサービス開始したLINEのQRコードログインです。このソーシャルログインはLINEログイン2.1が有効なWebアプリにおいて、ログイン画面に表示されるQRコードをスマートフォンで読み取ると自動的にログインできるシステムとなります。
たとえばパソコンに表示されたソーシャルログイン用の QRコードをスマートフォン版LINEで読み取ると、「ログインしますか?」という画面が表示されるので認証するとWebアプリのログインが完了します。
このようにソーシャルログインの利便性はなおも向上しており、2020年にはサービス利用者が爆発的に増えるのではと予測されています。決済サービスとの連携も始まっており、ソーシャルログイン今後、我々のビジネスと生活に深く根差す技術になっていくでしょう。まだソーシャルログインに対応していないという場合は、早期段階での採用を検討されることをおすすめします。