マーケティング

アトリビューション分析の意義や方法を解説

アトリビューション分析とは「コンバージョンやゴール(MQLや問い合わせ、購買など)の数だけでなく、そこのゴールに至った経緯を可視化・分析することです。コンバージョンやゴールに至るまでのすべての接触メディアやコンテンツ、経路の貢献度を測ることで制度の高い仮説検証や分析、マーケティング活動を行うことが可能になります。

また、アトリビューション分析を行うことで、マーケティング成果の最大化のために貢献度に応じて、マーケティング予算や施策の組み換えを行うことをアトリビューション管理と言います。また、アトリビューション分析をゴール分析と呼ぶケースもあります。

今回はこのアトリビューション分析についてご紹介します。

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アトリビューション分析の意義

WEBマーケティングにおいて消費者のアクションを分析し、コンバージョン数を増加させるための戦略を打ち立てるのはとても重要なプロセスです。企業がとるベーシックな戦略としては、広告を出稿したりSEO対策を施したりして、結果へとコミットしていくことが挙げられます。そのうえで、売上増などの成果を得るにいたったメディアの広告を評価し、効果の薄いものに対しては費用を抑えたり、掲載を取りやめたりして、広告の利用を調整していきます。しかし、このとき正しい方法で評価を実施できていなければ、大事な顧客とのつながりとなる媒体を失ってしまう可能性があります。そこで、遠い接点でも評価ができる分析手法として、新しく唱えられたのがアトリビューション分析です。

これにより、従来の分析だけでは補えない、新しい基準でのマーケティング対策が行えるようになりました。特に消費者に対してブランドやサービスの認知を行い、購入までを促す施策を行っているWEBマーケティング担当者にとっては、とても有益な手段になります。

まずはWEBマーケティングにおける従来の分析手法を理解

実際にアトリビューション分析が広まったのは2011年ごろのことです。それまでコンバージョンの評価は「ラストクリックCPA」という手法で行うのが一般的でした。この手法では、成果にいたった直前の広告のみを分析・評価します。そのうえで、効果の薄い接点に対して、予算の削減や広告自体の排除を行うなどといった施策をとっていたのです。

しかし、実際に多くのブランドやサービスにおいて、この手法で広告の削減をすると、ラストクリックCPAに見合うのはアフィリエイトとリスティングの二つのみに限定されていくという問題点があることがわかりました。

確かにアフィリエイトやリスティングは、商品を欲しいと思っている消費者の後押しとして購入へと促すことができます。しかし、商品の存在自体を認知できていない消費者に対して購入を促すことができないので、成果も頭打ちとなってしまうのです。

従来の分析手法を踏まえたアトリビューション分析の意義

ラストクリックCPAによる問題点を解消するために誕生したのが、「アトリビューション分析」です。この手法では、サイトに訪れる直前のアクションだけでなく成果につながるまでの経過を含めて分析をします。これによってラストクリックCPAだけでは補えなかった、消費者の認知を促した広告を評価できます。

消費者が商品・サービスなどを購入するまでのもっとも短い経路として考えられるのは、商品が欲しいと思っている消費者が検索エンジンを使用してサイトにたどり着き、そのまま購入にいたるパターンです。この場合、サイトに移行する直前の広告がコンバージョンに直結しているため、ラストクリックCPAは十分に広告の評価を行えます。


しかし、実際には消費者が商品を購入するまでには、様々な媒体によるつながりがあります。いろいろなサイトを経由して検討を重ねたうえで商品を購入することもあれば、検索中に偶然表示されたバナー広告をクリックして到達したサイトで、すぐに購入を決めることもあるでしょう。ラストクリックCPAでは、ランディングページなどに入る直接のアクションの元となったバナー広告のみを評価します。経由したサイトについては、評価の対象とされないため、消費者がどのような経路をつたってサイトを訪れたのかを知ることができません。その結果を踏まえて、それまで使用していた広告の運用方法を見直してしまうと、直接成果にはいたっていなかったものの、商品認知に十分有効的だった広告まで処分の対象となってしまうことも考えられます。そのため、自社商品を十分に広めることができなくなり、新規の消費者の獲得が見込めなくなるのです。

このような問題点を解消する手法として考えられたのがアトリビューション分析です。この手法では、直接コンバージョン獲得にはいたらないものの、認知を促し、消費者の興味を引いている広告も評価の対象と位置づけされています。成果を得るまでにはたくさんの経路があるので、消費者がどの接点から商品の購入にいたったかを調査・分析するのは骨の折れる作業です。けれども、広告の成果を高めるためにはこれらを無視していては成り立ちません。その経路を見える化することは、自社において広告の適切な運用を知るために必要なことなのです

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アトリビューション分析における5つのモデルと評価方法

アトリビューション分析による成果にいたるまでの接点に対する評価方法はケースによって様々ですが、主に「成果配分モデル」「ベイジアンネットワークモデル」「マルコフ連鎖モデル」「ボルツマンウェイトモデル」の四種類のモデルによって行われます。

今回は、Google Analyticsのアトリビューションモデリングで利用されるもっとも一般的な手法、成果配分モデルについて取り上げます。成果配分モデルは成果獲得にいたるまでの広告を「最初」「中間」「最後」等に分け、重点的にどこを評価するかという点に焦点を当てて行われる手法。打ち出している広告や、成果につなげたいブランドや商品によって、分析に適しているモデルは変わります。それぞれの特徴を理解して、より正確な分析が行えるよう適切なモデルを選択しましょう。

終点モデル

終点モデルは、ラストクリックモデルとも呼ばれる手法です。「ラストクリックCPA」と評価ポイントが同じで、コンバージョンに直接コミットしたメディアや広告を100%の割合で評価します。
デフォルト設定になっていることが多いため、広く利用されています。すでに購入を検討している消費者にアクションを促す広告を作成していたり、成果の獲得にいたるまでのサイクルに検討段階がなかったりする場合は、このモデルの使用がおすすめです。

起点モデル

終点モデルとは正反対で、消費者が最初にアクションを起こしたメディアや広告を100%評価します。ファーストクリックモデルとも呼ばれます。成果の獲得からもっとも遠い消費者との接点を評価するので、その広告が新規顧客の獲得にどれだけの効果を有しているのかがわかります。

認知度の低い商品を広めることを目的とした広告を出稿しているのなら、この手法を使用するのがおすすめです。

線形モデル

コンバージョンにいたるまでの、広告すべてに対して均等に評価するモデリングです。コンバージョンの接点が四つある場合は、25%をそれぞれに割り振ります。均等配分モデルとも呼ばれており、一般的に使用されることが多い手法です。
すでに認知している消費者や興味を促したい消費者など、幅広い広告を展開している場合に有効的です。

減衰モデル

この手法では、成果に結びついた接点すべてを評価しますが、コンバージョンから遠くなるにつれて評価のパーセンテージを下げていくという特徴があります。指数関数的減衰に基づいた評価方法で、Google Analyticsにおいて、半減期は7日間で設定されています。

例えば、コンバージョン7日前のアクションでは、評価割合を半分に、さらに14日前では1/4の割合と、成果からさかのぼっていくにつれて大きく評価が減少します。販売サイクルにおいて、期間限定キャンペーンなど消費者の検討に要するステップが短い場合に有効的なモデルです。

接点ベースモデル

成果を得る一つ前の接点ともっとも遠い接点の、二つの評価の割合を高くし、途中経過の接点に関しては割合を低くするというモデルです。コンバージョンまでに四つの接点がある場合は、最初と最後に40%、途中の二つに10%といったように割り振ります。

サイトやブランド価値を消費者に認知させた起点と成果につながった最後の広告を重要視する場合に最適です。

アトリビューション分析に関する注意点

アトリビューション分析では様々な接点から広告を評価するので、WEBマーケティングにおいて有用な分析方法の一つです。しかし、この手法は、向いているものと向いていないものがあるので、導入前にはその点をしっかり考慮して分析に当たる必要があります。基本的には、高額な商品やサービスなど、消費者の検討段階が長いものに関してはアトリビューション分析を活用して広告の改善を進めていきましょう。高額な商品・サービスを購入する際、ほとんどの場合、消費者は様々なサイトを経由して比較・検討を行いますが、アトリビューション分析はこの一連の流れを評価・分析するための手法です。

また、この分析手法は、コンバージョンにつながった過程だけを見ますので、認知のきっかけを作っていても成果にいたらない場合は評価されないという弱点もあります。どんなに優秀な広告を出稿しても、成果が得られなければアトリビューション分析の評価対象とならないため、予算削減や削除の対象となる可能性があるのです。
そのほかにも、アトリビューション分析だけでは、評価の抜け漏れが発生する恐れもあります。そのため、あまり効果が上げられないときは、他の分析手法を利用するのも一つの手であることを頭に入れておくべきでしょう。

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