マーケティング顧客データID管理

広告出すならDMPを使え!5つのポイントで基礎を解説

Webマーケティングに携わる方なら必ず耳にしたことがある「DMP(データマネジメントプラットフォーム)」。トレンドではあるものの、いまいち全体像が掴めていないという方が多いのではないでしょうか。

しかし、DMPが広告配信やマーケティングの中心となる時代はもうすぐそこまで来ているかもしれないので、うかうかしていると取り残されてしまうかもしれません。

今回触れるのはそんなDMPについて、できる限り分かりやすく5つのポイントで解説してきたいと思います。

DMPはユーザーデータの総合プラットフォーム

「ユーザーデータを広告配信に活用する」と言えば簡単に聞こえますが、実は色々と複雑なのがDMPです。まず従来からDMPのようなサービスを提供しているDWH(データウェアハウス)というシステムがあります。

DWHは日々蓄積されているユーザーデータ(自社が保有するもの)を格納していき、効率的にアウトプットできるよう整理するためのシステムです。例えば、自社Webサイトにおいて以下のようなユーザーデータが存在するとします。

ex-userdata.png

DWHではこれらのデータをさらに以下のように格納します。

example-dwh.png

このように各データを格納することで効率的にアウトプットでき、様々なシーンでの活用が可能になります。

そしてこのDWHの概念に「オーディエンスデータ」という外部データが加わり、かつ広告配信のために最適化されているのがDMPなのです。

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オープンDMPとプライベートDMP

次にシステムを構成する「オープンDMP」と「プライベートDMP」という2タイプの違いについて解説していきます。

オープンDMP

オープンDMPとは様々なオーディエンスデータを提供するサービスであり、言わば第三者から提供されるユーザーデータです。

たとえば、自社Webサイトに訪問したユーザーデータに関しては容易に取得することができますが、他のWebサイトでユーザーがどのように行動したのかや属性を知ることは容易ではありません。というより、自社独自に収集することは不可能でしょう。

そこで、データ提供企業などが保有している各ユーザーのWeb行動履歴や属性を取得することで、自社独自には知り得ない情報を広告配信に活用することができます。

そしてこうしたデータを蓄積・管理するためのシステムがオープンDMPです。

プライベートDMP

プライベートDMPとは自社独自に保有しているユーザーの行動履歴や顧客情報などであり、オープンDMPよりもDWHに近いシステムとなっています。明確な違いはDWHよりも広告配信に最適化されている点でしょう。

さらに、プライベートDMPではWebサイト上に限らずイベント・セミナーやDMなどオフラインにおけるデータに関しても蓄積・管理されていくため、まさに社内ユーザー情報のすべてと言えます。

また、プライベートDMPではオーディエンスデータといった外部データを取り込むこともでき、より精度の高いマーケティングを展開することが可能です。

DMPを導入するメリットとは

DMPを導入することで得らえるメリットは、やはりオーディエンスデータなどの外部データを活用し、従来ではリーチすることのできなかった顧客層へと広告配信及びその他のマーケティング活動を可能にすることです。

たとえば従来のマーケティングにおいて、自社Webサイトを訪問したユーザーへ広告配信をするとします。「コンテンツを閲覧している」ということから比較的確度の高いユーザーであることには変わりありませんが、これでは自社Webサイトに訪問したユーザーへの限定的な配信になってしまい、幅広い層にリーチすることができません。かと言ってリスティング広告では運用費や運用負荷の問題がありなかなか手が出せないという課題もあります。

そこでDMPを導入すると、競合サイトのAという商品をチェックしているユーザーへ自社商品をアプローチすることができます。こうすることで自社Webサイトに訪問していなくとも、類似商品へ興味を持っているユーザー層へリーチすることが可能になるのです。

DMP導入・運用はまだまだ敷居が高い?

ここまでDMPの概要やメリットに解説してきた中で「素晴らしいプラットフォームだ」と感じた方も多いと思います。しかしDMPはまだまだ課題の残されている分野であり、導入・運用の敷居が未だ高いのが現状です。

システム面に関してですがまだ改善の余地は十分に残されています。Webサイト上のデータはGoogleアナリティクスなどのデータ解析を連携させれば問題ありませんが、これはDMPとして統合できる領域です。こうすることで一元的にシステムを提供でき、ユーザーの業務負担が軽減しコストメリットも発生するでしょう。

コスト面に関してはコモディティ化されていくのがもう数年ほどかかると予測されているので、現在では大手企業が導入するシステムというイメージが一般的です。

また、オーディエンスデータなどの外部データの拡充やデータ取り扱いに関する規則整備など、DMPにはまだまだ多くの課題が残されているのです。

DMPが普及すれば「マーケティング戦国時代」に?

DMPのメリットについて、オーディエンスデータを取り込むことでより広いユーザー層にリーチできると解説しました。つまり競合が抱えているユーザーへも広くアプローチできるということです。

従ってDMPが普及することで競合同士のユーザー獲得が激化すると予測されます。まさに「マーケティング戦国時代」の幕開けですね。

この熾烈なマーケティング戦を生き残るためには、予めDMPに関する知識とノウハウを身に付け戦っていくか、あるいは自社独自のマーケティングを展開してユーザーを獲得していくことが必要でしょう。

デジタル上で競合ユーザーにもアプローチできるというのは非常に魅力的なメリットではありますが、反対に自社ユーザーへもアプローチされるというのはユーザーを持っていかれてしまうという危険も孕んでいるのです。

現代ビジネスを生きるマーケターには、今後押し寄せる大きな変化に対応するだけのスキルと知識が必要になるのは間違いないでしょう。

まとめ

いかがでしょうか?今回の解説でDMP(データマネジメントプラットフォーム)は広告配信やマーケティング効果を上げる魅力的なシステムというだけでなく、今後大きなリスクを生みだす危険性もあるということに触れてきました。

まだまだ大手やネット先進企業を中心に導入されているシステムですので、中小企業やベンチャー企業とは直接的なユーザー争奪になることは少ないと思います。しかし今後導入が普及したら…と考えると、準備せずにはいられませんね。

まずはDMPの概要をしっかりと捉え、徐々に理解を深めていきましょう。

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