EC市場の成長率には目を見張るものがあります。拡大を続けるEC市場への参入を検討中の企業も少なくないでしょうが、ECサイトの構築にどのシステムを選べばよいか悩んでいる方も多いようです。そこで本記事では、国内におけるECの市場規模や、ECサイト構築システムを選ぶ際のポイントについて解説します。
日本国内におけるEC市場規模
経済産業省が発表したデータによれば、2019年における国内EC市場規模は、19兆3,609億円にのぼるとのことです。2010年の段階で約8兆円だったので、わずか10年のあいだに2倍以上の成長を遂げていることが見て取れます。
これほどまでに市場規模が拡大した背景としては、インターネットやスマートフォンの普及が挙げられます。今や子どもから高齢の方まで誰もがスマートフォンを所有し、日常的にインターネットを利用する時代になりました。オンラインで買い物ができるECサイトの数も軒並み増加しており、それに伴い利用者も増えたことで、市場規模が大きく拡大したと考えられます。
消費者の価値観や考え方が変化したのも、EC市場規模が拡大したひとつの理由といえるでしょう。従来は店舗で直接商品を手に取り購入するのが当たり前でしたが、現在では多くの方が手軽さを求めるようになりました。スマートフォンで手軽に商品を購入することに対し、多くの方が抵抗をもたなくなったため、市場規模が成長したと考えられます。
このような傾向は、今後さらに強まる見込みです。その理由が、近年におけるコロナ禍の影響です。いまだ収束の兆しが見えないコロナ禍の中、多くの方がウイルスへの感染をおそれて外出を控えるようになりました。コロナ禍の収束が見込めないため、今後さらにオンラインで買い物をする方が増えると予測されており、それに伴いEC市場の規模も拡大すると考えられているのです。
知っておきたいECシステムの選定ポイント
ECサイトの構築が可能なシステムやサービス、手法はいくつかあります。ここでは、ECシステムの選定時に知っておくべきポイントをピックアップしてご紹介します。
自社に合った構築方法を理解
ECサイトの主な構築方法としては、「ASP」「パッケージ」「オープンソース」「フルスクラッチ」などが挙げられます。それぞれ違った特徴があるのはもちろん、必要となる費用も大きく異なるため注意が必要です。
ASPは、オンラインで提供されているサービスを利用し、ECサイトを構築する手法です。クラウド提供されているサービスをそのまま利用できるため、構築から運用までの期間を大幅に圧縮できるのが魅力です。また、パッケージやフルスクラッチに比べ、コストを低く抑えられるのもメリットといえるでしょう。ただし、カスタマイズはできないことが多いため、注意が必要です。
パッケージは、ECサイトの構築と運用に必要な、あらゆる機能が網羅されたパッケージ商品です。メンテナンスもベンダーが対応してくれるため、自社でリソースを割く必要がありません。一方で、実装した機能やサイトのデザインが数年で古くなってしまうケースも多いため、適切なタイミングで見直しが必要です。
オープンソースは、公開されているソースコードを利用してECサイトを構築する手法です。自由自在にカスタマイズができるため、自社にマッチしたECサイトを構築できるでしょう。しかし、ソースコードの編集にはプログラミングやコーディングの知識・技術を要するため、技術者がいない企業には適していません。
フルスクラッチは、完全オーダーメイドでECサイトを構築する手法です。思い描いた通りのサイトを構築できますが、数十万円・数百万円単位の費用が発生することも珍しくありません。
目的に合った機能が含まれているか
システムによって実装されている機能は異なります。そのため、ECサイト構築に取り掛かる前に必要な機能を抽出し、実装できるかどうかをベンダーやサービス提供元に確認する必要があります。
商品検索やマイページ、お気に入り機能といったフロントエンド機能のほか、顧客管理や在庫管理といったバックエンド機能は不可欠です。そのほかFAQや商品レビュー、レコメンド、商品ランキングなどの機能も実装すれば、よりユーザーに寄り添ったECサイトの構築ができるでしょう。
どのような機能が必要なのかは、ECサイトで扱う商品や目的などにより異なります。扱う商品やサービスによっては不要な機能もあるため、事前に必ず必要な機能を洗い出しておきましょう。
信頼できるベンダーか
システムを選定するうえでもっとも重要なのは、信頼できるベンダーかどうかです。信頼性の乏しいベンダーに発注してしまうと、自社の目的にマッチしないECサイトが完成してしまうおそれがあります。
信頼性を判断するには、ベンダー側からの質問内容に着目してみましょう。企業によって扱う商品やビジネスモデルが異なるため、制作するECサイトの設計も違ってきます。そのため、ベンダーは開発前にさまざまな質問項目を用意し、クライアントへ質問するケースがほとんどです。
たとえば、現状のシステムに感じている課題や開発の前提条件、機能要件、不要な機能の要件などが該当します。クライアントの希望に即したECサイトを開発するにあたり、これらの情報は絶対的に必要です。
これらについてきちんと質問してくれるベンダーなら、比較的信頼できると考えられます。クライアントの求めるECサイトの構築にあたり、どういった情報が必要なのかを正しく理解していると考えられるからです。
併せて、過去の実績にも着目しましょう。実績が乏しいベンダーよりも、豊富な実績がある企業のほうが、安心して依頼できます。豊富な実績があるということは、ノウハウをきちんと確立していると考えられ、十分な知識や技術も有していると判断できます。
過去の実績については、大抵の場合はベンダーの公式サイトから確認できます。多くのベンダーでは、公式サイト上で制作事例も公開しているため、自社が構築したいと思い描いているような制作事例があるかどうか確認してみましょう。
また、ECサイトを立ち上げたあとは、アップデートやメンテナンスなども必要です。不慮のトラブルが発生する可能性もあるため、担当窓口が設置されているか、サポート体制が整っているか、といった部分も確認しておきましょう。
豊富な機能を揃えた「SAP Customer Experience」でECサイトを構築
「SAP Customer Experience」は、SAP社がリリースしているCRMサービスです。顧客情報の一元管理ができるシステムであり、収集した情報を分析することで、顧客へアプローチするタイミングやベストなアクションの判断材料となります。
eコマースソリューションでは、BtoBやBtoCなど、目的にマッチしたECサイトの構築を実現できます。これまで多くの企業が導入してきた実績があり、あらゆるビジネスモデルに対応できるのも特徴といえるでしょう。
また、オムニチャネルに対応しているのも魅力です。さまざまな販売ルートを統合し、一元管理を行えるため、業務効率化や販売力強化を実現可能です。あらゆる媒体から収集したデータを活用すれば、集客力向上や機会損失の回避にもつながります。
そのほか、拡張性やカスタマイズの柔軟性にも優れているため、思い通りにECサイトを構築できます。多言語にも対応していることから、グローバル展開を望んでいる企業にも適しています。
まとめ
ECサイトの構築には、ASPやパッケージ、フルスクラッチなどさまざまな手法があり、それぞれに違った特徴があります。メリットやデメリットを把握したうえで、自社に適した手法を検討することが大切です。
実際にシステムを選定するときは、目的にマッチした機能が含まれているか、信頼できるベンダーかどうかを確認しましょう。きちんと機能要件を抽出し、ベンダーともミーティングを行いつつ話を詰めるのがおすすめです。本記事の内容を参考に、ぜひ自社に合ったベンダー・システムを選んでみてください。