Webの広告配信を行う時、「DMP」や「DSP」というワードをよく目にします。アルファベット3文字の言葉が多く混乱しやすいのですが、DMPもDSPも広告用語として頻出するため意味を知っておいて損はありません。
この記事では、担当者が知っておきたいDMPやDSPという言葉の概要や関係性についてご紹介します。
DMPとDSPの特徴と違いについて
Web上の広告配信でよく聞く、DMPとDSPという言葉の違いを見ていきましょう。大変よく似た言葉ですが、実はそれぞれ全く違う働きを持っています。
DMPとは
DMPとはData Management Platformの略であり、インターネット上のデータを一元管理するためのプラットフォームのことをいいます。DMPを導入すれば、ECサイトやWebサイト、POSデータといったさまざまなデータを統合することで、広告配信をより効果的に運用できるのです。
DMPには社内で得たデータのみを蓄積する「プライベートDMP」と、外部のデータを蓄積する「オープンDMP」の2種類があり、それぞれのデータを上手く活用することで広告配信を最適化させられます。
詳しくは、「DMPとは?」をぜひご参照ください。
DSPとは
DSPとはDemand-Side Platformの略であり、広告主がより効果的に広告を配信するためのツールです。Webの広告配信は、広告を出稿したい広告主と、その広告枠を提供するメディア運営者(企業)で成り立ちます。DSPは、前述のように広告主に向けたシステムという立ち位置です。
広告主は、事前にDSPに広告を配信したいターゲット層や予算を決め、バナー広告を入稿しておきます。こうすることで、広告主は予算やユーザー、配信のタイミングなどをある程度コントロールできるのです。そしてDSPは、次に紹介する「SSP」と呼ばれるプラットフォームなどとやり取りして入札価格を決め、バナー広告を配信するという仕組みです。
またDSPには自動と手動の2種類があり、広告主は自社の特徴や狙いに応じてどちらにするかを決めます。自動の場合は機械学習によって自動化されているため使うほど精度が上がりますし、手間を掛けたくない担当者に向いています。
しかし手動よりもコストがかかるので、その分利益が出るのか見極める必要があるでしょう。限られた工数のなかでよりパーソナライズされた広告配信を行い、さらに広告の効果を高めたいという広告主にはおすすめです。
SSPとは
DSPと一緒にぜひ知っておきたいのが「SSP」です。SSPとはSupply Side Platformの略であり、メディア運営者が広告枠を高く提供するためのプラットフォームです。
SSPでは、メディア運営者が広告枠を設置するメディアを事前登録します。価格や販売したい広告主の情報を設定しておくことで、SSPがその条件の中から一番条件のいい広告を選んでくれます。
DSPとSSP、この2つのプラットフォームがやり取りを行うことで、効率の良い広告配信システムが確立しているのです。
それぞれの違い
DSPやDMP、SSPなど似たような言葉が頻出するので、一度それぞれの違いをおさらいしておきましょう。簡単に言うと、以下のような役割を持っています。
- DMP…インターネット上のデータを統合して一元管理するプラットフォーム
- DSP…広告主が広告費をなるべく安くできるよう、広告枠を紹介するプラットフォーム
- SSP…メディア運営会社がなるべく多く広告費を得られるよう、最も条件のいい広告を紹介するプラットフォーム
「広告費をなるべく安く獲得したい」と考える広告主がDSPを使い、「広告枠をなるべく高く提供したい」と考えるメディア運営者がSSPを使います。広告主とメディア運営者で相反する希望に近づけるために、それぞれの立場に合わせたツールが存在するというイメージです。
そして双方が広告配信するためにやり取りする中で、参考にしているのがDMPに格納されている情報です。DMPはDSPとSSPの両方が参考にしている情報集約プラットフォームで、ユーザー情報が多いほどより効果の高い広告配信が行えるようなります。
また、DMPは広告配信という目的に限らず、情報を集約するという特性からデータ分析など別の目的で導入されるケースも珍しくありません。
RTBとは
DMPやDSP、SSPによって広告配信先を決める形態には、「RTB」という名前があります。
RTBはReal-Time Biddingの略であり、DSPなど使いオークション形式でWeb広告を配信するシステムのことを指します。
前述した通りDSPとSSPは「安く買いたい」という広告主に向けたものと、「高く売りたい」というメディア運営者向けという相対したものですが、その2つのやり取りを確立しているのがRTBというシステムなのです。
RTBの歴史はまだ浅く、2010年代に米国で生まれました。それまでもアドネットワークやアドエクスチェンジなど広告配信システムはありましたが、RTBはリアルタイムで広告配信のやり取りを行える新しい配信形態として日本にも普及しています。
DMPやDSPを使ったWeb広告の仕組みについて
DMPとDSP、そしてSSPなどの役割が分かったところで、それらの関係性や広告配信の仕組みについてみていきましょう。
DMPとDSPの関係性とは
DMPとDSPは大変似た言葉ですが、この2つの働きは全く異なります。「DMP」というデータ統合ツールが存在することで、DMPとSSPのやり取りが効率化されているのです。
つまり、DMPはDSPというツールの働きをより効率化させるためにあるといってもいいでしょう。DMPとSSPは相反するツールですが、その両方がDMPに蓄積されたデータを参照することで効果を高めているのです。
一般的な仕組みとその流れ
DMPやDSP、SSPが具体的にどのように働いているのか、一般的な流れを見てみましょう。
- メディアにユーザーが訪れる
- メディアはまず、SSPにWeb広告のリクエストを送信する
- SSPがユーザー情報を取り込み、その情報を元に提携しているDSPへリクエストを送る
- リクエストを受けたDSPはDMPに蓄積されたデータなどを参照して、SSPに最適な広告データを返す
- 広告データを受け取ったSSPは、一番高額な広告に入札する
- ユーザーに広告が表示される
メディアにアクセスすると常に表示されているWeb広告ですが、実際はアクセスするたびに上記のようなやり取りが行われているのです。手順が複数ありますがWeb広告の表示にかかる時間は1秒もかからず、リアルタイムにやり取りが行われています。
まとめ
広告用語として知っておきたいDMPとDSPについてご紹介しました。Webの広告配信システムも日々新しくなっており、担当者は最新の広告配信形態を把握しておかなくてはいけません。
ぜひDMPやDSPの働きを知って、自社の運用にお役立てください。