皆さん、リードナーチャリングしてますか?
2012年頃からよく耳にするようになった「リードナーチャリング」ですが、今や現代ビジネスにおいては欠かせないワードとなりつつあります。
しかし、具体的に「リードナーチャリングとは何か?」を知る方は少ないようですね。
実は知っておかないと、多くのビジネスチャンスを逃してしまっているかもしれません。
ここでは、現代ビジネスに欠かせない「リードナーチャリング」について分かりやすくまとめてみました。
リードナーチャリングとは
「Lead:見込み客」「Nurturing:育成」という言葉が示すように、リードナーチャリングは「購買意欲の低い見込み客」を「購買意欲の高い見込み客」へと育て上げるビジネス手法、またはその概念です。
従来のビジネスでは見込み客が自社サービスや製品に対しての購買意欲が低いと感じれば、「ハイ次!」と早々に見切りをつけて営業展開するのが当たり前でした。
しかし年々多様化する顧客のニーズや長期化する購買期間を前に、効率的に売上げを向上させるため「購買意欲の低い見込み客を育成する」という動きが徐々に見られるようになったのです。
B2BとB2C
対法人でビジネスを展開するB2Bではリードナーチャリングの概念が欠かせません。
前述したように顧客のニーズは多様化し購買期間は長期化しているため、この点を解消しかつ企業が成長(売上げ向上)するためには必要不可欠なのです。
しかし実は、対消費者でビジネスを展開するB2Cにおいてもリードナーチャリングの概念は存在します。
例えば自動車や不動産と言った商品を取り扱う業界ではいくらB2Cと言っても商品が高価なことから、リードナーチャリングでビジネスを展開しなければ思うような成果を得ることはできません。
また、最近ではECサイトなど比較的安価なマーケットでもリードナーチャリングの概念が浸透しています。
ターゲティング、コミュニケーション、フォローアップ
これらはリードナーチャリングを展開する上で欠かせない3つのポイントです。
01.ターゲティング
見込み客のニーズに正確なアプローチを行えるようターゲティングを行います。
02.コミュニケーション
見込み客との積極的なコミュニケーションによりニーズを満たし、購買意欲の高い見込み客へと育て上げます。
03.フォローアップ
見込み客の反応に応じて適切なアクションを実行します。
これがリードナーチャリングを行う上で重要かつ基本的な3つのポイントですが、具体的な施策については後述します。
なぜリードナーチャリングが注目されているのか
従来のビジネスにおいても、見込み客に対しアプローチをかけ購買意欲を高めてもらうという手法は存在していました。
ではなぜ今になってリードナーチャリングが注目されているのでしょうか?
リストを最大限に活用できる
セミナーやイベントなどで獲得したリストの内、すぐにアプローチへと繋がるリストは全体の25%程度です。
なので残りの75%に関しては「意味がない」として適切に管理されていませんでした。
しかし最近の調査では、残りの75%のうち約80%のリストが2年以内に何らかのアクションを起こすということが判明。
つまり全てのリストを適切に管理しリードナーチャリングを展開することで、リストを最大限に活用して効率的に売上げアップが図れるのです。
営業活動を効率化する
リードナーチャリングを行うことで、常に「その時アプローチをかけるべき見込み客」を把握できるようになります。
つまり、顧客のステージを管理していることで購買意欲の高い見込み客にのみアプローチがかけられるので、「成約につながる可能性の低いアプローチ」を回避できます。
購買意欲の高い見込み客にのみアプローチをかけられれば、営業活動の効率化ばかりか売上げアップも見込めます。
購買までの時間を短縮できる
実はここ数年でサービスや製品に対して顧客が購買に至るまでの期間は、実に20%も伸びていると言われています。
この背景には2008年のリーマンショックによる不況の影響や、サービスや製品を提供する企業への「信頼性」をより重視するようになったなどの要因が挙げられます。
しかしサービスや製品を提供する側としては、購買期間の長期間は売上げ低下につながるので大問題ですね。
そこで、リードナーチャリングを行いこちらから見込み客の購買意欲を高めることで、購買期間の長期化に対抗することが可能。
既存顧客のロイヤリティ向上
実は、リードナーチャリングは見込み客だけでなく既存顧客にも通じるものがあります。
既存顧客と積極的にコミュニケーションを取ることにより、ロイヤリティの向上とLTV(顧客生涯価値)を高めることができるのです。
リードナーチャリングの施策
それではリードナーチャリングを行うための具体的な施策を紹介していきましょう。
顧客の購買行動を理解する
「どのような行動を経てサービス・製品の利用・購入に至っているのか?」といった考えのもと、顧客の購買行動を理解することは基本的かつ重要です。
顧客の購買行動を理解していないと「どんな行動をした見込み客が購買意欲が高いか?」を把握することができません。
なので、過去の成約にまで至った顧客データを十分に分析しましょう。
すると複数のある特定パターンが導き出されるはずです。
そのパターンを購買意欲の高い見込み客として設定することで、効率的なリードナーチャリングを行うことができます。
より多く接触を持つ
リストからアプローチをかけられるような見込み客に成長させるまでの接触回数は、平均して7回と言われています。
なのでより多くの見込み客との接触が必要不可欠です。
従来のビジネスでも「営業先に何度も足を運ぶ」という営業活動がありますが、これは接触回数を増やすことで見込み客を育てるための行動とも言えます。
見込み客をスコアリングする
見込み客が現在どのステージにいて、どの見込み客にアプローチすべきかを知るためにはスコアリングが有効です。
例えばWebサイトにおいてサービス・商品のQ&Aページを閲覧すれば5点、資料ダウンロードをすれば10点、電話による問い合わせがあれば20点など顧客の行動を細かくスコアリングすることで購買意欲を視覚化することができます。
むしろスコアリングを行わなければ効率的なアプローチができないので、リードナーチャリングを実現することは難しいでしょう。
ちなみにスコアリングに応じて「今すぐ客」「そのうち客」「潜在客」「まだまだ客」とセグメントするとより効果的です。
ランクごとのシナリオを作る
その都度見込み客の行動に対してアプローチの方法を考え展開するのベストですが、あまりに非効率かつ現実的ではありません。
そこでスコアリングしたランクによってあらかじめシナリオを作成しておくことが有効的です。
「顧客のランクが上がったらこんなアプローチをする」など、顧客のランクや行動によって次のアクションを設定していれば効率的にリードナーチャリングを展開することができます。
メール配信を積極的に活用する
こちらから積極的に見込み客との接点を持てるチャンネルと言えば、メール配信です。
しかし、全ての見込み客に対して一斉に配信するメールはリードナーチャリングとは言えません。
なぜなら顧客の特性や行動によって適切なコンテンツやタイミングが違うので、「One to Oneマーケティング」の視点でメール配信を行わなければならないからです。
適切なコンテンツを適切なタイミングで配信することができれば、見込み客の購買意欲を効率的に高めることができるでしょう。
オンラインとオフラインの統合
リードナーチャリングではWebサイト訪問やメール配信などオンラインでの行動のみでなく、セミナーやイベントへの参加などオフラインでの行動も統合して管理することが重要です。
2つの領域での行動を管理することで、より効果の高いリードナーチャリングが展開できます。
リードナーチャリングの事例
ここでリードナーチャリングの事例を一つ紹介します。
コンサルティングサービスを提供するA社では、「見込み客の知りたい情報をすぐに提供するため」「接触回数を増やすため」という目的で自社Webサイトに資料請求フォームを設置。
即座にアポイントに繋がる見込み客はいるものの、ほとんどが「資料を見たかっただけ」などアポイントに繋げることができませんでした。
しかしA社はこれらの企業を「自社のサービスに少しでも興味を持ってくれた重要な見込み客」と位置付け、ステップメールを導入。
6ヵ月にわたり10回のメール配信に加え、見込み客の行動をスコアリングすることで適切なコンテンツを適切なタイミングで配信。
結果、「資料を見たかっただけ」という企業のうち12~16%を新たなアポイントに繋げることに成功しました。
これは、メール配信による見込み客の購買意欲向上というかなりシンプルなナーチャリング事例です。
しかし、シンプルに見えてA社の事例では、配信するメールをあくまで担当が個人的に送付したメールに見えるようにしたり、各メールに営業担当に連絡先を記載するなど見込み客がアクションを起こせるように凝らした工夫がいくつかあります。
リードナーチャリングの手法はこの事例のようなものには限らないので、自社にとって最適な手法を採用することが重要です。
まとめ
今後も重要性が高まるリードナーチャリング、本稿でその重要性を理解していただけたのであれば幸いです。
現在ほとんどの企業で顧客ニーズの多様化や購買期間の長期化に頭を抱えていることかと思います。
しかしこれは時代の流れでもあり、この流れ自体を止めることはもはや不可能です。
ならばこの流れに沿いつつ、顧客の行動をできる限りこちらでコントロールすることが大切ですね。
リードナーチャリングはそんなコントロールを実現するためのマーケティング手法だと言えます。