マーケティング顧客データID管理

CRMのメリットとデメリットを分かりやすく解説してみました【ユニークな事例あり】

「CRM」と聞いて皆さんは何が思い浮かびますか?SalesforceやNetsuiteあたりのサービスが思い浮かぶといった方が最も多そうですね。

では「CRMについて詳しく説明してください」と言われて、簡潔に説明できる方はどれくらいいるでしょうか。 恐らくほとんどの方が「なんとなくは分かるけど詳しくは…」と詳細までの説明は難しいかと思います。

しかしCRMを導入する企業は着々と増えつつあり、大きな成果を上げている事例も珍しくありません。皆さんの企業でも今後導入される可能性は十分高いと言えますね。

ここらで一つ、CRMについてしっかりとした知識を身につけてはみませんか?今回紹介するのはCRMの概要、メリットとデメリット、そしてCRMを活用した国内のユニークな事例です。

CRMとは

CRMとは「Customer Relationship Management」の略であり、日本語で「顧客関係管理」となります。一般的に「顧客管理システム」と言われていることが多いですね。

そもそもは「顧客データを管理・識別して、個々に合ったサービスを提供することで顧客満足度やブランドロイヤリティの向上を目指そう」という概念及び経営手法です。1990年代に米国で誕生し、その後1998年に総合コンサルティング会社であるアクセンチュア(当時はアンダーセン・コンサルティング)による著書「CRM-顧客はそこにいる」で広く知られるようになりました。

ちなみにCMS(Contents Managemet System)と語句が似ているため間違えることが多いので注意しましょう。

SFAとの違い

CRMと類似したシステムでSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)というシステムが存在します。「顧客データを管理する」という点においては共通していますが、両者には明確な違いがあるので混同しないよう注意しましょう。

以下にCRMとSFAの違いをまとめてみました。

CRMでできること

  • 顧客データ管理(二層管理)
  • 既存顧客・見込み客へのメール配信
  • アンケートフォームによる満足度調査
  • セミナー・イベント管理機能
  • 顧客対応を中心としてCTI機能

SFAでできること

  • 顧客データ管理(三層管理)
  • 売上げなどを可視化するレポート機能
  • 全体でタスクを共有できるToDo機能
  • 見積書・請求書などの帳票類作成機能
  • 日報作成・管理機能

2つの違いを比較してみると分かりますがCRMは顧客データを適切に管理することでの満足度向上に視点をおいており、SFAは営業活動を支援して売上げ向上に繋げることに視点を置いています。

顧客データ管理一つとってもCRMは二層管理(顧客情報、案件情報)であるのに対しSFAは三層管理(二層管理+商談情報)となっています。その他の違いを比べてみても違いは明白ですね。

CRMはマーケティング向け、SFAは営業向けという見方もできるかもしれません。

最近ではCRMとSFAを包括したサービスも多くリリースされているので、2つの境界線が曖昧になりつつあります。

トレンドはクラウド

CRMの導入形態は自社サーバにパッケージをインストールするオンプレミスと、ベンダーが提供するサービスをインターネット経由で利用するクラウドの2タイプがあります。未だオンプレミスでの利用が多いのが現状ですが、トレンドは圧倒的にクラウドですね。

導入の迅速性や安価なコスト、またクラウドという性質上どこでも利用できるというのが多くの企業にうけています。

特にコスト面に関しては大幅なダウンになるケースが多いので、中小企業やスタートアップでも導入されているソリューションです。

【動画】マーケティング担当者必見!スタートアップCEOと考えるCXの未来

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本動画は、過去 SAP.iO のプログラムに参加し、当領域の最前線で活躍されているスタートアップ各社の CEO をお招きし、日本企業が目指すべき将来の CX のあり方などについてディスカッションした内容を収録しています。

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CRMのメリットデメリット

メリット

属人化していた顧客情報を一元的に管理

従来の営業は属人化していることが当たり前で、顧客情報はそれぞれの担当者が管理していました。しかし顧客満足度向上という観点からすれば非常に不適切な管理方法です。現代ビジネスではこの問題を指摘し、営業全体が一つのチームとして活動することが求められています。

CRMに登録した顧客情報は瞬時に共有され、誰でも確認することができます。(もちろんアクセス権限をかけることも可能)

こうして顧客データを共有することで、顧客満足度を意識した対応をすることができます。

部門間での情報共有が可能で戦略を迅速化

CRMはいつも営業部だけで利用するシステムではありません。必要ならばどこの部署でも利用でき、部門間をまたいだ情報共有が可能となります。

マーケティング部門で活用すれば、営業からの顧客データをすぐに戦略に盛り込むことが可能です。戦略を迅速化することで質の高いサービスが実現しますね。

総合マーケティングプラットフォームであるHubSpotは、CRMと顧客、見込客のデータを連携することで戦略的な情報共有を可能としています。HubSpotについてわかりやすくEブックへまとめています。ご興味があれば合わせてご確認ください。

適切な対応で顧客満足度が向上する

「CRMでできること」の欄でCTIという機能が登場しましたが、これは「Computer Telephony Integration System」の略でコンピュータと電話を連携するためのシステムです。

例えば既存顧客からサービスや製品に関する問い合わせがあった際、番号を認識してPC画面上の顧客データを瞬時に表示させます。

これまで顧客とどのようなやり取りがあったかを把握できるので、顧客にとって適切かつストレスのない対応が可能です。

デメリット

ランニングコストがかかる

システムを導入するので当然のことではありますが、ランニングコストは必ずかかります。これはパッケージやオンプレミスでは初期費用だけでランニングコストがかからないと考えがちですが、実はしっかりとかかります。

システムの管理・運用にかかる人件費などは立派なコストであり、更新への対応なども立派なコストです。

また、クラウドでは導入費用が大きくかからなかったとしてもランニングコストはそれなりに発生します。基本的にはユーザー数などでプランが変わるので、導入規模が大きければ大きいほどコストはかさみます。

≪対策≫

オンプレミスやオープンソースでもランニングコストがかかると言う点を考慮すると、やはりクラウドに選択肢が集中します。実際にクラウドの月額利用料はシステムの管理・運用のコストと比べると安価であることが多いです。

まずは自社の利用規模を把握してコストを算出し、最も最適な形態で導入しましょう。

効果が売上げに現れにくい

CRMはそもそも顧客満足度やブランドロイヤリティの向上を目的としているので、効果が表れにくい傾向にあります。

そのせいもあってかCRMに早々に見切りを付けてしまう企業が多いんです。

≪対策≫

まずはそもそもCRMの目的は売上げ向上にはないと理解しておきましょう。もちろん顧客満足度やブランドロイヤリティの向上によってリテーナー(継続的にサービスを利用する顧客)が増え売上げが向上することはあります。

しかしこれはあくまで二次的な効果であり、第一に顧客満足度とブランドロイヤリティが向上が存在しています。

このためユーザーも「CRMで売上げを最大化させる」とは考えず、あくまで顧客満足度とブランドロイヤリティの向上に注力する必要があります。

CRMのユニークな事例

映像や3Dデザインなどクリエイティブな領域で多くの人材を輩出しているデジタルハリウッド株式会社(株式会社立デジタルハリウッドを運営)では、CRMを導入することで入学志願者のデータを一元的に管理し、適切なアプローチをかけることに成功しています。

これだけなら一般的なCRM活用ですが、デジタルハリウッドでは“学生カルテ”としても同システムを活用しています。つまり学生の履修状況や成績、学生への対応状況などを一元的に管理することで、学生一人一人と向き合うための環境を作り出したのです。

その結果、出席不審者率が30%低下し“卒業率の向上”という大学が持つ普遍的な課題を解消しています。

学生相手であるからこそビジネスの要素を感じませんが、これは現代ビジネスに重要視されている「O2O(One to One)マーケティング」の本質と同じですね。顧客一人一人に最適なサービスと対応を提供することで、顧客満足度を向上させリテーナー率やリピーター率を高める。

これがやはりCRMを活用する上で核となる部分でしょう。

CRMを導入する企業では、単なる「顧客情報管理リスト」になってしまっているケースも珍しくありません。しかし本来はデジタルハリウッドの事例のように、蓄積した情報を活用し顧客満足度やブランドロイヤリティを高めるのが正しい活用方法です。

また、考え方次第で意外とバラエティーに富んだ活用もできそうです。固定概念に縛られず自由な発想でシステムを利用してみることが、効果を最大化するための秘訣なのかもしれません。

まとめ

今回の解説を通し、CRMについてしっかりと理解頂けたのであれば幸いです。

しかし前述したようにCRMとSFAの境界線が曖昧になりつつあり、包括的なサービスが増えています。「CRMはSFAを包括して顧客管理システム」といった見解もされつつあるので、今後CRMの定義が変化していく可能性は十分にあり得ます。この点を考慮してCRMを理解しておくと、今後の変化などにもすぐに対応できますね。

また、CRMが単なる顧客情報管理リスト化してしまっているケースがあると説明しましたが、これは非常に深刻な問題です。企業によっては数千万円かけて導入したにも関わらずこの問題に悩まされていることもあるので、導入と運用には慎重性が欠かせません。

もしも今後皆さんの企業でCRMを導入する動きがある際は、その点をしっかりと考慮した上で導入を進めましょう。

CRM導入で顧客満足度とブランドロイヤリティを向上させることができれば、売上げの最大化とビジネス拡大を展開することができます。理解するだけではなく、具体的に導入を検討してみてはいかがでしょうか?

CRMと連携できるマーケティングプラットフォームHubSpotの概要をEブックにまとめました。ご興味があれば合わせてご確認ください。

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